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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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IISW2017 TechInsights ~その1 PDAF・・・の後半

EOS 6D MarkⅡ、同じくEOS kiss X9発表ですか。

共に”バリアングル液晶化”というのと、”昨今の相場からすればお安いお値段”での登場というのが印象的。
前者は個人的には動画も現状撮りませんし、横に開かれるとなんか鬱陶しくて、典型的なチルト液晶希望派なので、
特にkissX9の方はそれによって先代よりも重量が増してしまったのだとしたら、ちょっと残念でした。デザイン的にも先代は何かかわいらしくて好きだったので。
しかし時代の流れか、最近はバリアングルじゃないと売れないんでしょうね、プロ及び超ハイアマモデル以外は。

後者のお値段の方はもちろん異論無く大歓迎(笑)
キヤノンもデジカメが売れなくなっていることは当然気にしていると思いますので、”一眼レフカメラもしくはフルサイズカメラをお持ちでない方は是非ともエントリーwelcomeです”という気持ちの表れを感じます。

 さて、この2機種が売れるのか?売れないのか?
一眼レフカメラトップブランドのこのキャノンの2機種がもし売れないのだとしたら、
後の世に、”2016年、17年のミラーレス各社のフラグシップモデルの登場が、レフ機とレス機(?)の勢力分布の入れ替わりポイントだったよねー”
と語られる様になるように感じます。



 さて、先週の”IISW2017 TechInsights ~その1”の続き、後半です

C. Masked PDAF in Back-Illuminated CMOS

拍手[6回]

・裏面照射型センサで、開口をマスクするPDAF画素が初めて出現したのは2013年で、富士フイルムのX20

・↑東芝製で、X-Trans CMOSⅡカラーフィルタ配列が採用されており、それらは有効画素領域の13%程度の領域に配置されるようになっていた

・同じ行の6画素の内のgreen画素2つの、画素半分がALメタルによってマスクされ
 それらは4行に1行配置されていた

・画素ピッチ1.0um世代の裏面照射型センサで、初めてPDAF画素が見られたのが、TSMC製のOmniVisionのOV16880

・今まで裏面照射型センサで画素をメタルで覆う形のPDAF画素搭載センサを製造したことがあるのは、
 OmniVision、Samsung、Sony、東芝 の4社

・ALグリッドマスクも一般的だが、これらのマーケットシェアリーダーの会社は、よりW(タングステン)での遮光を好む傾向があるようだ

・2015年発売のソニーのXperia Z5のメタルで覆うタイプのPDAF画素を用いたハイブリッドAFシステムのAFスピードは、0.03秒と謳われている



 富士フイルムのX-TRANSフィルタ配列における像面位相差画素配置の正確なところが、個人的にはずっと不明だったのですが、
あまりうがった見方をせずに

↑昔から富士フイルムが公表しているこの絵の配置をそのまま信じて良かったのですね(^^;)
上図の6x6画素配置が、像面位相差AFが必要な有効画素領域においては繰り返されるという。

 そして、techinsightsを信じると、
”裏面照射型の像面位相差AF搭載イメージセンサを、Aptina(現ONSemiconductor)が作った実績が無い”
というのは意外です。
きょうびのハイエンドスマホ搭載のCMOSイメージセンサには必須の機能の様に感じていたのですが、これではスマホ向け撮像素子のシェアが取れないのでは?
と心配に(?^^;)なってしまいます。
もしくはONSemiとなってから、もう粗利やパイが取れそうも無いスマホ向けをやめて、車載カメラ搭載撮像素子向けに注力しているということなのでしょうか?


 しかし上記裏面照射型のPDAF画素搭載センサで無いとスマホカメラ向け撮像素子のシェアが取れないという仮定が正しい前提ですと、
東芝のイメージャー部門がソニーに譲渡(?)された今となっては、
スマホ向けはソニー、Samsung、Omniの3社しかメインの供給元が最早無いということなんですね。
確かにTechInsightsが分解しそうな注目スマホ機種においては、近年はもうソニーとSamsungしか私は見た記憶が無いですね。

 また、ロジックICでもアナログICでもそれらの混載ICでも、結構前から台湾・中華系企業の台頭が著しいという印象を私は持っているのですが、
ことほんとにイメージャーに関してだけは、中華系企業の目立った台頭がまだ見られない(ですよね?OmniVisionが中国系資本に買収されたとか製造Fabとしての台湾TSMCの存在はありますが。あえて言えばGalaxycoreですが、まだ(?)金額ベースシェア2%とか程度ですし・・・)ということに、
私個人は日本人として”嬉しい”という感情を抱くと共に、結構純粋に不思議でもあったりします(^^;)
ロジックICよりも恐らく日本人の得意ないわゆる擦り合わせ技術(?)要素がイメージャーは多いだろうという風に思っているのですが、
それにしたってそんな参入障壁が高いものなのかな?と。
それとも中華系企業から見ると、イメージセンサは旨味の無い分野で参入する価値が無いと思っているのか・・・
いやいや、これだけIoTが騒がれ、車載カメラや監視カメラ、ドローンカメラ、FAカメラの需要が伸びそうな状況で旨味が無い市場ってことは無いですよね?
最新の(?)市場予測でも、今後5年は金額ベースで年率8.7%で伸長するということですし。

D. Dual PD-Based Pixel PDAF・2種類目のPDAFが出現したのが、2013年のCanonが発表したEOS 70Dの”Dual CMOS AF system

・表面照射型センサの、1つのカラーフィルタ及び開口である1画素中のフォトダイオードを二つに分けるという新しいアプローチを取った

・全ての画素が同じDual PD構造を取っており、AFシステムとしては中央の80%程度の領域を使うという特徴を有した


・2016年3月、SamsungがGalaxyS7スマートホン向けに開発した裏面照射型の"Dual PD system"を発表した

・この1.4um□画素ピッチ世代のdual PD 画素は、有効画素領域の100%の領域がAFポイントとて利用可能であった

・GalaxyS7では、SONYとSamsungの2社からカメラ用撮像素子が供給され、双方で異なる(Variants)Dual Pixel技術が用いられた

・SONY及びSamsung双方のバージョンとも、PD間は混色防止のために部分的なBack DTI (Deep Trench Isolation)構造によって分離されている

・双方で異なるのは、
  ソニーの方は、従来からのB-DTI構造
 であるのに対して、
  サムスンの方は、GreenとBlueのDual PDだけB-DTIによって2x2のサブアレイ構造

・キヤノン、サムスン、ソニーの撮像素子で見られたdual PD システムは、みなべイヤーパターンのRGBカラーフィルタ配列だった



 上記SamsungのDual PDについての赤太字部分も、私にとっては初耳な部分です。
二つ驚きの情報が混ざっていて、
 1つは、”2x2のB-DTIサブアレイ”
というのと、
 2つ目はGreenとBlueの画素だけ (つまりはRed画素は2x2のサブアレイ構造になっていない)
というところです

このtechinsightsのblogにここに関する図面や写真が無いところが惜しくて、正しいイメージを持てているのか心配なのですが、
 一つ目はこれはもう2x2に分けているとするならその目的は一つ、
”縦線・横線双方の模様どちらに対してもAF可能にするため”
で、つまりは通常の位相差AFの表現で言えば”クロスAF”みたいなものの達成を狙ったということではないでしょうか。
オリンパスのOM-D E-M1 MarkⅡ搭載ソニー製撮像素子”オールクロスの像面位相差AF”を謳っていましたし、
キヤノンのDual Pixel CMOS AFの元になっている特許にも、2x2に分けるという概念は既に記載されていましたし、(←一番最後の図参照)
こういう構造や狙いの像面位相差AF搭載センサがあっても不思議では無いと思います・・・

が、OM-D E-M1 Mark2搭載撮像素子がこのSamsungの素子と同様の方式かは怪しいですし、
他の多くのカメラやスマホが像面位相差AFが2x2分割でなくても機能していると思われる現状で、
 読みだすデータ量増加 & 信号読み出しスピードの低下 & 消費電力の増加
というデメリットが生じるだろう2x2分割のdual PD (というかこれではQuad PDでは??)採用のトータルのメリットがどれほどのものなのか?
というのは個人的に大変気になるところです。

 2つ目の”赤画素だけ2x2サブアレイ構造になっていない ≒ 恐らくdualPDでは無い”
という情報からほぼ確実にわかるのは、
 ”赤画素は位相差AFとして使っていない”
ということですね。
まあこれは、前回と今回の弊blogエントリーのtechinsightsのIISW内容からも、
各社位相差AF画素を割り当てているチャンネルが緑だったり赤と青だったりと異なっていたことからも、
サムスンが赤画素から位相差AFの情報を取らなくても位相差AFは可能であった
ということは想像が出来ます。

個人的に気になるのは、
”仮に位相差AFとして用いなくてもPD構造はGreenやBlueと同じにしておいた方が、プロセス製造等の規則性の観点からも良いだろうし、第一(レイアウトデータ作成等の観点でも)楽では?”
というところ。

それでもあえてRED画素だけB-DTIで画素を分離しない構造を取る必要があったのだとすれば、
個人的に思いつくのは、
”1.4um画素ピッチの赤色波長光を捉える必要のあるPDを2x2分割してしまうと、回折(?)の影響で感度良く受光できなくなってしまったりするからでは?”
と。
1.4um□画素を4分割すると、一辺の長さは0.7um。
可視光の赤色というと、具体的な波長としてどこを指すのか微妙ですが、600nm~700nm程度でしょうか。
PD分離用のB-DTIというものもいくらかは幅を必要とするでしょうから、実際のPDの一辺の幅は0.7um=700nmを下回ってくるはず。
なので4分割してしまうと赤色光の受光に悪影響が出てしまうのでは?と思うのですが、真偽のほどはどうでしょうか?
しかし上記以外に赤色フィルタ画素だけ特別扱いする理由が思いつかないのですが・・・

いずれにしても、全くいろんな構造があって、それを考える人がいて、おもしろいものです(^^)


E. Dual PDAF

・メタルで部分的に覆われたマスクタイプのPDAFも、dual-PDベースのPDAFシステムも、低輝度下でのパフォーマンスが低下するのは妥当なこと

・何故なら、マスクタイプのPDAF画素は、そうでは無い通常画素に対して開口率が低いため光子をロスするし、
 dual PDタイプは、PDの分離を必要とするため、同じ画素サイズのPDと比較すると分離の分だけ飽和が減るから


・最近のソニーの裏面照射型地プは、上記ロスの無い(!?)新しいタイプのPDAFシステムを採用している

iPhone7 Plusの1.0um画素ピッチ世代ExmorRSチップは、
 GreenとBlue行の8画素の内の2画素のマイクロレンズが、1x2構造となっている
 (↑恐らくは、横8画素の内、ベイヤの一対のGとB上のマイクロレンズがくっついて楕円の様なひとつのマイクロレンズとして形成されている)

・上記ワイドなマイクロレンズは、8x8=64画素中に2つ存在し、
 有効画素領域の約95%の領域に配置され、
 その下のGreenフィルタはそのままに、隣のBlueフィルタであったところにはGreenフィルタがかわりに敷かれている
 
・同様の1x2マイクロレンズ構造は、OppoのR9sに搭載された、ソニー製IMX398にも見ることができた






 上記赤太字も、恐らくTechinsightsの有料版レポートでないと公にされていなかった内容ではないかと思います(少なくとも私は知りませんでした)。
文章だけで図面は無いのですが、恐らく以前ONSemiconductorも公表していたこの構造と同じものを指していると思われます。

Aptinaとソニーとどちらが先に考え出したのか、はたまた別の企業がアイデアは先か、わかりませんが、みな同じ様なことを考え付くんですね。ほんとに競争の激しい世界です(^^;)
確かに、完全なdualPDタイプの像面位相差AF画素と異なり、マスクPDAFの様にPDAF画素を欠陥相当として扱う覚悟が元々あるのであれば、低照度AF感度の特性を考慮すればこの構造は合理的に感じます(^^)


 さて、次回以降でIISWでのtechinsights発表の後編にいきたいと思います。



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