先週に引き続き、
Samsung(サムスン)GalaxyS9搭載カメラについて、TechInsightsからいきたいと思います。期待通りの早さで解析しているみたいです(^^)
と、本題に入る前に同じスマホ繋がりなので一つだけ。
oppo(オッポ:これも日本では無名なれど、アジアではそれなりに存在感があると思われる中国メーカー)がスマホに初採用したらしい、
”MEMS駆動のOIS(光学イメージスタビライザー)”
アピールを読むと、現状のスマホ用のOISモジュールに対して・・・
・Low Hight (5mm ⇒ 200um!?←これはレンズ無しの値か・・・?)
・低消費電力 (500mW ⇒ 10mW以下 ←現状のOISユニットって500mWも電力消費するの!?゜Д゜)
・高耐久性
・高精度
・レンズを動かす方のOISではロール方向の補正は不可能だったのが、可能になる
といいことずくめ。
確か以前別記事で読んだ記憶だと、光学手振れ補正の補正の広さ?(←うまく言えないのですが、手振れの量が広大であった場合)の補正レンジが狭いようなデメリットを読んだ気がするのですが、
仮にそのデメリットがあったとしても、何となく今後上記MEMS駆動のOISユニットが主流になっていく様な気がしたのでご紹介。
まあこの分野は素人なので、本当に直感で言っていますが(^^;)
しかし、トップでは無いから攻められるというのか、本当こういうの中国メーカーは採用早いですねー。
何でもかんでも目新しければ良いというものでも無いとは思いますが、日本メーカーも見習っても良いのではと思ったりもします・・・と苦労しない部外者は気楽に呟いておきます(^^;)
↑
TechInsightsより SamsungGalaxyS9+搭載 Dualリアカメラモジュール
[4回]
↑同じく同モジュールの光学部材を外したところと思われる写真
恐らく左が望遠、右が広角カメラ用の素子
↑広角カメラ搭載素子 顕微鏡写真
Dieマーキング(≒型番):
S5K2L3SX
Die(≒チップ)サイズ :
5.88 mm x 7.68 mm =45.2 mm2
画素数 :1200万画素
画素ピッチ :1.4um□ Dual Pixel (いわゆるキヤノンの全画素位相差AF画素センサ)
カラーフィルタアレイ:ベイヤ配列
※サムスン初の3層積層センサ
積層接続方法 :TSV (シリコン貫通ビア)
↑恐らく上下左の画素外に少し濃く見える領域がTSVか。
とすれば、画素ドライブ配線は左側から片側入力。そして画素信号は上下に読み出されるタイプ。
チップの画素外の領域が下側よりも上側が広く見えるのは、下に積層されているDRAM及びロジックチップとのレイアウトの整合性の兼ね合いか。
だとすれば、上側のTSVよりも外側の領域は事実上何も素子が配置されていない空き地の可能性が高いでしょうか。
ちなみに
ソニーの3層積層センサも
Cu-Cuダイレクトボンディングでは無く、TSVでのチップ積層でした。
サムスンセンサにおいては、私はまだCu-Cu直接積層チップを見たことが無いので単に技術的に出来ないだけという可能性は残るものの、
2社共にCu-Cu接続を用いずにTSVによる3層チップ積層を行っているということが偶然なのかどうか気になります。
3層積層の内、Face to Faceで積層されるウェハは2ウェハのみになるので、それ以外の1ウェハとは普通に考えるとTSV接続にならざるを得ないため、
”どうせ1回はTSV使うなら、もう一方の接続もTSVにする方が合理的”・・・?だったりするものなのでしょうか?
↑同じくリア広角カメラ搭載センサのチップコーナー部拡大写真
ボンディングパッドとDieマーキング
S5K2L3SXの文字が見えています。
ボンディングパッド間のスペースがほとんど無く、ギッシリという感じですね。
↑同じくリア広角カメラ搭載撮像素子の画素コーナー部拡大写真
一番内側の暗めに見えるところが画素開口部ですね。
ちなみにこの様に写真を撮って開口部が暗く見えるのは妥当な結果で、”フォトダイオードがきちんと光を吸収しているので≒光の反射が少ないので”暗く見えます。
ブラックホールが暗いらしいのときっと同じ理由(?ホントか)です(笑)
ではその少し外側のカラーフィルタのRGBベイヤ配列が見える一番明るいところ、
ここは何かというと、下にメタル遮光(恐らくタングステン?)が存在するところです。
ここは逆にメタルが光を反射するため写真で明るく見えていると思われます。
その更に外側≒写真で一番外枠になって見えているところですが、
ここはベイヤ配列では無くなりブルーのカラーフィルタが敷き詰められている様です。
で、今回初めて気が付いた・・・もしくはsamsungのセンサがイレギュラー?なのかわかりませんが、拡大してもらうと・・・
大外のブルーのフィルタ上に粒々したものが見えます。
これは恐らくマイクロレンズですよね。
下にフォトダイオードが無い画素では無い領域の上にマイクロレンズ・・・?
上記を言い出すと、”下にフォトダイオードの無い領域上にブルーのフィルタがあるのだっておかしいだろ?”という話なのですが、
ブルーのフィルタは恐らく少しでも迷光の様なものを無くすちょっとした遮光代わりに塗られているものです。
更におもしろいなと思ったのは、
ベイヤ配列と大外のブルーフィルタのつなぎ目部分のマイクロレンズは不連続であり、かつ大外の方は斜めに?(←言葉でうまく言えないのですが^^;)ズラシて配置されています。
上記のことから特に画素部からの連続性を気にしてのマイクロレンズ配置でも無いということの様に思えます。
不思議です。
どなたか上記マイクロレンズ配置の意味が分かる方、予想できる方はコメントお願いします。
以下は、Dualレンズのリアカメラの望遠側カメラ搭載撮像素子写真です。
↑望遠側カメラモ搭載撮像素子 上面顕微鏡写真と思われるもの
望遠側カメラ撮像素子は、GalaxyS8から刷新無しの持ち越し
メーカー :Samsung製
Dieマーキング :
S5K3M3SM
積層数 :2層積層センサ
チップサイズ :
4.21 mm x 5.61 mm ≒23.6 mm2
画素数 :1200万画素
画素ピッチ :1.0um□
カラーフィルタ:ベイヤ配列
像面位相差AF :Masked PDAF (つまり、1画素が2PDに分かれていない、例えば画素半分がメタル遮光されているタイプのもの)
私にはよく思想がわからないのですが、TechInsightsのアップルiPhoneとサムスンGalaxySシリーズのリバースエンジニアリング結果を見て感じるのは、
”Dualカメラのスマホにとって、重要なのはワイド画角の方のカメラである”
ということ。
もちろんそう断言できる情報は無い訳ですが、
しかし、上記GalaxyS9の様に、広角端カメラの方に最新の3レイヤ積層センサを採用し、望遠側カメラの方は前機種流用とするあたり、
またiPhoneも含めて、広角側カメラの方が画素ピッチが大きく、恐らく画質を優先しているあたり
からすると、広角側カメラが重要視されているのは間違い無いと思います。
そもそもGalaxyS9の場合、広角側カメラにしかDRAMが積層されていない訳ですから、広角側カメラで撮像したものでないと、960fpsのハイスピード撮影が記録出来ないことになります。
しかし、するとズームした時にハイスピード撮影は出来なくなる仕様なのか?
きっとそんなことは無いはずですよね?
960fpsはHD記録時のみ可能なので、望遠側カメラで撮影中は、ハイスピード撮影をユーザーが所望した瞬間に光学ズームが電子ズームに切り替わって広角カメラ側で撮像&記録されるという様な感じなのでしょうか?
それともそんな1/0みたいなことでは無くて、私には理解不能な頭の良いアルゴリズムで双方のカメラの画像をうまく合成して有効活用できるものなのでしょうか?
残り、フロントカメラと虹彩認証用カメラの分解記事も既に上がっているのですが、
それは次週以降に回したいと思います。
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