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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

Nikon D5200&7100搭載センサの画素断面 ~東芝製APS-Cセンサの画素断面

 以前のエントリニコンの一眼レフカメラD5200とD7100搭載の撮像素子は東芝製であることを書きました。
今回は、前回エントリchipworksIISW発表した資料に、上記東芝製APS-Cセンサの断面写真が公開されていました。

ので、それをネタにしたいと思います。
D5200.png←Nikon公式HPに掲載されている、一眼レフカメラD5200搭載の撮像素子写真
 
写真左:チップワークス発表資料にあるD5200搭載 東芝製APS-Cサイズ撮像素子の画素部の断面写真
 写真右:Samsungミラーレス一眼NX200搭載 サムスン製APS-Cサイズ撮像素子の画素部の断面写真↓
D5200.PNG
今回、この写真で私が気づいたことでblogエントリしたくなった理由は以下3つです。

※写真小さいので、ご興味あればクリックして拡大してみてください


1) APS-Cサイズ素子としては東芝製センサは圧倒的に薄い!

2) M4 Cuと書かれている層の上に隙間無くすぐにカラーフィルタ層が載せられている

3) Green画素にだけ反射防止膜が存在している




上記1)について、比較のために、同じ発表資料の中の他のセンサの写真も以下に転載。
D4.PNG

















↑ Nikon一眼レフカメラ D4搭載ルネサス製フルサイズ撮像素子 画素部断面写真

RX100.PNG

















↑ ソニー ミラーレス一眼RX100搭載 ソニー製1インチ型撮像素子 画素部断面写真

canon.PNG









↑写真左:Canon コンパクトデジカメS100搭載 キヤノン製1/1.7インチ型撮像素子 画素部断面
↑写真右:パナソニック コンパクトデジカメDMC-SZ7 Panasonic製1/2.33インチ型撮像素子 画素部断面

 上記写真に断面の厚さが同じところで測定されていないので、ざっと目分量で(^^;)、”シリコン表面から最上層メタル配線上までの厚さ”を書き出すと

製造会社 撮像素子サイズ 金属配線層数 最上層メタル上までの厚さ
東芝    APS-C       4         2.3um
サムスン  APS-C                   3                        3.0um 弱? 
ルネサス フルサイズ           3                        4.5um 強?
ソニー   1インチ        4                        2.0um くらい?
キヤノン    1/1.7インチ            2                        1.5um 強?
パナ    1/2.33インチ          2                       1.0um 以下!?

 この低背化は斜め入射光に対する特性upに相当効くと思われるのですが、
 まず、サムスンとルネサスの撮像素子に対しては文句無く(東芝製の素子の方が)圧倒的に薄いですね。
しかも配線層数が東芝製の方が1層多いのにも関わらず です。

 次に、キヤノン、パナソニックの撮像素子に対しては、東芝製の方が厚そうです。
が、比較対象の撮像素子とまずチップサイズの大きさが違い過ぎます。面積で数倍から十数倍異なると低背化の難しさが異なるのではないかというのと、そもそも配線層のが数やはり2層と4層でこれまた全く異なります。

 それに、多少観点はズレるのですが、ここに載せている他のセンサと比較して、東芝製センサの画素部断面のアスペクト比(注:ここで言いたいアスペクト比とは、マイクロレンズ下からシリコン表面までの厚さと画素ピッチの比のつもり)が、断然小さく見えます。(←画素ピッチと相対的に比較して、井戸の底にあるフォトダイオードまでの深さが浅い)
 何が言いたいかと言うと、”画素ピッチがそれなりに大きい割には過剰に(≒特性をアップさせるために手厚く)低背化の技術を東芝(他社よりも)投入している”ようだということです。

 そしてソニー製1インチと比較すると、東芝製APS-Cサイズ素子は目分量では同程度の厚さに見えます。
が、(これが上記2)につながるのですが、)同じカッパー(Cu)の4層目の上とカラーフィルタの間にソニー製センサは隙間があるのに対して、東芝製センサはその隙間が存在しません。
配線による光線蹴られによる感度downや隣接画素への斜め光の漏れ(迷光)を考慮すると、光学的には東芝の様に最上層メタル配線とカラーフィルタの間に隙間が無い方が理想的だと思います。
が、通常、ICには保護膜(パッシベーション膜)というものが存在するはずです。
保護膜は名前の通り、ICを物理的及び化学的ダメージ(←水分等)から守るためのもので、ほぼ間違い無く各社のあらゆるICに存在するものだと思っています。
 ソニーのM4Cuとカラーフィルタの間の層は、この保護膜ではないかと予想しているのですが、では何故東芝のセンサにはこの膜の存在が見受けられないのか!?
もし無いのだとすれば、素子の信頼性は大丈夫なのか?
または、このM4Cuの上ではなく、更にカラーフィルタ&マイクロレンズを含めた上層で同様の保護層を設けているのか?
もしくは、「必ずパッケージで封止するから、IC自体には保護層はなくても信頼性はパッケージ全体で保証可能」という思想なのか?
それともうっすらと薄く見える層が保護膜なのか?

 私には謎です(^^;)。
とにかく光学的な特性面だけ考えれば東芝の様な断面構造にする方が良いと思われます。


 最後に3)ですが、「どこかで見たことあるぞ」と思ったら、ルネサス製造Nikon D4搭載センサでも同様の(Green画素上にのみ反射防止膜が存在する)構造(←最後の写真)でした。
今回の写真だけでは、D5200搭載東芝製撮像素子が”Green画素のみ”に反射防止膜が形成されているのか、”Greenとredには形成されていてBlueには無い”のかの区別はつけられませんが、思想はルネサス同様、各色(入射光波長)に合わせたチューニングということなのでしょう。
手間暇は余計にかかるはずですが、今後、ハイエンドカメラ搭載撮像素子はみなこうなってゆくのでしょうか。

 さて、秋の行楽シーズンを前に、ソニーからフルサイズNEXやレンズカメラの噂も出ていますし、もうしばらくこの大判の撮像素子分野は熱い(暑い?(^^;))状態が続きそうですね。



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保護膜

1)ですが、東芝のセンサーで配線層が薄いのは、ソニーと同様に配線を絶縁層に直接埋めているためでしょう。両社はかつてCellを共同開発・製造していましたから、Fabの機器メーカーが同じかもしれませんね。ルネサスも同じですが、配線が太いため、このままでは薄層化は困難そうです。
NANDメモリー最大手のサムソンのセンサーはちょっと残念な構造なので、メモリー回路用プロセスがセンサーにも有効なわけではないようです。

2)ですが、SEM画像を見る限り、東芝以外のセンサーでは保護層と配線間絶縁層の物性は同じように見えます。しかし、東芝センサーの保護層は絶縁層と明らかに物性が異なっていますので、薄膜化と関係がありそうです。SEM-EDXで直ぐに構成元素が分かりますので、Chipworksのレポートには記載されているでしょうね。

3)ですが、単相のARコートは特定波長にしか効果がありませんので、Gのみにしたのでしょう。

Re:保護膜

>hi-lowさん
imagerマニアです。

>1)ソニーと同様に配線を絶縁層に直接埋めているためでしょう。
Cu配線プロセス(ダマシンプロセス?)の特徴でしょうか。

>ルネサスも同じですが、配線が太いため、このままでは薄層化は困難そうです。
 そうですね。
ルネサスは今とても厳しそうで、事業を絞ろうとしていると思うので、個人的にはこの先撮像素子のプロセスに投資はしないのではないかと予想しています。結果、(画素数競争は結局止まりそうもないので)ニコン設計ルネサスFab製という撮像素子は近い将来この世から消え去るのじゃないのかな~と。

>NANDメモリー最大手のサムソンのセンサーはちょっと残念な構造なので、メモリー回路用プロセスがセンサーにも有効なわけではないようです。
 まあ残念というか、ligght pipe(日本語的には導波路?)構造なので、これはこれで思想的にはありだと思います。薄くして得するICは受光素子だけだと思いますので、おっしゃる様にメモリ用の先端プロセスを持っていても薄膜化に直接の恩恵は無いようですね。

>2)しかし、東芝センサーの保護層は絶縁層と明らかに物性が異なっていますので、薄膜化と関係がありそうです。
 つまりこれは、東芝センサでは断面写真に見えているM4Cuの上の薄い層が保護膜であるという見解でしょうか?

>3)ですが、単相のARコートは特定波長にしか効果がありませんので、Gのみにしたのでしょう。
なるほど。納得です。

  • imagerマニア
  • 2013/09/04(Wed.)

Re: Re: 保護膜

> Imagerマニア さん
 すべて断面からの想像で、具体的なプロセスを指摘できるだけの知識はありません…。

> まあ残念というか、ligght pipe(日本語的には導波路?)構造なので、これはこれで思想的にはありだと思います。
 サムソンのセンサーは、物性の異なる物質が配線間に見えません。つまり、センサー内で屈折が起こりませんので、light pipeとしての機能はほとんどないと思います。窒化層と充填有機物の界面での反射あるでしょうが…。
 その点、キヤノンは凝っています。

> つまりこれは、東芝センサでは断面写真に見えているM4Cuの上の薄い層が保護膜であるという見解でしょうか?
 LSIの構造について知識がないため、保護膜以外に思いつきませんでした…。

Re:Re: Re: 保護膜

>hi-lowさん

> サムソンのセンサーは、物性の異なる物質が配線間に見えません。つまり、センサー内で屈折が起こりませんので、light pipeとしての機能はほとんどないと思います。
 良く見直したら、chipworksの写真の下の文字も、パナソニックとキヤノンは”light pipe”となっていますが、サムスンのは”Cavity Fill”となっていますね。
まずい、私には違いがよくわかりません(^^;)

> その点、キヤノンは凝っています。
 キヤノンのは見た目複雑そうで確かに凝っている感はあるのですが、どの辺が(特にサムスンに対して)良さそうなんですかね?
花瓶みたいな形のlight pipeの方が効果高かったりするのでしょうか?

  • imagerマニア
  • 2013/09/08(Sun.)

Re: Re: Re: Re: 保護膜

> imagerマニア さん

キヤノンのセンサーで花瓶の形をした部分は、周辺よりも高密度の領域で、マイクロレンズが集めた光をフォトダイオードに導く光ファイバーの役割をしています。物性が周辺と同じ場合は光ファイバーになりませんので、cavity fill (充填剤)が一様に詰まっているサムソンのセンサーには light pipe がないと言えます。また、単純な円筒形では射出端で光が広がってしまうため、くびれを作ることで広がりをコントロールしているのでしょう。干渉もコントロールしているかもしれません。
凝っていますが、マイクロレンズと配線層が薄くできれば必要のない構造でもあります。

パナソニックのセンサーでは花瓶形ではなく円錐形になっていますが、こちらはセンサー内レンズとして機能していると思います。

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