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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

NHK技研公開2013 ~新たなイメージセンサの登場は無し

 ラッキーなPK獲得により5大会連続のワールドカップ出場獲得。

 さて、先日6/2(日)に技研公開(=NHK放送技術研究所一般公開)に行ってきました。
二年連続。
二年続けて行くと、研究のスピードや流れが見えて、また違った視点が出てきました。

しかし、既にタイトルに書いてしまったとおり、撮像素子単体として新たなものが出てきたりはしませんでした。
ただ、個人的には興味深い次世代の研究も多く、その他の理由も含め行って良かったです。
IMG_5215.jpg
 
↑ 今年、技研公開直前に発表されたスーパーハイビジョン撮影用カメラヘッド
事実上、”無理矢理このイベントに間に合わせた”という感じなんでしょうね(^^;)
でも、ちゃんと4日間一日中1台は動作し続けるまで仕上げてくるのは凄いと思いました。

 載っている撮像素子は、昨年紹介した NHKが2012年のISSCCで報告した
 ・2段サイクリックAD搭載
 ・96チャンネル並列読み出し
 ・有効撮像エリア:1.5インチ
 ・消費電力:2.5W
 ・画素ピッチ:2.8um□
 ・フレームレート:120fps
 ・AD分解能:12bit
の8Kデジタル出力センサ・・・・・・に、ベイヤのカラーフィルタを載せたもの


 以下は説明員に色々聞いたり見たりした内容。

 ちなみに写真のカメラヘッド自体の消費電力は30W
筐体はファンで冷却
しかし、(騒々しい)イベント会場で聞く限りは音は聞こえるが気になるほどではありませんでした。
筐体は小さいですが、触ってもほんのりあったかい程度
イベント中は一日回していても問題無いのだとか。
「30Wの内、センサが2.5W。ではその他は何に食われているのか?」私
「ほとんどがFPGA(Virtex)」説明員

現在の写真の展示実機は、実際にはセンサその他120fps出せる実力を持っているのだが、センサ駆動パルスもFPGAで生成しており、その駆動パルスの120fps対応が間に合わず、現在は60fpsでしか動いていないそう。

 8Kカメラヘッドの筐体自体は、アストロデザイン製
「池上、日立国際電気、アストロデザインと、毎年組む相手が変わるのに意味はあるのですか?」私
⇒「民間企業さんは、儲け重視されるので、我々の様な研究用途ではなかなか協力してもらえない。ですので作ってもらえるところがあれば、そこにお願いするしかないから」説明員
 意外と下手に出ないとカメラ作れない環境の様です(^^;)

 レンズは交換式。
上の写真はコンパクトプライムレンズ装着。
下の写真の別の実機は、シーソー式電動ズーム付きのフジノンレンズが装着されていました。
IMG_5209.jpg













↑ちなみに上の写真の奥に見えている大きな筐体が、同じ撮像素子のモノクロ版を3板で用いたスーパーハイビジョンカメラ。
二年前くらいから技研公開で公開されていたもの。
三脚が無いと(片載せでは)撮影不能(←重たすぎて(^^;))

↓下の写真は同じ8Kカメラヘッドの裏側
IMG_5208.jpg














 ↑オレンジ色のが光ケーブル。これ一本でデータ送信
カメラヘッドなので、この筐体内にストレージの類は無し。
玄関付近の別の展示の説明員に聞いたのですが、
スーパーハイビジョンの非圧縮データを無線で飛ばすのは、現状かなり難しい
とのこと。現状は光ケーブルでのデータ転送を本命としているようでした。
 別の展示ブースでは、狭帯域での圧縮無線転送や、その際に超解像を用いてなるべく最終的に綺麗な画質を保てるようにする研究は別途行っているようでしたが。

IMG_5211.jpg













↑ 上の写真は、スーパーハイビジョン映像の120fpsと60fpsの動きぼけの差を、並べて比較するデモ動画を流していたものですが、
4Kの液晶パネルを2×2で4面並べていました。
理由は、「現在8Kかつ120fps表示可能なパネルが無いから」
なるほど、と納得しました(^^;)
 ちなみにスケボーの動画でしたが、並べて比較すると、素人の私の目でも明らかに差がわかる程度に120fpsの方が動きボケが低減されていました・・・・・・というか、”8Kにまでして見るなら”、「これは60fpsじゃ動画は意味ねーだろ」と思わせるものでした。

 話は前後するのですが、今年の技研公開のテーマは”期待、見たい、感じたい”
ちなみに昨年は”わくわくがあふれだす”
子供にもわかりやすいキャッチーな言葉を並べているだけで、このテーマというものに毎年大した意味は無いのだと確信しました(^^;)
狙い通り(??)なのか、何故かこの技研公開というイベント、堅い内容であるはずなのに、子供連れの家族の姿も普通に見られ(←確かにスタンプラリーなどのイベントは用意されているものの、子供や家族にとって何が楽しいのか私にはわからない)、専門的な会話の後ろで「コラ!走らないの!」というお母さんの声が混じるという、かなり奇妙なイベントとなっていました(^^;)

 しかし反転、二年続けて行って私が感じたことというのは、
このNHK技研という組織は、”スーパーハイビジョン(ウルトラHDTV≒7680×4320)の普及とその次の空間像再生型立体テレビの実現”という明確な目標を持っており、研究題材も全てがそれに沿ったものであるため、研究者も研究題材自体に迷い無く取り組めていて非常に生産性高そう」だというものです。
 そのためか、人前で説明することが慣れているせいか、説明を聞いていると目的が明快で非常にわかりやすく思いました。


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無題

NHK技研の有機センサはまだ大きな進展はないようですね。

Re:無題

>通りすがりさん
次のエントリの一部で触れようと思ってますが、”大きな”進展はなさそうでしたね~。

私の認識するところ、去年に対して今年の研究成果は
”RGB三層有機膜を積むのに、昨年は10um程度の厚さになってしまっていたが、今年は1um程度の厚さで2層までは積める様になった”
「2層積めるようになったので、来年は3層積めているようにしたい」説明員
という様な感じでした。

 また、ボードに書いていない課題として、昨年から”電極部分からの暗電流が多い”というのがあるそうで、「電極との間のシールド材を何とかしなければならない。(有機膜なので)熱をあまりかけることが出来ないので、最悪(熱により強い物を求めて)有機膜の材料から選定し直さければならないかもしれない」とのこと。
 反面、量子効率は(色によるが)70%程度と十分で、有機膜の分光も問題ない。という感じみたいです。

 既存のこなれた技術に、新たな技術が打ち克つのはかなり難しい(技術的に全てクリアになっても民生用途へは必ず最後に”量産性”と”コスト”という壁が立ちはだかる)ので、後5年じゃ民生用途はまず無理なんじゃないんですかね~ というのが私の感想です。最悪は日の目を見ずに終わるか。

 でも筋は良い研究ではないかと思うので、カメラを適宜買い換えながら気長に待つのが良いのじゃないでしょうか(^^)

  • imagerマニア
  • 2013/06/05(Wed.)

有機センサーの開発状況

有機センサーでいきなり三層積層というのもハードルが高そうですよね。

この分野ではNHK技研の他に富士フイルムが熱心に研究開発に取り組んでいますが、まずは有機一層(つまりシリコンPDを有機膜に置き換え)で実用化しようとしているようです。
来週開催のVLSIシンポジウムでパナソニックと富士フイルムの発表があります。

http://www.vlsisymposium.org/events/pdf/pdf_jp/Highlight_Papers_Tec02.pdf
9ページ目
Panasonic and Fujifilm
非常に高い飽和レベルを持つ有機薄膜を用いたイメージセンサ技術
0.5umの薄膜で従来のシリコンPDより飽和レベル+12db
(8500 Electrons/μm2とありますね)
入射角依存性も改善

以前の富士フイルムの話では赤外線に感度を持たない有機膜を使用するとのことですから、これにX-Transカラーフィルター配列を使用すれば、LPFに加え、最後に残っていたIRフィルタも取り除けますね。

最近の富士フイルムの公開特許を参照すると、暗電流の低減、製造に起因する欠陥を防ぐ手段、センサー有機材料の経年劣化を押さえ込むための工夫など、より実践的な内容に移行している印象を受けます。
個人的な感触としては有機一層の実用化までは五年、有機多層は十年~十五年といったところでしょうか。

それにしても、富士フイルムは長年東芝と組んでいますから、この研究も東芝と進めていると思っていたのですが、パナソニックと研究していたのですねぇ。

Re:有機センサーの開発状況

>VSYNCさん
 大変有用な情報ありがとうございました。
1)有機膜を使ったセンサが単層でも研究されていること
2)VLSIシンポジウムが撮像素子も題材として扱うシンポジウムだったこと
3)富士とパナが組んでいること
 上記3点を私は初めて知ることが出来ました。
富士が熱心に有機膜センサを研究していることは知っていましたが、単層の研究をしているとは知らず、てっきり三層を目指しているものとばかりと思っていました。
また、正にNHKと組んでいるのが富士であろうと勝手に想像してしまっていました(^^;)

 しかし、これはうまく出来れば”自然と裏面照射型センサの特徴を備える”というのは単層でも意味がありそうですね。
つまり、わざわざ二つの基板を張り合わせてPDを配線の上方に持ってこなくても、普通に作れば配線の上方になっているという意味で。
おっしゃる様にこれなら三層センサよりも実用化は早そうです。

 教えて頂いた資料を見ましたが(オリジナル資料の飽和の記載単位が~/mm^2になっていたのはご愛嬌(^^;))、9500electron/um^2という飽和は、本blog42番目のオリンパスのセンサスペックと比較して確かに+12dB以上ありそうです。
また、断面写真からは膜自体の厚さは1umを遥かに下回る様に見受けられますので、これでちゃんと可視光を吸収しきれるのであれば、裏面照射型センサよりも(こちらも教えて頂いた通り)入射角度依存は更に改善されそうです。

 いや~楽しみです。今後はVLSIシンポジウムも情報収集の対象に入れさせてもらうようにしたいと思います。
お返しにと言っては恩着せがましいですが、以下の様なセンサも世の中では研究されているようです。同じfilm繋がりで。こちらも単層から始まり、将来は3層も視野に入れているようです。やはり計画よりも出荷が遅れているようで、どうなるかはわかりませんが・・・
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100325/181329/?ST=d-ce
ご存知でしたら失礼しました。
今後とも色々教えてください(__)

  • imagerマニア
  • 2013/06/06(Thu.)

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