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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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Go Pro HERO3 搭載センサはソニー製 ~もうすぐコンパクトデジカメでも4K動画が当たり前

gopro-intact2.jpg














 この写真のカメラ(カムコーダー)を皆さんご存知でしょうか?
GoPro HERO3と言って、日本ではさほどではありませんが、海外ではかなり人気の(本来)民生用のスポーツアクションカムシリーズの最新製品です。

 開発の始まりは、サーフィン好きの起業家が、会社が倒産した際に「次は何をやろうか?」と思い悩んで半年間世界各国をサーフィン旅行をした際に「このサーフィンをしている自分の姿をかっこ良く撮れる(ムービー)カメラがない!」と憤慨したことから始まったそうです。
 最初は親族企業で始まったGoProが切り開いたこのスポーツアクションカムという分野は、最近ソニーJVCといった大手も参入する注目分野に成長しました。
 また、本来民生用途であったものが、その小型及び(放送機器と比較すると)かなり安価(¥3万前後)という特徴から、TV番組制作の人目線のヘルメット取り付け用途や映像クリエイターの方達が使用するいわゆる業務用途のムービーカメラとしても活躍中です。


 そんな人気分野を牽引する冒頭写真GoProの最新製品には、上記大手製品から突出するスペックが存在します。

★4K/15p 動画

 4Kと言えば、つい最近¥数百万もするシネマ用途や業務用途のこんなのこんなのこんなの こんなのが出てきたばかりで、まだ民生用のコンパクトデジカメやカムコーダーでは搭載されていない超高解像度なムービーフォーマットです。
 民生用でまだ4Kムービー製品が出てきていない理由はいくつか考えられますが、その中に消費電力や発熱があると思います。前者は主にバッテリーの持ちに、後者は発熱対策を行うために機器の小型化を阻害したりコストが跳ね上がるといったことが予想されます。外付けバッテリーが許されたり、電源直供給での使用用途もありえて、機器がある程度大型化しても許される上記業務用途の製品では対処可能かもしれませんが、小型化が何より求められる民生用ではいずれも致命的に4Kムービーは扱いづらい対象です。

 そんな中、中小起業であるGoProが真っ先にこんな小型な製品に4Kスペックを載せてきたことと、4Kは何より搭載撮像素子(imager/CMOSセンサ)の特性に大きく依存するものなので、今回興味を持って取り上げました。


CMOS-IMAGER-Teardown.jpg

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 今回製品が割とマイナーかと思い前置きが随分と長くなりました(^^;)
さて、上記写真は例によってカナダの解析会社chipworksのものです。

ソニー製IMX117CQT
■裏面照射型
■12.4Mpix ←約4000×3000
■1.55um□
■1/2.3インチ
■最大12bit分解能
■4K12bit時最大35fps
■10chLVDS 576Mbps 出力
■analog電圧:2.8V、digital:1.2V、I/O:1.8V
■消費電力:417mW @12bit分解能時&全画素読み出し時

 写真を見ると、左右2辺からのパッド入出力。
上記ソニーのリンク先の記事に”低消費電力化した”的な記述があり(←もしかしたらこの技術(Hybrid column counters )を列並列ADCに適用したのかもしれません)、そのお陰で電源/GND端子数を最小限に抑えることが出来たため、4辺入出力を回避して2辺入出力が可能になったのかもしれません。

 また、動画の4Kは4000×2000解像度があれば仕様達成なのですが、どうもこのセンサは縦解像度3000を持っています。これは4:3のコンパクトデジ用途の静止画解像度としてはかなり有用な解像度なので、センサ製造したソニー側としては間違いなくコンパクトデジカメに採用されることも見越して設計していることが予想出来ます。
 なので、これだけ小さいGoProにも搭載出来たのですから、近い将来コンパクトデジカメにも採用してくるメーカーが出てくるのではないでしょうか。
1/2.3インチ素子とのことなので、多少小型のカムコーダーには搭載厳しい大きさかもしれませんが、ハイエンドな民生カムコーダーなら積める大きさだと思うので、ハイエンド民生カムコーダーにも期待できるかもしれません。

 センサ単体のフレームレートが35fps(4K/12bit分解能時)あるというのも意外です。
GoPro自体の最終製品の仕様は15fpsだからです。
つまり最終製品でセンサの特性を最大限使いきれていません。
 恐らく以下のいずれかもしくはいくつかの制約にひっかかってしまったのではないでしょうか?
そのため、最終製品の仕様は抑え気味にしたと
 ・やはり消費電力が厳しい ←そんなバッテリ積めない
 ・消費電力のせいで発熱が凄く、やはりそれを抑え切れなかった
 ・内部のエンジンがそんな高解像度高フレームレートを処理できない
 ・内部のメモリが上記データ量をリアルタイムで書き込める速度を持っていない

 digital電源が1.2Vというのも、最近の先進プロセスなら当たり前なのかもしれませんが、低いですね。消費電力低減に一役買っていそうです。

 また余談ですが、ソニーのオリジナル広報サイトに”裏面センサに最適な集光を行い、広い入射角特性を得ました”的ニュアンスの記載がありますが、GoProという製品は広角撮影(170°)可能な特徴を持っていますが、それを実現するためにぴったりの改善ですね。勿論、広い入射角特性は他のコンパクトデジカメにも恩恵を与える改善ですので、GoProのためだけに行った訳ではないと思いますが。

goproimx117-1.jpg















 ↑センサパッケージ裏面側
このセンサは裏面側にpinを出すタイプの様ですね。

■pin数:99ピン ←また数えました(^^;)

 また、この大きさのセンサになってしまうと、センサ識別用の二次元バーコード(←上記写真中央の117の下)すらも入出力pinの面積を圧迫してしまう比率になってしまいますね。もっとたくさんpin出したくなったら、もっと小さなバーコードにするのでしょうか?(^^;)


goproimx117-2.jpg














↑ X線によるパッケージ断面透視

 あれ?これを見ると、左にも手前にもワイヤーが見えますね。やはり4辺入出力センサなのでしょうか?
また、この裏にpinを出すタイプのPKGなので当たり前と言えば当たり前ですが、パッケージ内で多層配線となっていますね。
3層くらいでしょうか。


goproimx117-4.jpg














↑ センサ表面顕微鏡図

一般的なベイヤ配列カラーフィルタですね。
やはりソニーのカメラだけに供給するのであれば、特殊な配列も良いのかもしれませんが、色んな最終製品メーカーに採用してもらうことを考えた場合、一般的なベイヤ配列にした方が受けがいいんでしょうね。
 また、ソニーの製品仕様にあるので、最早確認する必要はないですが、1.55umの画素ピッチであることを上記写真は示しています。



 と、言うわけで、つい最近ムービーのフルHD化が行われたと思ったら、このソニーのセンサを見る限り4Kムービーの時代も割りとすぐきそうな感じです
最近、TV業界の不調が叫ばれ、日本電機メーカーの凋落の槍玉に挙がっています。
その改革の切り札の一つに高付加価値化ということで、4KTVが最近のCESでも注目の的でした。
 しかし、一般への普及には価格以外にもう一つ痛い現実があって、”4Kコンテンツ不足”があります。
つまり、現在のTV放送がフルHDであるため、「TVが4K表示できても、4K表示するコンテンツがないよ。だったら4KTVである必要ないじゃん」という話です。
そのコンテンツ用意のために、各社”フルHD⇒4Kアップコンバートのための超解像技術”、4K出力可能なpcやゲーム機の用意、ソニーは今夏から米国で4Kコンテンツ配信も行う様です。
 しかし、いずれもマニアは良いとして一般人に対しては訴求力が低い様に思います。

 そこで、ソニーとしては全社的にも4Kムービー撮影可能な民生用カムコーダーやデジカメを普及させたいのではないでしょうか?
つまり、一般家庭で子供の運動会などを親が4Kムービーで撮影したら、家の大きな画面のTVで再生したくなり、その際には「せっかく4Kで撮ったのだから4K解像度で見たい!」となる親が一部出てくることを期待しているのではないでしょうか?
 GoProに載ったこのセンサを見て、TVの販促材料として、半導体部門に4K撮像素子を作らせるというソニーの全社的なプロジェクトの一環の様に今回見えてきました。
 一つだけ疑問なのは”じゃあ何故ソニーが最初に4K製品出さないんだ?”
というものですが(^^;) まあ楽しみに待つことにさせてもらいます。

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