デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)
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管理人様
一番、上の図を見ていて、えらく沢山のモデル(スマホ等の)が中国から出始めているので、ツラツラとその原因を考えてみることにしました。彼らを、単なる組み立て屋(Just Assembler)と考え続けてていいか、どうかの問題です。
現状をもう一度、確認するために、去年までのスマホの出荷データを見直しました。
http://www.idc.com/prodserv/smartphone-market-share.jsp
ベスト5に3社入っており、未だに勢いは拡大しているようです。もっとも、Appleも実際に製造しているのは、台湾のホンハイですから、これも頭の片隅に入れて考えるべきでしょう。通常ケータイも含めると、全体で20億台弱で、電子産業の中の最も大きな市場の半分以上は支配している、と考えていいと思います。
イメージセンサの市場という観点で、去年のデータを見直してみると、こんな感じです。
http://www.strategyanalytics.com/default.aspx?mod=reportabstractviewer&a0=10721
スマホ用に限定して、24億chip。この内、メインカメラ用が55%(13億chip),サブカメラ用が45%(11億chip)であるようです。通常ケータイを含めると、多分、モバイルだけで30億chipを越えるセンサを消費していると思います。デジカメの市場とは比較にならない数量です。この内、中国で使っているセンサという観点でも、やはり過半数ぐらいを考えるべきではないでしょうか。
本題の、電子産業の歴史の無かった中国で、なぜメインプレーヤーに成りかかっているのか、の問題ですが、中国-台湾-アメリカの中華系ネットワークに注目してみました。
最初は、台湾側の問題だったと思います。TSMCのモリス=チャンもホンハイのテリー=ゴウも台湾の中では外省人(1945年以降に台湾に渡った人)です。台湾で、多くのIT関連成功者がいますが、その多くは外省人です。外省人は台湾の総人口の中の10%程度ですが、ここに成功者が片寄っています。つまり、中国メインランドに何らかの伝手が残っており、台湾と中国の補完関係の利用できる人が成功したという意味だと思います。
次に、アメリカ側のマイノリティーの状況も影響していたと思います。マイノリティーがアメリカで成功するためには、高学歴で、その学歴の活かせる企業で働くことであり、アジア系にとって電子産業はその最たるものです。アジア系の中では、インド系も多いですが、一番多いのは、中国系ということになります。現状、アメリカの大手IT企業従業員の内、20~40%がアジア系といいますから、中国系エンジニアの存在感は非常に大きなものだと思います。(ちなみに、全米総人口中のアジア系の割合は2%以下)
中国-台湾-アメリカの間で、学生やエンジニアの流動性が高ければ、比較的容易に技術も移転できたのではないか、と予想できます。ネットワークが強固であれば、国籍がちがっても、エンジニア通しの話し合いはスムーズになりますから。
特に、ケータイに注目すると、この商品、初めから、地域商品ではなく、国際商品でした。(世界市場をターゲットとして開発する商品)
そのため、NokiaやEricsson等、ヨーロッパの企業でさえ、早い時期に中国で生産したり、OEMを使っていました。問題は、これが、製造(組み立て)に限定されなかったことだと思います。
開発を見ても、デジ物の特有の問題で、ソフトウェアー開発に、一番、人数が必要です。10年位前のNokiaやMotorolaやEricssonが主要プレーヤーだった時代から、ソフトの開発は中国で行っていました。開発要員の多くは、この頃から中国にいたわけです。
製造→ソフト開発と来れば、次に基幹部品の開発に取り組み始めるのか?という問題になりますが、既に兆候は出ていると思います。スマホの最も基幹的なデバイスである統合プロセッサー(modem+AP)のアナウンスがHauweiからなされています。
http://gpad.tv/develop/huawei-hisilicon-kirin620/
28nmのプロセスノードですから、一応、先端技術を使った製品と考えていいと思います。この製品に対して、揚げ足を取ることはできます。
(1)チップの製造は当然、ファンドリーのはず、内製ではない
(2)コアプロセッサーはARMからライセンスを受けたものであり、独自のものではない
(3)設計といっても、ケーデンスやメンター等の自動設計ツール使ってつくっただけである
と、軽く見做せるかというと、そうではありません。
日系メーカーも全く同じ立ち位置に追い込まれているからです。
(1)28nmのロジックデバイスを作ろうとすると、日本に製造ラインは存在せず、ファンドリーを使う以外方法はない
(2)スーパーHやSPARCといった日系各社の独自CPUは採用される機会が急減しており、ルネサスやソシオネクスト(富士通+パナソニック)でもARMの導入を受け入れ始めている
(3)半導体メーカーはどのメーカーも米国系3社の自動設計ツール以外に選択の余地がない
となり、中国メーカー製品と何が違い、どこに競争軸があるのかも曖昧な状態です。独自CPUを持っているので、経験豊かな設計者が日系メーカーにいることは確かですが、そのCPU方式がデジ物の世界で絶滅危惧種に向かっているか、というような方向ですので、中国製プロセッサーをばかにできないと思います。
AppleのAシリーズやNvidiaのTegraもARMを使い、ファンドリーを使ってますから、皆、同じと言えば、同じです。
(ちなみにNvidiaも米国籍の会社だけど、創立者は台湾系)
ここまで見ると、基幹部品の設計を含めて、メジャープレーヤーの仲間入りをしつつある、と考えていいような気がします。
むしろ、セットメーカー側で、管理人さんの言う
>多くの・・・・・・というか全ての!!!日本メーカーが”All Others”に沈んでしまったことに気づきました(--;)。
の問題が大きく、半導体側から見て、技術的な話しが、簡単に出来る相手が、日系メーカーに無いということが大問題だと思います。下手をすれば、車載等を除きSoC全体からの撤退も議論される今日、この頃です。その点では、話し合う相手の沢山いる、中国の半導体設計者の方が未来があるようにも見えてきます。
最後にImagerに戻って、Omnivisionですが、この会社が今まで、なぜ強かったか、を考えると同根の問題があると思います。この会社、米国籍ですが、創立者は中華系です。強さの源泉で最初に語られるのは、TSMCとの二人三脚ですが、それだけではないと思います。上記のチャイナ ネットワークがあるので、セットメーカーとの対話にもアドバンテージがあったと思います。(営業間だけでなく、技術者間も)技術的裏付けが無ければ、採用される確率は下がりますが、その技術の確保もネットワークが強固だったので可能だったのではないでしょうか。
Omnivisionのやり方は水平分業の最たるものですが、中華社会全体から見ると、マクロのIDMになっているように、見えなくもありません。
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