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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

Fossum(フォッサム)教授のフォトンカウントの概要? ~pump-gate及びtapered RG技術でFD容量を小さくして、チャンピオンjotは0.22e-rmsに

さて、オリンピックが終わったら、今年はphotokinaイヤーということで、今度は各社から徐々に新機種カメラの発表が行われ始めましたね。

(あれ?その前に、今回のオリンピックの俗にいう”白黒対決”はどっちが勝ったとかなんとかあまり報道が出ていない気がしますが、これからでしょうか?
また、次回オリンピックには富士フイルムもX-T2 ~というか実際にはその後継機でということなのでしょうが~ プロスポーツカメラ市場の牙城を崩しに掛かる意思表示をしたようで、4年後にどの程度の同市場シェアを取れているのか、はたまた全く取れないのか、個人的に興味深いところです)

キヤノンEOS5DMarkⅣ富士フイルムX-A3ニコンD3400カシオEX-ZR4000・・・
ニコンからD810後継機、パナソニックからGH4後継機、オリンパスからE-M1の後継機、ソニーからαシリーズのミラーレス及び一眼レフ(?)それぞれのハイエンド機種の後継機もしくは新ラインナップの発表があるのか? というのが残りの個人的興味ではありますが(ソニーは例によって大物の発表はカメライベントを外して発表のパターンで、photokinaはスルーでしょうか・・・?)、
まだまだこれから多くの新機種カメラの発表があると思うので、個人的に俯瞰するのは全てのカメラが出揃った後にしようと思います。



 さて、先週までのフォッサム教授のフォトンカウントセンサの続きをいきたいと思います。
しかし、未だ25ページの大作を全て読めている訳ではありません。そのあたりと理解不足はご容赦のほどをf(^^;)
 ←この画素レイアウトの説明は、本文中で
※また、このエントリを読まれる方は、先週の弊blogエントリを読まれてからでないとますます意味不明だと思われますf(^^;)

 まずは技術とは無関係な、フォッサム教授とフォトンカウントセンサの関わり合い(?)などのabstract(要約)やintroduction(導入)から・・・(originalの論文はコチラからダウンロード可能です)

■Quanta Image Sensor (以後QIS)は
 ピクセルサイズとstrage capasitor の縮小
 デジタル処理能力が今後徐々に向上すること
を熟考している時に思いついた

(strage capasitor:
CMOSイメージセンサの画素部のFD容量のことを指していると思われる。
今後画素ピッチとそれに伴いSNを考慮するとFD容量も小さくなっていき、飽和信号(振幅)が取れなくなっていくことを具体的には懸念しているものと思われる)
■このpaperはQISのコンセプトとその画質特性についてreviewする
ここでは以下の”pump-gate jot”素子の進捗報告が含まれる
 ・65nmのBSI CISプロセスでreadノイズが0.22e-rms
 ・コンバージョンゲイン420uV/e-
 ・0.4pJ/b以下の電流での読み出し可能な電力効率
 ・jot DataからのHDR画像の生成
 ・single-bitとMulti-bit QIS素子の画質特性の理解
QISは画像生成の大きなパラダイムシフトが可能であることを示す

QISは2004年に着想し、今後10~15年の半導体デバイス技術の進歩を見越して、回折限界以下の微細画素センサを2005年に発表した

■具体的な調査は、2008年、サムスンで始めたが、経済的なプレッシャーのせいで、その研究は短命に終わってしまった 
f(^^;)やっぱ、トップ研究者でも色々と大変なんですね
2011年から、Dartmouth大学で新たに調査を開始し、2012から現在までは、Rambus Incの支援を受けている

好適な形態でQISを実現するためには、いくつかの理論的もしくは技術的な研究が必要とされている
それらは、
 (1)高い品質の画像生成するための、画像形成アルゴリズム
 (2)QIS素子の画像特性への理解
 (3)photonカウンティングが可能な画素(jots)の実現
 (4)1Gjotセンサを1000fps≒1Tb/secの読み出しレートの様な大ボリュームなdataを低消費電力で読み出すこと
 (5)data容量を減らすための、焦点面画処理( =on-focal-plane processing ) (オンチップでの画処理と言っている?)
過去数年間の、これらの問題の探求の道筋は、最初の4項目については顕著な進展が見られ、5番目は正に今研究中だ


【jotデバイスを考案した背景と動機】

■jot素子の究極のゴールは以下
 ・小さい画素ピッチ (≒200~500nm)
 ・低読み出しノイズ (0.15e-rms未満)
 ・小さい暗電流 (1e-/秒未満)
 ・低飽和 (1~100e-) 
←これは簡単。減らす方向なので
 ・CMOSイメージセンサのプロセスとの良い整合性 ←つまり現状のCMOSセンサの製造ラインでそのまま作れるという経済性、量産性を強く意識しているものと思います

■従来のCMOSイメージセンサ画素とjotのそれとの一つの大きな差異は、
 読み出しノイズが1e-(≒1電子)を大きく下回っていて、フォトンカウントが可能なこと

 ・従来のイメージセンサ
  電圧での読み出しノイズ:100uV以上
  コンバージョンゲイン(FD容量の逆数で決まる様なゲイン):100uV/e-以下
   ⇒結果として、入力換算のreadノイズ:1e-rms以上 になってしまう

■jotデバイスの候補として、
 SPADEMCCDがそれぞれあるが、
 現状それぞれ以下の特徴から、すぐにはjotデバイスには不適
 ・SPAD:画素ピッチが小さくしずらい (一般的には5~10um)
      dark count rate(≒暗電流相当):~1000 count/sec/pix
                  現状のCMOSイメージセンサと比較すると(同じプロセスでは)歩留まりが良く無い
 ・EMCCD:高電界が掛かるため、暗電流がやはり大きい
       信号読み出し速度が遅い (≒フレームレートが上げられない)

※SPADについては、勉強してまた別の機会に触れてみたいと思っています

■様々考慮した結果、以下の理由により、jotデバイスは、従来の埋め込みフォトダイオードを伴なう4トランジスタ画素をベースに”intra-pixel charge transfer”方式をベースに設計を開始することにした
 ・こなれたプロセスが使える
 ・暗電流が小さい
 ・高い量子効率

※↑この素子が、以前弊blogで紹介したこのデバイス

■様々検討した結果、我々はdeep sub-electron read noise (≒1e-を大きく下回る読み出しノイズ)ためのアプローチに、
 ・コンバージョンゲイン(以後CG)を上げて
 ・画素ソースフォロワのノイズを減らす
方法を選択した
 CGを上げるためには、CG=q/Cfd であるため、Cfd・・・即ち画素FD部の寄生容量を小さくする必要がある

(FD容量の構成要素の内、TG(Transfer Gate)とFDの重なり容量の占める割合は小さく無いので)
■使用プロセス世代とレイアウトデザインに依存するが、FDとTGの重なり容量は0.3fFかそれ以上ある。特にFDを複数画素で共有する読み出し回路構成においてはFD容量は大きくなりがち
 ⇒そこで我々は”pump-gate技術”を開発した

※↑上記がこのデバイス

■この新規デバイス構造では、FD部とTGの重なり部分が無い
 (そのため、FDとTGの重なり容量が無くなり、その分FD容量を低減出来ている ←この図の上の方の”VB(p--)”と書かれているところの分だけ、”TG”と”FD(n+)”が離れて、重なっていないことを指している)

■(更にFD容量を低減するために、)”tapered RG(Reset Gate)技術”も開発した
 STIを用いて、リセットトランジスタのFD容量側の幅を細くするというものだ

↑本blog冒頭の図の中で、黄色く囲ったのは私なのですが、黄色枠の部分が概略このセンサレイアウトのFD容量になる拡散容量部分だと思います。
その黄色部分が、右側の”RST”と書かれた緑色の部分よりも細くなっていると思います。
これを”tapered RG技術”と呼んでいるものと思われます。

以前このフォッサム教授のpump-gateデバイスを紹介した時には、一番最初に例示されていたレイアウトのみ弊blogでは掲載していました。
しかし、実は、本エントリ冒頭の図のレイアウトのものが、試作した中では最も小さいFD容量≒CG≒低ノイズを記録したものでした

■tapered RG技術のお陰で、CG及び読み出しノイズが、それぞれ以下の様に顕著に改善した
     CG:250uV/e- ⇒ 400uV/e-
 read noise:0.33~0.45e-rms ⇒ 0.22~0.35e-rms
↑横軸がCG(コンバージョンゲイン≒乱暴に言うとFD容量の逆数=軸右の方にいくほどFD容量が小さい)
縦軸は出力換算の読み出しノイズ (恐らく画素SF出力電圧のノイズ)
図中に、左下-右上に斜めに点線で入っている線が、今回特に気にすべき(?)入力換算の電子数での読み出しノイズの等高線(?)

上図を見ると、通常の”PG jots”が赤プロットで、CGが小さい左側に固まっていて、"tarered PG jots"が青プロットで、CGが大きい右側に分布していることがわかります。
更に入力換算の読み出しノイズの等高線でjotごとのノイズの分布を見ると、
taperd~の方が全般的に2/3程度に低減していることがわかります。



25ページの大作のため、これでもまだこのフォッサム教授の論文は終わりませんf(^^;)
今週はここまでにして、気が向けばまた来週以降続けたいと思います。



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低読み出しノイズsCMOSセンサー

通常構造のsCMOSセンサーでも読み出しノイズが 1e- を切る物がありますので、飽和の可能性を考えると、Fossum 教授提案の構造が一般化するのは難しいと思います。
http://www.andor.com/scientific-cameras/neo-and-zyla-scmos-cameras/zyla-42-plus-scmos
また、センサーの構造は単純でも、出力される大量のフレームのリアルタイム処理も課題でしょうね。

オリンピックでの白黒対決

こちらではごぶさたです。忙しすぎて目が回りそうです、、、

オリンピックにおけるニコンとキヤノンのシュア争いはそれなりに話題になりますが、ネタにするのは個人のブログなどが多いことから、いつも本当のところはよく分かりません。書き手が好きなメーカーは、どうしても贔屓されますし。(苦笑)

以下は、まとめサイトのものですが、いくつかの書き込みを見ると今回はキヤノン優勢だったようです。

http://matome.naver.jp/odai/2147086280065739801

フジの話もありますが、実際の問題としてこういうイベントにおいてはメーカーサポートがとても重要ですから、カメラの優劣だけではシェアは取れないと思います。個人的には、ミラーレスはバッテリーが持たないこと、超望遠を付けた際にはバランスがとても悪いこと、現場ではかなり雑に扱うので強度的な不安を感じる機器は避けたいといったことなどがあり、あったとしても選択しないでしょう。会場でのスナップ的な用途では便利ですので、サブカメラとしてなら使うかもしれません。

それより、Cinema EOS C700 GS PLでグローバルシャッターが採用されたとありますね。曖昧な記憶ですが、4K動画が扱えるものとしては初ではないかと思います。興味深いウオッチ対象ですね。(^^)

http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1016377.html
http://cweb.canon.jp/newsrelease/2016-09/pr-c700.html

Re:オリンピックでの白黒対決

>こちらではごぶさたです。忙しすぎて目が回りそうです、、、

>toshiさん

こちらこそご無沙汰しております。
あまりコメントできておりませんがblogは常々チェックさせて頂いてます。
相変わらずお忙しいようで、(毎度凡庸なコメントで恐縮ですが、)お身体にはお気をつけください。


>オリンピックにおけるニコンとキヤノンのシュア争いはそれなりに話題になりますが、ネタにするのは個人のブログなどが多いことから、いつも本当のところはよく分かりません。書き手が好きなメーカーは、どうしても贔屓されますし。(苦笑)

ですよねf(^^;)

ただ前回はお互い引くに引けなかったのか、お互い公式コメントで(?)「ウチの勝ちだ」と言い合っていたようなので(←おっしゃられるように結局本当のところはよくわからないのですが^^;)、今回もこういうのがあるのかなと思っていたもので(^^;)

http://www.asahi.com/olympics/news/TKY201208080471.html


>フジの話もありますが、実際の問題としてこういうイベントにおいてはメーカーサポートがとても重要ですから、カメラの優劣だけではシェアは取れないと思います。個人的には、ミラーレスはバッテリーが持たないこと、超望遠を付けた際にはバランスがとても悪いこと、現場ではかなり雑に扱うので強度的な不安を感じる機器は避けたいといったことなどがあり、あったとしても選択しないでしょう。会場でのスナップ的な用途では便利ですので、サブカメラとしてなら使うかもしれません。


 富士もその辺はわかった上で挑もうとしているのだと思うので、本当に本気なら、サポートも含めて後継機種にはそれなりのオリンピック対策(?)をしてくると思うのですが、
toshiさんに挙げて頂いた中で、”バッテリーの持ちが悪い”というのだけは、カメラの原理上同じ時代の似たような技術である限り、相対的に一眼レフには敵わない要素として残りそうですね。

どちらにしても、私もプロの間での”実績と信頼感”というのは4年くらいでは覆らないと思いますので、東京でいきなりシェアが変動するとは思えませんが、
ミラーレスがもしオリンピックのメインカメラになる時が来るとすれば、それは”動画からの切り出し”がプロの中でも主流になった時かなと思っています。


>それより、Cinema EOS C700 GS PLでグローバルシャッターが採用されたとありますね。興味深いウオッチ対象ですね。(^^)

 はい。おっしゃられるようにimagerマニアとしては興味津々です(^^)
ウォッチ対象に入りました。しかし、公開情報が少なすぎて、どういったものか調べる糸口が・・・f(^^;)
キヤノンにしてはめずらしく、自社HPに搭載撮像素子の写真が無いように思います。
まあ、何かのイベントに行けば、ブース展示してあるとは思いますので、まずそこで見てみようとは思いますが・・・


ps
>曖昧な記憶ですが、4K動画が扱えるものとしては初ではないかと思います。

 上記については、UHD4K(横3840)まで含めて良ければ、以下の様なものが既に製品として存在します。BMDはその他にもいくつかあります。
http://imager.no-mania.com/Entry/55/ (←ソニー PMW-F55)
http://imager.no-mania.com/Entry/50/ (←BMD ブラックマジックプロダクションシネマカメラ4K)
http://imager.no-mania.com/Entry/92/ (←中段。AJA CION)

ただ、キヤノンとしは恐らく初だということと、発表では”新駆動方式と新たな画素構造”だと言っているので、
どちらにしても興味深いウォッチ対象です(^^)

  • imagerマニア
  • 2016/09/04(Sun.)

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