早いもので、今年ももう12月になってしまいましたね。信じられません(^^;)
ということで、
CIPAも10月のデジカメ出荷台数を公表。
これによれば、遂に10月単月では対前年割れとなっています。
微妙な差であった月を除けば、今年になって初めて明確に前年度割れした月となっています。
そしてそれは、レンズ一体系(≒コンパクトデジカメ)もレンズ交換式デジカメも共にです。
公表されたグラフを眺めていると、今年は例年とは異なり、季節や月による出荷台数≒販売台数の波がほぼ無く、一年を通して均等にデジカメが売れているという様子が伺えます。
これは全世界的にデジカメが、”(何かのイベント等に合わせて)気合を入れて買う(≒買い替える≒準備する)”という様なものでは無くなったのかなぁ~などと考えてしまいました。
さて、
先週の続きで、
来年2月のISSCCの発表プログラムの、今回は個別案件に関する所感を以下残しておこうと思います。
[2回]
5.1 ソニー 産業用途向け 146万画素 裏面積層型 グローバルシャッタ搭載センサ
画素ピッチ:6.9um□
積層センサである点など、タイトルからわかること以外の情報は
コチラから
ポイントだと感じるのは、
・画素並列の14bitADC搭載
な点と
・FoM(Figure Of Merit)で0.24e-・nJ/step
な点と
・”裏面照射型センサで”グローバルシャッタセンサ
な点。
(ここではFoMは
(消費電力×ノイズ)/(画素数×フレーム速度×ADC分解能)と定義しているそうなので、
つまり分子がより小さく、分母はより大きい値の方が普通は良いセンサのため、FoMは値が小さい方が良い特性)
産業用途向けを狙っているため、グローバルシャッタセンサ。
グローバルシャッタで画素内容量などが追加で必要なのと、画素並列(≒画素内に)14bitADCを搭載するために、画素面積が必要となり、積層センサでかつ大画素ピッチな6.9um□という仕様。
産業用途向けのため、用途によっては146万画素でも、他のスペック(SN、フレームレート、消費電力など)が優れていれば勝負できる用途があると踏んでいるのだと思います。
何となく、もう実用レベルなセンサに仕上がっている雰囲気に思えます。
また、14bitADを画素ごとに設けなくてはならないため、積層センサは間違い無く周辺回路部だけでなく、画素部でもtop基板とbottom基板を電気的に導通させるタイプの積層センサなはずです・・・
・・・が、果たして流石に微細プロセスが発達したこんにちと言えど、そしてソニーと言えど、
6.9um□面積の中に14bitADを搭載できるのか!?
まさか3層積層!?それとも数十画素に一つのAD搭載を”画素並列”と表現しているのか
またFoMの値が小さいのは、画素の真裏にADを搭載したことによって、画素領域周辺にADを搭載するよりもADの位置が画素に近づいたため、
画素信号をADまで読み出すための電流を抑制することができたのかなぁ?などと思いました。
裏面照射型でグローバルシャッタセンサというのは学会発表レベルでは見たことがあった気がしましたが(・・・と言ってもこのソニーのものも現状はまだ学会発表レベルの範疇ですが^^;)、実用そうなセンサの中では初めてなのでは?
以前ソニー自身は、グローバルシャッタでも信号読み出し速度向上の観点から、かなり力技で
この様なセンサを実用化までしていましたので、
これが産業用途向け以外のセンサでも実用レベルなのであれば進化した点なのではないかと感じます。
5.2 パナソニック 8K60p 有機撮像素子センサ
ポイントだと思うのは、まずは当然
・有機撮像素子
な点。続いて
・飽和電子数:45万電子
な点。
大きな学会ではパナソニックはやや久しぶりだと思うのですが、
遂に、スペックから察するに試作の終盤か実用レベルにまでこぎつけたかという様なことを感じさせるスペックです。
恐らく有機撮像素子と言っても、
NHKが昔から行っている、いわゆる(?)”有機3層”と呼ばれるタイプのものでは無いと、過去のパナソニックの発表からしても予想しますが、
それにしても個人的にはここまで(画素数など)リアルな(?)スペックのセンサを見るのは初めてなのじゃないかと思います。
8Kというスペックはパナソニックお得意の動画というか、「2020年までには民生でも8K」を標榜する会社なので、らしいなと感じたのと、
何より45万電子の飽和!
このパナソニックの発表センサの画素ピッチとイメージサークルは、共にタイトルからはわからないため何とも言えないのですが、
普通に考えると、
・さすがにフルサイズよりも大きなフォーマットのセンサは使用レンズやシステムの関係上実用的ではないだろう
というところから、フルサイズ以下のセンサである可能性が高いと思います。
それで8Kの画素数というと、UHDだとすれば約4.7um□弱。
一眼カメラで言うと、凡そ4000万画素フルサイズ素子というのがあれば、そのくらいのセンサの画素ピッチ相当。
これはα7RⅢよりも少し少ないかな~くらいな画素数ですが、
ではα7RⅢが飽和電子数45万電子出せているのか?
というと、恐らくまず間違い無く出ていないものと思われます。
これは間違い無く有機撮像素子の恩恵を受けている・・・
言い換えれば現状のシリコンベースのイメージセンサでは簡単には到達出来ないレベルのスペックを出せている
という風に思えます。
今年のVLSIシンポジウムで、ソニーから
・LOFICと呼ばれる画素内容量を用いて
・3.875um□で
・22.4万電子の飽和を誇るセンサ
が採択されて発表されている ≒ 現状この飽和のスペックは素晴らしいとVLSIシンポジウムの選考委員に認められた
センサでも22.4万電子の飽和電子数であることを鑑みれば、このパナソニックの有機撮像素子の飽和電子数が如何に大きいかというのが感じられます。
残りはまたエネルギーが残っていれば来週以降書こうと思います。
ああ、interBeeの内容も書いておきたい・・・(^^;)
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