東芝は昨年12月から今年3月にかけて、
こんなセンサや、
こんなセンサ、
それにこんなセンサ、そして
こんなカメラモジュール を矢継ぎ早に市場に投入することを発表しています。
最初から順に、それぞれ
①1/2.3インチ/2000万画素、コンパクトデジカメ向け想定
②1/4インチ/800万画素、スマホ(メインカメラ)向け想定
③1/7.3インチ/200万画素、スマホ(サブカメラ)向け想定
④1/3インチ/1300万画素、スマホ/タブレット向け想定
というラインアップ。
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①のリンク先にもありますが、東芝は「2015年にはコンパクトデジカメ向けCMOSセンサ市場で30%のシェアを取りに行く」と明言しています。
せっかくですのでついでに触れておきますと、(画素ピッチは全く異なりますが、)監視カメラ用途にも最近
こんなセンサを発表しています。
そして一眼レフカメラ用途でも、最近立て続けに2強の内の一つニコンのデジタル一眼レフカメラに、
こんな感じと
こんな感じで東芝製CMOSセンサが撮像素子として採用されています。
「これを”意欲的”と呼ばずして何を意欲的というのか?」
と思わせられる東芝の勢いです。
さて、①~④のセンサやカメラモジュールは、用途や画素数は異なれど、
共通するのは1.12umもしくは1.2um□画素ピッチの裏面照射型センサ(撮像素子/CMOSイメージャ)であるという点です。
以前のエントリでのchipworksのスマホ&タブレットのカメラセンサの市場分析において、
プライマリカメラの勝者の5社の内の5番目に数えられました。
しかし、スマホやタブレットに採用されている東芝製センサの主だったものは”表面照射型のセンサ”であったという分析も加えられています。
上記分析は2012年のものだったのですが、昨年の最も数が出た(≒つまりシェアを決めた)センサの画素ピッチは1.4um□ピッチでした。
上記2点から予測されるのは”このままでは”東芝は上位5社から滑り落ちる ということです。
何故ならば、今後もセンサ画素の微細化トレンドは維持されるでしょう。そして、”一般的には”
画素ピッチが1um□の前半に突入すると、表面照射型センサでは、感度/周辺減光/感度のF値依存などの主要特性を維持することが難しくなるためです。(←フォトダイオードまでの井戸の深さがあまりにも深くなり過ぎて(=アスペクト比が大きくなり過ぎて)井戸の底にいよいよ光が導けなくなるため)。
ですので、一眼レフ用の撮像素子市場を獲ることにまだ支障は出ないと思いますが、
スマホカメラ向けセンサ市場を獲ろうとすると最早裏面照射型センサ無しで勝負することは難しいと思われます。
そういうことが東芝社内でも考えられ、シェア獲り30%の目標を達成すべく、今回の1.12um~1.2um□画素ピッチの裏面照射型センサの重点的な開発に至ったのだろうと予想します。
そして、うまいことに
②~③は同じ画素ピッチ1.12um□の(恐らく)全く同じ画素を流用し、センサのチップサイズ(≒撮像画角)を変更することにより、アプリの用途別に3種のセンサ及びモジュールを作り出すという効率の良さ。
しかし、あれですね。
①のリンク先には”コンパクトデジカメ向けに2013夏から月産30万個で量産開始”というようにあります。
つまり、東芝の予定通りにことが運ぶと、
今年の終わり頃には各社のハイエンドコンパクトデジカメ機が(勿論全てではないにしても)2000万画素に変わるんですね~。
この東芝製の①のセンサの特性が悪いとはいう意味ではありませんが、既に現状のコンパクトデジカメ機の画質に満足出来ていない身としては”今後益々コンパクトデジカメは買えなくなるんだなー(--;)”などという感想を持ってしまいました。
ま、高いですけど、最近は1インチ以上の素子サイズのコンパクトデジカメも出てきてますから、そちらを選ぶことも可能ですので、ある意味悲観することもない世の中なのですが(^^;)
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