今回は、
前回blogエントリ(ニコンD810搭載センサ&ソニーα7s搭載センサ)で扱いきれなかった他の最近の私が気になるセンサの外観を。私の備忘録も兼ねてライト目に。
まず最初は、本年6/28に発売になったらしい、
シグマDP2 quattro搭載撮像素子から。
↑写真ソースは相変わらず
デジカメwatchさん
最近
シグマの山木社長のインタビュー記事も、(発売に合わせて)行われていましたね。
このセンサやカメラ自体のもう少し詳細は
こちらのCP+での山木社長自らのプレゼンで。
上記CP+のシグマのエントリで、”プロジェクタで投影されたセンサの写真”は、このblogに載せたことはあったのですが、センサ単体のキチンとした写真も残しておきたいなと(^^;)
カラーフィルタが載っている一般的なセンサと異なり、センサ写真の画素領域の色が如何にもモノクロセンサっぽい外観であることが目を引くFoveonセンサ。
センサパッドはセンサの4辺にビッシリ。
[2回]
実効的な解像度の議論は置いておいて、DP quattroセンサの実際の物理的な画素数は、
top層:2000万画素
middleとbottom層が各々490万画素
計3000万画素弱。
一方、例えば高解像度のライバル機種の内の一つになるであろう、ニコンD810の画素数は
3600万画素少々。
センサから読み出さなければならない画素信号量としては、(今回シグマが”解像度は落とさないけれど、データが重くなり過ぎないようにこだわった”から?)3
層構造のFoveon quattroセンサよりも、D810搭載センサの方がまだ多い計算。
(センサで律速しているか不明なれど、連写速度もFoveon:3.5駒/Secに対し、D810:5駒/Secと、少なくともquattroセンサの方が速いということも無し)
にも関わらず、
前回エントリのD810搭載センサ写真と見比べて頂ければわかるように、
D810搭載センサよりもDP quattroセンサの方がパッド数=ワイヤ数=パッケージピン数が多い様に見えます。
これは何を意味するのか?
①quattroセンサの方が電源/GNDを強固にする必要がある、もしくは電源/GND端子の種類が多い、
ので、電源/GND端子数が多くなっている
②D810はセンサ駆動用のパルスをセンサ内部で生成しているが、Quattroセンサの方は、センサ外部から駆動用のパルスを全てもらっており、そのセンサパルス駆動用のパルスの分だけ端子数が多くなっている
③信号出力端子一つで読み出せる信号読み出しスピード(デジタル信号出力センサであれば○○bpsに相当)が、D810センサの方がQuattroセンサよりも圧倒的に速く、
結果、quattroセンサの方が出力端子数が多く必要となっている
上記いずれかもしくは複数の理由の複合ではないかと考えます・・・・・・
が、Foveonセンサは実用化されている固体撮像素子においては、現状唯一1画素で3原色取得可能なimagerですので、こういう(コストやカメラ設計者の使い勝手みたいな)俗っぽい話とは切り離して考えるべき孤高の扱いで良いのかもしれませんね(^^;)
お次はしばらく前に
本年のNHKの技研公開で見てきた1.3億画素センサ外観。
↑私自身も写真を撮ったのですが、こちらの写真のソースは今度は
AVwatchさん
こちらの写真の方が綺麗に撮れていたので。
ガラス内展示のみ
一見して、
並の(?普通の民生用の)撮像素子と比べて、パッケージが頑丈そうで、「コストかかってんなー」感(?)がありありです。
やはり最終的に数万台、数十万台製造想定のセンサ用パッケージと、数台、数十台製造を想定するセンサ用パッケージの違いや、何よりセンサを載せる機器自体に掛けられるコスト(≒値付け)の違いから、最初から(コスト含む)設計思想が根本的に異なるのだと思います。
また、
(パッケージの頑丈さと)もう一つ関係しているのかな?
と私が思うのが、発熱。
恐らくD810搭載撮像素子などは、せいぜいいっても2Wまでの消費電力なのでは?と予想するのですが、
上の写真のNHKの1.3億画素60fpsセンサは、恐らく5W前後は電力食ってしまうのでは?と思います。
そうするとヤワなパッケージ・・・極端にはコスト削減でプラスチック製のパッケージなどにしてしまうと放熱がうまくいかなくてセンサ特性劣化やそもそも誤動作につながったり、
また、パッケージ自体がセンサ発熱にやられて反りや変形の憂き目にあって、実装されている基板から剥がれたりといった信頼性上の問題にも発展しかねないと思います。
そういった技術的(?)な理由からも、この
NHKの1.3億画素センサのパッケージは物理的に変形に強く、また放熱性に優れた頑丈なパッケージである必要があったのだろうなと感じました。
以下からは私が実際に撮影してきた写真になりますが、
↑ NHK 1.3億画素センサ仕様(spec)表
ちなみに話が少し逸れますが、
技研公開前の幣blogエントリで、期待を込めてこのセンサを採りあげました。
その後、技研公開へ実際足を運んで、もう一度このセンサのことについて詳しく書こうと意気込んでいたのですが、結局時間が経ってからのこの外観のみのエントリに留めました。
理由は、
”展示説明員の方から、上の写真の仕様以外のことについてほぼ何も教えてもらえなかったから”です。
他のブースでは、むしろこちらから聞けば、聞いたこと以上に積極的に情報発信してくれる雰囲気だったのですが(←これは今年に限らず毎年そう)、今年このセンサに関してのみは渋かったです(--;)
どうやら、やはり共同で研究開発を行っている会社があるようで、”学会的なところで発表が終わるまでは詳細は伏せておかねばならない”といった相手方の会社にも配慮しなければならないことが伺われる回答でした。
という訳で、追加で書く必要も無いし、書くこともないなと。
そんな中で、外観に関係して一つだけ。
上の写真の一番最後の欄:パッケージ
何と!!! 1125ピン !!!
これは尋常なピン数ではありません。
例えば、
高速読み出しが売りのニコンVシリーズ等に搭載のAptina製1インチ撮像素子
上記センサのピン数が
124ピン
例えば、
ブラックマジックプロダクションカメラ4K搭載撮像素子と思われる、
CMOSIS社の12Mpixで12bit分解能時に最大180fps出せるこのセンサ
それでもピン数は
237ピン です。
私が見聞きしたことがあるのは、上記200~300ピンくらいまでです。
まあ
チップ上のパッドスペース、パッケージ側のピンの実装スペース、それらを考えても上記くらいまでが現実的なところだと思います。
かくしてそれらを軽く4倍以上上回る1125ピン・・・
実際どれくらい凄いかと言うと、視力両目とも1.5を維持する私が、上の写真のガラス張り越しにセンサとパッケージ間のワイヤを眺めたところ、細すぎて見えませんでしたΣ(°д°)
上記一つとっても通常は量産困難なセンサであろうなと思いました。
↑ピントが手前のガラスケースにきてしまっていますが(^^;)、センサを横から撮ったもの
センサピンが剣山の様にビッシリ埋まっているのがわかると思います。
↑こちらはピント外している上に更にブレてしまっていますが(^^;)、実際に動作デモで、センサが実装された基板裏からの写真
上の写真のヒートシンクが見えているところ。あの真裏に1.3億画素センサパッケージが実装されています。
恐らく放熱のために、ヒートシンクの箇所は基板が繰り抜かれていて、パッケージ裏面にヒートシンク直付けです。
ですので、さきほどの剣山のピンの山も、上記ヒートシンクの面積箇所のみは存在せずに、その回りをグルリと囲むようになっています。
そして拡大して見て頂ければわかるのですが、
その剣山を受けた実装側の半田ボールが上の写真のヒートシンクの回りに無数に見えます。
1125ピンとなると、これだけ細かい半田ボールを密集させないと実装不能ということですね。
これは職人さんが一点一点手ハンダしていっているのでしょうか?(^^;)
このNHKの1.3億画素&60fpsセンサについては、いずれどこかネットで仕入れられる資料で学会発表内容が公表されれば、また書きたいと思います。
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