Imager マニア

先日発売されたAppleの10型サイズのタブレット”iPad Air”。
アップルのタブレットで5世代目となると思うのですが、chipworksが早速簡易に分解し、カメラモジュール内の撮像素子(imager/センサ)が、front(＝メインカメラ)及びFaceTime用(＝サブカメラ)双方ともOmniVision(オムニビジョン)製であるとしています。

※OmniVisionは、一眼レフやミラーレス、コンパクトデジカメの分野では名前を聞かないと思うのですが、”モバイル端末市場の”カメラモジュール用撮像素子に関しては出荷数量ベースでは2012年ではシェアNo.1のセンササプライヤーです。

以下写真は全てchipworksより。
 ←iPAD Airのfrontカメラモジュール
■画素数：500万画素
■画素ピッチ：1.4um□
■裏面照射型CMOSイメージセンサ
←同FaceTimeカメラモジュール
■画素数：120万画素
■画素ピッチ：1.75um□
■裏面照射型CMOSイメージセンサ

[2回]

←frontカメラに搭載されていたセンサ表面のmarking(≒刻印？)部拡大写真
上段の8桁の英数字を、チップワークスはセンサ型番名と判断しているようです。
恐らく先頭二文字の”OV”がOmniVisionを表すのでしょう。
左下のマックみたいなマーク(^^;)も、もしかしたらオムニビジョン社が使っている自社を表すマークなのかもしれませんね。

 ←同FaceTimeカメラモジュール搭載撮像素子の表面刻印部拡大写真
ちなみにこちらのセンサ型番名は”OV2E0BNN”


　双方裏面照射型で、かつOmniVision製。
ちょっと意外でした。そろそろiPadもメインカメラはソニー製に切り替わると思っていたので。
　というのは、iPhoneの方は、4sから最新の5sまでメイン(front)カメラに関してはソニーがサプライヤーとなっていた(サブカメラはOmniVision製)ので。
(iPhoneも4までは、メインカメラもOmniVsion製だった)


　そしてiPhone5⇒5sでもそうでしたが、今回iPadにおいても第4世代⇒Airでカメラの画素数は据え置き。
iPhoneの場合は、画素数据え置きで、チップサイズを大きくして画素ピッチの拡大により画質改善を図った様ですが、iPadの方は画素サイズの方も先代と同じようです。

※先代になることになったiPad4(？←第4世代iPad)のカメラの画素数：5Mpix。画素ピッチ：1.4um　←共にフロントカメラの方

　”じゃあ先代のiPadと全く同じ撮像素子なの？”
というと、そういう訳でもなさそうで、先代の第4世代iPad搭載センサのdie(ダイ←センサチップのこと)マーキングは、メイン及びサブカメラでそれぞれ
　OV290BA　/　OV23CB
で、双方とも、今回のAir搭載撮像素子のマーキングと異なっています。
なので、撮像素子自体は第4世代からAirの間で何等かの変化(進化？)はあるようです。

　”じゃあOmniVision製の全くの初物のCMOSセンサなの？”
というと、それもそうでは無いようで、チップワークスの原文ではそれぞれ以下の様になっています。
・Frontカメラの5Mpix撮像素子の方は、'12年10月発売のiPod touch搭載カメラと同じもの
・FaceTimeカメラの撮像素子の方は、'13年9月発売のiPhone5sと5c搭載カメラと同じもの


　まあ、サブカメラの方は、iPhone5sと同様ということで自然で文句も無いのですが、メインカメラの方は、Airを買うことを検討している人なら
”どうせだったらケチらずiPhone5sと同じソニー製の800万画素のセンサにしてよ～”
という気分になりそうです。

　チップワークスの原文ではこのあたりのことを
・タブレットは薄さを強調したいので、より大きなユニットになってしまうiPhone5sの800万画素センサ搭載カメラユニットの採用判断は難しかったのだろう
・私(←原文の記事を書いた人)は、タブレットで写真を撮ると、人なり物なりの行く手を遮ってしまうので、カメラを充実させなかったことには賛成だ

　上記双方共ラフな意訳です。間違っていたらご容赦を。
正直個人的には上記は双方とも納得しかねます。
スマホだって各社薄さはより強調したいでしょうし、カメラの画素数がどうあれタブレットでも写真を撮っちゃう人は撮っちゃいます。

　ま、しかし、真相はどうあれ、Apple的にもタブレットのカメラ機能はスマホのカメラ機能ほどには力を入れない方針の様ですね。



　おまけ
同様にチップワークスの解析で、しばらく前にサムスンのギャラクシーノート3搭載カメラの撮像素子も明らかにしています。


↑サムスン　Galaxy note3 カメラ搭載撮像素子

結果、ソニー製　stacked(積層型)CMOSイメージセンサでした。

今年の3月にソニーがカメラモジュールのサンプル出荷を発表していたセンサ(IMX135)ですね。
Galaxy note3の発売が10月頭くらいですので、このことから、大手のスマホに積まれるカメラ用のセンサは、完成品が製品発売の7ヶ月程度前にあれば良いということがわかります←出力形式や画素数が変更になるか否か等にも大きく依るとは思いますが・・・
　
　また、iPhone5s搭載カメラ用の、同じくソニー製stacked CMOSイメージセンサでは、上の写真の様にセンサ上端に存在する”TSV”←topとbottomのセンサダイ同士を電気的に接続する穴＝シリコン貫通viaが撮像画素エリアの端から端まで存在しないことが大変疑問だったのですが、
このGalaxy note3用のセンサはオーソドックスに画素エリアの左右の端までTSVが存在している様です。