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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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BMW3シリーズのリアビューカメラを分解したらOmni製のセンサだった ~更にオムニビジョンから最新車載用センサ発表

前回エントリからのメーカー繋がりで、今回もOmniVisionネタで。

しばらく前の話ですが、BMW3シリーズのリアビューカメラが分解されました。

中から出てきたセンサはOmniVison製


↑BMW3シリーズのリアビューカメラを分解して出てきたセンサとその基板写真

拍手[9回]

車載センサ市場は、特にコンパクトデジカメやレンズ交換式カメラを主戦場としているセンサメーカーにとっては、恐らく今後の再成長のための”頼みの綱”もしくは”救世主”的な市場の内の一つだと思われます。
(スマホカメラ市場はしばらくはまだ右肩上がりを続けると思いますが、コンパクト及びレンズ交換式の純カメラ(?)市場は、何か大きなブレークスルーが無い限り、今後は右肩下がりの後、低空飛行の安定市場に移ると予想されるからです)

 その点、自動車はカメラよりも価格が高いにも関わらず、何故だか今後も新興国を含めて安定的に売れる市場が予想される(←日本は右肩下がりが確定的な様ですが)上に、ADAS(先進的運転支援システム:Advanceed Driving Assistant System)用のカメラ搭載車が急速に増えると予想されているからです。

 私が知りうる限りの、車載用カメラ(≒センサ)市場既参入メーカーは、
(順不同)
今後車載及び住宅関連に舵取りを表明している パナソニック
 ↑ただしセンサ自体が自社製かは不明
東芝
浜松ホトニクス
Aptinaを買収し、車載カメラ市場強化を宣言している ON Semiconductor
 ↑ただし、ONSemiの場合は、HPのラインナップにまだ現状は車載用途を想定したセンサは無いようです。Aptinaの技術を用いてこれから参入するということでしょうか。
・そして今回BMW3シリーズのリアビューカメラからセンサが出てきた OmniVision



 OmniVisionというと、スマホ業界では例えばiPhone5のサブカメラ採用の500万画素センサが代表的(?)なのかなと思うのですが、 
大変失礼ながら私の中では、若干”安かろう悪かろう”のイメージが残る”スマホ&タブレットのサブカメラ市場を(恐らく)低価格を売りにしたセンサできっちり持っていくセンサメーカー”のイメージでした。

 それが、少なくとも日本では高級車イメージが強いと思うBMWの車から(←とは言っても、BMWの中では上に5と7のシリーズが控えていますので、本当の超高級車という訳では無いのですが)、それが例えリアビューカメラであったとしても採用されているというのは、少々私は勝手な上記イメージを覆されました。
 確かに、車のリアビューモニタ用に求められる画質というのは、スマホで求められる画質よりもプアでも許容されているのが現状ではあるとは思いますが・・・(←しかし今後はこの分野もどんどん高画質化が求められるようになるとは思います)



↑冒頭のリンク先のサイトにある、分解前のBMW3シリーズのリアビューカメラユニット写真


↑同じく冒頭リンク先サイトにある、分解前の一つ上の写真ユニットのX線透過写真

なかなかあまありお目に掛からない写真で面白いなと思い、転載させていただきました。
上がレンズで、下に撮像素子の断面が見えますね。

レンズ光軸がセンサパッケージの中心にいないように見える(≒左にオフセットしている)のは、恐らくその通りで、
冒頭の上から見た基板付きの写真の様に、センサの画素領域がパッケージの中心よりも左にズレているため、それに合わせてレンズの光軸も左にズラしているのでしょう。


 冒頭の分解を行ったEETimesのサイトでは、このリアビューカメラユニットのコストを、”$50~$70”だと見積もっているそうで、
そして、このオプション(なのかな?)自体を車につける時に購入者が支払う金額は”$400近くである”としています。
つまり原価を除いた利益は、1ユニットで$300以上ある計算(←製造自体や流通コストは勘案せず)なのですが、
問題は、”この利益の内、カメラユニットを製造した会社が、ひいては撮像素子メーカーであるOmniVisionが、どの程度持っていけるのか?”というところだと思います。

 結局、BMWという車メーカー自体が大半を持っていくのであれば、撮像素子メーカーとしての車市場としてのおいしさが減少してしまいますし、
実際他の部品も含めて、自動車(部品)業界の頂点に君臨する車メーカーというのは、暴君の様に利益を持っていく様な話も聞き及んだことがあるように思います。

 話が逸れてしまいますが、ルネサスは全自動車メーカー含めてマイコン供給の相当なシェアを持っています(←東日本大震災の際に、茨城県の那珂工場が大被害に合い、そのマイコンの重要性から自動車メーカーの社員が復旧のために延べ数千人規模の応援人員を送ったという様な逸話も多く出てきます)が、儲からずに少し前に危うくアメリカのファンドに買われそうになったところを日本の産業革新機構他日本の9社の増資によって救われるというギリギリの事態に陥っていました。
つまり何が言いたいのかというと、部外者なので予想しか出来ませんが、恐らく車メーカー自体は儲かっても、マイコン(≒半導体部品)を納めていた会社(ここではルネサス)自体は儲からない構造なのだろうということです。



 さて、多くの方が興味の無いお金の話は置いておくとして、
今回分解して出てきたOmni製のセンサスペックなのですが、残念ながら冒頭のサイトでは一切出てきません。

そこで代わりに(?)、上記分解のしばらく後に、オムニビジョン自身が新しい車載用センサ(←リアビュー用よりも一歩進んだ?フロントビュー用?)を発表していました。のでそちらの方を。

 主要なところを箇条書きで以下。(オレンジ色は私のコメント)

一般的な車載イメージセンサーの2倍に達する最大120dBものダイナミックレンジの広さが特徴

駐車時に用いるバックモニターやサラウンドビューに加えて、走行中に他の車両や歩行者、白線などを認識して運転を支援する先進運転支援システム(ADAS)に最適

2014年6月にサンプル出荷を開始し、同年10~12月期に量産を始める予定
 (↑ですので、今回BMW3シリーズのリアビューカメラから出てきたセンサとは時期がマッチしませんので、この発表センサは別モノですね)

・オムニビジョンは、2013年末時点で売上高が14億700万米ドル、従業員数が約2000人で、もはやベンチャーとは呼べないほどの規模

CMOSセンサーの世界シェアは30%、累計出荷数は46億個以上に達する

オムニビジョンの主力市場は、売上高(2013年7~9月期)のうち52%を占める、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器

・オムニビジョンにとっての車載市場は、売上高の10%弱を占める程度

車載イメージセンサー市場におけるオムニビジョンのシェアは20%強
 ↑車載イメージセンサ市場においても、確固たる存在感を既に持っているのですね

今回の製品はOV10640(←業界初となる裏面照射型イメージセンサ)とOV490(←コンパニオンプロセッサ)

オムニビジョンは、車載イメージセンサーの市場規模が、2014年の5500万台から、2020年には3倍強となる1億7000万台まで伸びると予測

 ↑上図の”センシングカメラ”がビューカメラ用と異なり、自動ブレーキや走行中の白線検知による車線逸脱時の警報用のより高度なイメージセンサの位置づけ

・ADASのセンシングカメラには、従来よりもさらに高い感度と、より広いダイナミックレンジが求められようになる

製造プロセスは、90nm/200mmウエハーを用いる「OmniBSI」を用いた
 前回エントリにおいて、出てきた、製造プロセス65nm/300mmウェハでCu配線を用いる最先端のOmniBSI-2では無いということですね。

画素数は130万で、HD映像(1280×720画素)を60フレーム/秒で撮影可能
1/3インチ
 ↑まだこの程度の画素数なので、画素ピッチが大きいので、最先端のプロセスを用いなくても問題無いということなのでしょう。


OV10640では、時間差が発生しないように2種類の画像(明/暗)を撮影する工夫を加えることで120dBのダイナミックレンジを達成した
 ↑どの様な方式なのでしょうか?厳密な意味で時間差が無いとすれば、例えば行ごとに異なる露光量の映像を交互に取得するという様な方法しかなくなる様に思います。が、この方法だと解像度は落ちることになりますが、補完で何とかする(≒誤魔化す)のでしょうか・・・



オムニビジョンは2009年に第1弾製品となる高感度が特徴の「OV7955」、2012年に第2弾製品となる高画質と広いダイナミックレンジが特徴の「OV10635」を投入している

↑中央が、今回新たにオムニビジョンが発表した車載用センサ。
 左右が同社従来製品。
 今回BMW3シリーズのリアビューカメラから出てきたのは、左右どちらかのセンサであったのでしょう



 まだ、この業界(←自動車)に王者ソニーの姿が見えないように思いますが、
ソニーは参入したくても出来ていないのか、参入はする気になれば出来るがしても美味しさが無いからしないのか・・・
 今後の撮像素子の成長業界として興味深いため、欲張りに(^^;)今後こちらの業界のウォッチングも強化していこうと思います。

psもしソニーが既に参入しているようでしたら、どうかその旨ご指摘ください。



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取り付け工賃

純正車載カメラのオプション価格のほとんどは取り付け工賃で、部材コストは見積もり通りでしょうね。
車は過酷な環境で10年以上使用されるため、製品の選定基準が一般家電製品とは異なります。OmniVisionのセンサーは頑丈なのかもしれません。

Re:取り付け工賃

>純正車載カメラのオプション価格のほとんどは取り付け工賃で、部材コストは見積もり通りでしょうね。

 とすると、後は見積もり通りの$50~$70の内、どの程度が撮像素子代としてユニットメーカーからOmniに払われているか?ですね。


>車は過酷な環境で10年以上使用されるため、製品の選定基準が一般家電製品とは異なります。OmniVisionのセンサーは頑丈なのかもしれません。

 そうでしょうね。
少なくとも、温度と湿度、振動に対しては、デジカメ用のものよりも一段厳しい要求がされるのでしょうね。
加えてマイコンなどの中核部品で聞かれる「人の命がかかっているのだから」という原発安全性理論の様な、不具合品、途中で不動作品になってしまうチップの完璧な除外、もしくはそういうチップが出ない完璧な工程管理 を求められるであろうことに起因するコストアップ。

↑後者が、撮像素子にどの程度の厳しさが求められるかによっては、意外と車載用途も美味しい分野では無いように思うのですが、
hi-lowさんが既にエントリされている様に、ソニーが参入を画策していたようですね。

ということは、やはり今後はデジカメ用途よりも美味しい撮像素子活躍分野だということでしょうか。

  • imagerマニア
  • 2014/08/16(Sat.)

ソニーは数年前から参入しています

某日本メーカーに採用されていますね。
CMOSだけで見ると解りづらいのですが、CCDも含めるとシェアは未だ車載においてはトップです。

Re:ソニーは数年前から参入しています

>某日本メーカーに採用されていますね。
>CMOSだけで見ると解りづらいのですが、CCDも含めるとシェアは未だ車載においてはトップです。

車載においてtopなんですね!
今回Omniが自身で「車載分野でシェア20%」と言っていますので、1位ということはそれ以上シェア持ってるということなはずなので、かなりなものですね。
 情報ありがとうございました。

 私が疎いだけかもしれませんが、それでも聞いたことがありませんでした。
http://www.sony.co.jp/Products/SC-HP/products/new_pro/backnumber.html
↑このページのセンサ用途だけを見る限りは”車載”の文字は見当たりませんし。
あれなんですかね、各自動車メーカー向けに汎用品ではなくて、そのメーカー向け完全カスタム品で、
この様な外部向けページには載せないようなものを納めているというような構図でしょうか。
だとすると、私の様な部外者には動向がわかりずらくておもしろく無いですね(^^;)

 このエントリ後、この前日経新聞topで「車の目にソニー参入」となっていましたが、あればそういう目で読むと
「既に車載のリアビューモニタ用等、車が止まっている時用のカメラセンサ事業には既に参入済みだが、車が走っている時のカメラセンサ事業に来年初めて参入しますよ」
という意味だったのでしょうか。

  • imagerマニア
  • 2014/08/19(Tue.)

日産アラウンドビューモニター

一般に公開されている中では、これが一番有名どころではないでしょうか。ソニーがカメラ開発に直接関わったとのこと。
ただ、それ以降の車載関連の情報は全く出ていませんね。

Re:日産アラウンドビューモニター

>一般に公開されている中では、これが一番有名どころではないでしょうか。ソニーがカメラ開発に直接関わったとのこと。

 追加情報ありがとうございます。
(↑今回のNONAMEさんは、通りすがりのマニアさんとは別人?以前別エントリでコメントされてたNONAMEさんとも別人?)

であれば、日経の記事はやはり”白線検知などの車走行時の自動運転もしくはその補助用のセンサ事業に初参入”という意味だったのですね。

日産のアラウンドビューモニタ、初めて搭載された際には盛大にCMやってましたね。覚えています。ソニーの仕事でしたか。


>ただ、それ以降の車載関連の情報は全く出ていませんね。

 なんですね。情報知りたい側の人間としては残念です。
産業用、写真用、監視用のセンサ情報は出すのに、車用は情報出さないというのは、やはり納める先の会社専用品だからってことなのでしょうね。
デジタル一眼向けセンサも、ソニーは基本外部公表してませんしね←これもある意味カスタム品という位置づけなのだと思うのですが。

  • imagerマニア
  • 2014/08/23(Sat.)

無題

ソースはありませんが、プリクラッシュセーフティーで有名なあのシステムの2世代目のセンサーはCCDで、こちらもSONYでしたね。

日経の「車の目にソニー参入」が過去にも車での採用実績はありますし、何でそんなことを書いたのかが今ひとつ理解できません。(所詮、日経と言ってしまえば終わりですが。)
車載規格をまともに取った、という意味合いで書いた記事であれば、それはそれで正解なのですが。。。

Re:無題

やはりNONAME さんとは別の方ですか?
追加情報ありがとうございます。

>ソースはありませんが、プリクラッシュセーフティーで有名なあのシステムの2世代目のセンサーはCCDで、こちらもSONYでしたね。

そうなんですね。
すると裏を返すと初代は別だったということなんですね。
初代は初代でどこだったのか気になります。(^^

車載用途も今後センサはCMOS型主体になっていくと理解していれば良さそうでしょうか?
つまり特にCCDの方が好まれる特殊な仕様があったりするものでしょうか?


>日経の「車の目にソニー参入」が過去にも車での採用実績はありますし、何でそんなことを書いたのかが今ひとつ理解できません。(所詮、日経と言ってしまえば終わりですが。)
>車載規格をまともに取った、という意味合いで書いた記事であれば、それはそれで正解なのですが。。。

所詮日経ですか(^_^;)
確かにそうかもしれませんね。
今回の件は、ソニーは初参入ではなかったと理解しました。
ありがとうございました

  • imagerマニア
  • 2014/08/28(Thu.)

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