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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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IISW (International Image Sensor Workshop) 2015 プログラム公開

今回もタイトル通りで特に捻りも何も無いのですが(^^;)、私なりにまずプログラムを見て感じたところを残しておきたいと思います。

 半導体の季節ものイベント、ISSCCVLSIシンポジウムIEDM(順不同)ですが、これらはあくまで”半導体全般の”国際会議(?学会)です。
ではIISWとは何ぞや?ということですが、タイトルの()内の正式名称の通り”イメージセンサ専門の”国際会議ということになろうかと思います。
ですので、イメージセンサに関連する発表件数が、冒頭三つの半導体国際会議よりもIISWの方が格段に多くなるのが特徴(?)で、その代わり(?)奇数年の隔年開催となります。
開催場所はどういう風に決めているのか私は知りませんが、今年はオランダの様です。
過去比較的、アメリカと日本開催が多いという印象です。

そして、Imagerマニアとしてこの会議(?)の最も嬉しい特徴・・・それが、開催の約半年後くらいに、”発表資料がすべてHP上に公表される”ということ(2013年のプログラム参照してみてください。全部無条件かつ無料で閲覧可能です)。
これは、タイムラグは発生するけれども、実際にオランダに足を運ばなくても、資料だけは出席者と同じものが手に入るということです。
(ISSCC、VLSIシンポジウム、IEDMは基本は出席しないと手に入りません)
私の様な趣味人には嬉しい限りの特徴です(^^)

 さて、ではまだ隅々まで目は通せていないのですが、毎度徒然なるままに、以下より。

拍手[3回]

冒頭リンクしたプログラムを見て頂けるとわかるのですが、発表内容によって、ある程度関連した内容にテーマ分け(?)してプログラム進行されているのがわかります。
そのプログラムのテーマタイトル(?)を2013年の前回と比較すると

①微細画素(Small Pixel Sensors)という様なニュアンスのものが無くなり、代わりに積層センサ(Stacked Image Sensors)が登場

 以下勝手な解釈ですが、
画素ピッチが現状量産されているもので、小さいもので既に1.12um□。発表サンプル出荷レベルで0.9umや1.0um□という様なレベルのものも見掛けますが、そろそろ可視光波長の領域に近づきつつあります。
やはり更にその先の(特性を落とさない)微細画素の開発が難航している、もしくはその先はもう無いと考えている企業が多くて、発表paperが集まらないのでは無いでしょうか。
(Samsungの以前のロードマップだと、まだまだ画素微細化に意欲的な様に見えましたが・・・)

 積層型イメージセンサが最早ひと時もしくは一企業のブームで終わりそうも無いことは明白。今後もしばらくは一大テーマとして存続するのではないでしょうか。


②ToF(Time of Flight)、HDR(High Dynamic Range)、Global Shutter、Noise(≒低ノイズ)
 上記あたりのテーマは前回も今回も健在

 ToFも何年か前のISSCCで急に採択論文数が増えたと思ったら、やはり一大研究テーマとして定着した感がありそうでしょうか。
ノイズは昔からの永遠のテーマ、HDRに関しては、今市場として注目度急上昇していると思われる”車載向け”を意識した発表が増えている様に感じます。


③発表件数が多い企業や大学や個人は?
 順不同で、私がざっと見たところ、以下の様なところでしょうか?
 TSMC
 静岡大学
 NHK技研
 Delft大学
 ON Semidonductor
 ソニー
 STMicroElectronics
 IMEC
 東北大
 Eric R Fossum
 東京大学
 CMOSIS
 DALSA

 いずれも撮像素子分野に関しては著名どころの組織および個人ですね。
ひとつひとつリンクを貼ろうかと思いましたが、さすがに上記量は時間がかかるので勘弁してもらって(^^;)
(いずれの組織もこの世界では有名と思いますので、上記組織もしくは個人名と”Image Sensor”等のwordの&で検索すれば、ヒットすると思います)

 それにしても、やはり贔屓目無しに、(発表内容の質については全く無視した発言になりますが、)まだまだ日本勢が健在な分野ですね。なんだか誇らしい気分にさせてくれます(^^;)


④あまり見慣れなかった組織が参入してきている?

(※こちらも私の所感です。過去の傾向等を正しく集計比較したりした訳ではありません。その点はご容赦願います)

 トヨタ (11.04:0.18umCMOSプロセスを用いた、近赤外光感度を高めるSPAD)
 Google (CMOSイメージセンサの読み出しノイズ分類のため(?)の計測とモデリング)
 Qualcomm (4.01:サブミクロン画素のための新しいカラーフィルタパタンとそのデモザイク法)

 トヨタは、夜間などの暗くなってきた際の車載用の赤外センサの開発というようなところなのでしょうか。
 Googleは自社事業にどう関係するのかわからない非常に広いテーマの発表ですね(^^;)会社としてやってることの懐が深いというか、ある意味IBMっぽくて感服です。
 Qualcommは自社でイメージャーと作り出すということは無いと思いますが、スマホの自社プロセッサに高度な画処理機能を持たせて、その中に独自の高感度もしくは低ノイズが達成可能なカラーフィルタ配列センサ向けのデモザイク機能も入れるというような狙いなのでしょうか。

 今回は発表無いようですが、最近はappleからもイメージセンサの特許の開示が見られたりするので、イメージセンサ分野もしばらくはまだ活気溢れる状態が続きそうでしょうか。


 さて、以下からは個別の発表についてです(・・・と言ってもたいしたコメントは出来ませんが^^;)。
タイトルを見て、私が興味を惹かれたものをざっと。

1) 1.01 chipworks The State-of-the-Art of Mainstream CMOS Image Sensors
 以前のこのエントリの各社のセンサの画素断面写真も、前回のIISWのチップワークスの発表資料のもの。
 今回も内容は不明ながら、この1~2年の間にチップワークスが各社のセンサを解析し、「これは!」と思う開発トレンドをまとめてくれるのではないでしょうか。
個人的に最も期待している発表の内のひとつ。

2) 1.02 Samsung Back-side illuminated 28M-pixel APS-C sensor with high performance
 明らかにSamsungのフラグシップミラーレスNX1に搭載された、世界初のAPS-Cサイズの裏面照射型センサについての発表であることは間違いないと思われます。
ただ”APS-Cサイズの裏面照射型センサ作りました”という内容では期待外れ。作るにあたり苦戦したり創意工夫したり、まだ世に公表されていない技術などの内容を期待。

3) 1.03 CANON A Low Noise and High Sensitivity Image Sensor with Imaging and PhaseDifference Detection AF in All Pixels
 タイトルからは、EOS 70D & 7Dmark2に搭載された”Dual Pixel CMOS AF”についての発表と思われます。
 こちらもSamsung同様、既にHP等で公表されている概念図や特許で公表されている内容に加えて、どの程度踏み込んだ内容になっているかに注目。

4) 1.04 SONY A 4M pixel full-PDAF CMOS image sensor with 1.58μm 2X1 On-Chip Micro-Split-Lens technology
 内容によっては個人的に最も興味深い発表。←まだ、どこにも公表されていない内容であると思われるため。
タイトルから読めるのは、”full-PDAF” CMOS image sensor ←つまりは恐らく”全画素がPhase Detection AF画素であるCMOSイメージセンサ”の発表。
後ろについている”2X1 On-Chip Micro-Split-Lens”は、1画素上のオンチップマイクロレンズに何らかの仕掛けがあって、左右からきた光束を、同様にそれぞれ1画素内で左右に分かれているフォトダイオードに別々に導くことによって全画素位相差AF機能を達成しているということ!?
つまりこれは一つ前のキヤノンのDual Pixel CMOS AFのソニー版。
 今回、偶然かあるいはどちらかが当て込んだか、キヤノンとソニーの類似内容の報告がバッティングしているのは聞いている方は面白いですね。達成手段もそれぞれ異なりそうですし(^^)
 興味深かったので、ちょっとこの手の特許がソニーから既に出願されていないか調べてみましたが、残念ながら見つけられず・・・(--;)
(というか、もしくは特許が公開される前に学会で報告することにした!?)
 いずれにしても、ソニーの場合、世間に公にした技術は遠からず製品に搭載するという過去の傾向があると思いますので、この全画素位相差AF画素となるセンサも、近々製品化される可能性があるのではないでしょうか。

5) 2.03 SONY A 1/1.7-inch 20Mpixel Back-illuminated Stacked CMOS Image Sensor with parallel multiple sampling
 これはもう今年のISSCCと全く同じ内容でしょうね。
この短い期間の間に新しい内容が追加されることは期待出来ないでしょう。
しかし、年末くらいに発表資料が手に入るという意味において、同様の内容をIISWでも報告してもらえるのは有難いことです。

6) 2.02 A 3D stacked CMOS image sensor with 16Mpixel global-shutter mode using 4 million interconnections
 これもひとつ上のソニー同様、同じ時期の今年のVLSIシンポジウムで報告予定の内容と同じものになるのだと思われます。

7) 2.01 OmniVision Stack Chip Technology: A New Direction for CMOS Imagers
 CMOSイメージャーの新しい方向性。積層チップ技術
 割とコレと同じ様な報告内容になるのでは?と予想。

8) 2.04 NHK技研 & 東京大学 A Three-Dimensional Integration Technology with Embedded Au Electrodes for stacked CMOS Image Sensors
 基本的には昨年のNHKの技研公開時の三次元構造化技術この写真の技術の発表と思われます。
今年の技研公開は今月5月の最終週に予定されており、そこでの展示内容プログラムも既に発表されています。その中の”ポスター展示”の最後に今年もこの3次元構造撮像デバイスの報告も予定されています。
この埋め込み金電極による貼り合わせ技術が、昨年と比べてどの程度進んだのか?5月末に技研公開で公開される情報よりも更にどの程度踏み込んだ内容が報告されるのか?注目です。
(この技術、下手を打つ≒進捗はかばかしく無いと、ソニーと特許ライセンスを結んだZiptronixという会社の貼り合わせ技術にトレンドを持っていかれて製品としては日の目を見ない危険が出てきていると感じます。)
 

 以上までで、セッション2まで終了です。
この後のSessionでも、個人的にまだまだ注目の発表があるのですが、ちょっとこのままいくと長くなり過ぎるので、また来週以降に持ち越そうと思います。

しかし、こうやって自分で見返すと、セッション1と2は、ほぼ全ての発表を取り上げてしまっていますので、私としてはやはり冒頭のセッション1&2で発表される件は全て興味深い件ということですね(^^;)



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2X1 On-Chip Micro-Split-Lens?

私も"2X1 On-Chip Micro-Split-Lens"に興味があります。以下は私の想像です。

キヤノンのDual Pixelでは、マイクロレンズ下に二つのPDが置かれています。この方法をそのままBSIに適用すると、FSIで配線層が果たしていたPD間の遮光板がないため、組になるPD間に位相差検出が可能なほどの輝度差が発生しないように思えます。その為、スプリッターとして、組になるPDを跨ぐような山形の小型プリズムを追加した、あるいはマイクロレンズがスプリッターも兼ねる形状をしているのではと考えています。

Dual Pixel

Dual Pixelの場合、開口を遮光することはないのでBSIだからダメということはないと思います。
測距のレンジと精度はセルサイズやオンチップマイクロレンズの曲率、マイクロレンズとフォトダイオードとの距離などで決まります。その調整のために光学素子を使用しているということではないでしょうか。。

Re: Dual Pixel

> 5o さん
仰る通り、Micro-Split-Lensは調整をするための光学素子だと思います。
BSIでDual Pixelのような開口を遮光しない位相差検出を行うには、FSIでは必要がないそのような特別な光学素子が必要なのかなと考えたのです。

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