先週行ってきました、幕張メッセで11/19~21に開催されていた
interBee(国際放送機器展)。
昔からここを見てくださっている方にはくどい前置きになりますが、
imagerマニアとしては、以下の様な理由により、ここ数年注目している展示会になります。
・割とハイエンドで新規なイメージャーを搭載したカメラが発表もしくは実機展示されたりしがち
・
今、放送が4Kや8Kに向かって(少なくとも日本は)過渡期であり、新規の市場創出や機器リプレイスが進み、活発な市場であること
interBee会期中に、ゲリラ的に(!?)、
ソニーからα7Ⅱが発表され、驚きましたが、
フルサイズ初のbody内手振れ補正(←5軸。
Eマウントのマウント径でよくやるものだと個人的に感心します。そして余談ですが、マウント強度の強化もメーカー公式発表している様です^^;)がメイントピックの様で、搭載撮像素子に特に手が入れられている気配は無さそうですので、当blogではスルーすることにして、今回はinterBeeネタにいくことにしようと思います。
今年は更に開催50回記念(
!!!何と50回目です。CP+やCEATECは主催団体の仲たがい(^^;)や人気復興のテコ入れのために何度も衣替えされていて、まだ歴史は浅いのと対照的です)の回ということもあり、例年にも増してご祝儀的な意味でも(?)盛り上がっていた様に感じました。
(という私は、昨年は仕事の都合上赴けなかったため、会場へは今年は2年振りでしたが・・・)
↑最近10年のinterBeeの登録入場者数と出展者数の推移
[3回]
入場者数の方は例によってリーマンショックの影響か、2009年に一度減って、その後低値安定でしたが、今年急増して過去最高の入場者数を記録。出展者数の方は順調に(?)増加し続け、1000社に迫ろうかという勢いです。
元々の規模が異なるとはいえ(と、言っても出展者数に関しては小規模事業者が多いということなのでしょうが、CEATECよりもinterBeeの方が多いですが)、
衰退感丸出しのCEATECとは対照的なグラフです。
私の様な一般人も無料入場可能な展示会とはいえ、基本は放送を中心とした業界人向けの展示会。業界自体がネットに潰されない限り会の存在自体がある程度必要で、必ず毎年コンスタントに関係者が足を運ぶために好不況の波には相対的に強いということなのでしょう。
さて、ではさっそく。
以前の”
今年のIFA / IBC / photokinaのblogエントリ時や、過去
NHKの技研公開等で一度もお目見えしていないカメラで4K解像度以上のカメラ”
という縛りをすると、今年はさほど新たな4Kカメラの発表は多くありませんでした。
”カメラ機器としては”(導入済みの事業者が多いかどうかはさておき)
4Kが普通になってきたということを意味するのでしょう。
(民生向けカメラと異なり、業務用カメラはライフサイクルが長めのため、毎年モデルチェンジは行われないのが普通のため)
■パナソニック マルチパーパスカメラ
4K レンズ交換式 B4マウント採用
2/3インチ
このページの中ほどを見ると、パナソニックのマルチパーパス(多目的?)カメラというのは、例えばお天気カメラ等を想定している模様。
■朋栄(ForA) FT-ONE-S
4K&超ハイスピード撮影カメラの代名詞”
FT-ONE”の弟分?
4K max 360fps 防水&小型モデル
カメラ名称の”S”はsmallのS?
ただし、その分(?)センササイズも少し小さくなったらしいので、ご注意を。
写真の通り、展示デモで水をバシャバシャ掛けられてました(^^;)
■JVC ←
今回私がカメラやイメージャーの分野では最もおもしろい展示内容だと感じたブース
不思議なことに、昨年はJVCはinterBeeに出展しておらず、今年のinterBeeでもブースを探すのに苦戦するくらいの、ネームバリューにそぐわないほどの小さなブースでの出展でした。
全くの余談ですが、今回interBeeに”民生用のコンパクトデジカメ等を発売していて世間一般に言う静止画メインのカメラメーカー”で出展していたのは、ソニー、パナソニック、キヤノンの3社。
あれだけ一眼レフカメラで最近動画機能を強化してきているニコンですが、二年前に私がinterBeeに来たときには、ニッコールレンズ群とDSLRムービー(Dムービー)を前面に押し出して出展していたのですが、
今年はニコンはブースを出していませんでした。
↑まず、製品に近そうな方から。今回のinterBeeに合わせて発表
JVC GY-HM200 ハンドヘルドタイプ
レンズ固定式
センササイズ:1/2.3インチ (単板)
4K30pまで
記録フォーマットは、圧縮コーデックにH.264を使って
.MOV もしくは AVCHD
ビットレート
150Mbps @4K
50Mbps @FHD
ソニーのPXW-Z100あたりと対抗するモデルになるか。
発売は、来年2月予定
↑ お次は参考出品 GY-LS300
ハンドヘルドタイプ 4K
レンズ交換式 μ4/3マウント
super35mm
ALTASENSE製撮像素子採用
記録フォーマットとビットレートに関しては、上のHM200と全く同様。
今年4月のNABでは”LSX2”という名称で出品されていたもの。
”え?マイクロフォーサーズのマウントにsuper35mm?”
各社のレンズをマウントアダプター経由で制限無く使ってもらいたかったため、まずマウントはフランジバックの短いμ4/3にこだわった。
そしてシネマでは標準フォーマットとなっているsuper35mmのセンササイズを採用したいというのがあった。
要約すると、上記の様な理由でこの様な正直亜流とも呼べる組み合わせになっている様子。
そして「四隅蹴られるじゃん」との疑問には、
μ4/3向けレンズはμ4/3よりもワイドに使える可能性もある
また、カメラ内でレンズによって最適な画角を選ぶ機能あり
また、センサの読み出しエリアを任意にも切り替えられる ←レンズに蹴られているところは読み出さない思想
来年春発売目標
価格未定 片手で買えるくらい≒¥50万程度
上記の思想からすると、レンズによっては結局super35mmの画角を得られない場合も多そうですが、果たしてこの様な亜流な(?)カメラが市場に受け入れられるか?個人的に大変興味深いところです。
4Kのレンズ交換式super35mmカメラが、¥50万で手に入ると思えば確かに現状破格(除くBMPC)。可能性はあるか?
↑ 4Kカメラモジュールとパンチルト雲台?とコントローラーとのセット
参考展示
LS300同様
レンズ交換式 μ4/3マウント
AltaSense製 super35mmサイズ撮像素子
TV会議、監視カメラ向け等を考えているとか。
↑二枚続けて。カメラユニットとしては双方とも同じ。
流行のマルチコプターオプションと3軸ジンバルモデルをJVCも。
どちらもまだ参考出品。
しかし、マルチコプターの方は既に撮影実績ありだとか。
ちなみにジンバル、マルチコプターともカメラは専用固定。載せかえ不能。
この辺が吉と出るか凶と出るか。
カメラ部の性能は一つ上の4Kカメラモジュールと全く一緒。
↑JVC最後。今年のNABで発表されていた、
GY-LSX1
ショルダータイプ
まだガラス内展示の参考出品。
レンズ交換式 今のところPLマウントを想定
センササイズ super35mm AltaSense製
この製品は恐らくJVCのフラグシップカメラになりそうな気配ですが、それゆえにまだ慎重に市場の声を聞いていて、製品化にはしばらく時間がかかりそうな雰囲気でした。
■ASTRO(アストロ)デザイン 8K60p収録可能なレコーダー
↑カメラヘッドの方は
NHKの技研公開では昨年くらいからお目見えしているもの。
今回新発表されたのは、写真後部のレコーダーの方。
8K60p収録が可能な様に高速SSDが何発か入っているそう。
NHK推奨のSHV(スーパーハイビジョン)の8K120p収録は無理とのこと。
お尻から出ているオレンジケーブルが光ケーブルで、レコーダーから写真奥に少し見えるモニタに映像信号を送出しているケーブル。
で、カメラヘッドとの間にトグルを巻いているオレンジのケーブルが同じく光ケーブルながら、カメラヘッドとレコーダーをつないでいるものだそう・・・
あれ?レコーダーとヘッドはドッキングしないの?
「本当はそうしたかったのですが、カメラヘッドの方をとにかく早く作れということで作ったもので・・・^^;」展示説明員
NHKとの大人の事情(?)で双方光ケーブル接続となったようです(^^;)
で、本題が遅れましたが、カメラでもimager絡みでも無いのに、何故私がこのレコーダーを取り挙げたかと言いますと、
↑'14年(本年)のNHK技研公開にて撮影
左の大きなカメラが、今回のinterBeeでも展示されていた、池上通信機の8KカメラSHV-8100。
右の小さいカメラが、アストロの8Kカメラヘッド。
この右のカメラヘッドの後ろに今回の8Kのレコーダーが半ドッキングします。
普通は、現在8Kカメラと言うと左の池上くらいの大きさになるのが普通だと思います。
つまり、私が注目したのは、恐らく冒頭8Kレコーダーが発売されれば、
現在地球上における最小の8K60p撮影&収録可能なシステムになることになると思われる点です。
上記の他、
恐らく一般向けには本邦初公開であったろう以下の様なカメラも、動作実機が展示してありました。
本年IBC向けに発表された
■ソニー PXW-FS7
↑ENGスタイルにした際の右手の取っ手(ハンドル)がとても特徴的。
この取っ手部でアイリス、フォーカス、ズーム操作可能
4K super35mm レンズ交換式 Eマウント 概略¥100万
同じく本年IBC発表
■パナソニック HC-X1000
コンシューマーフラグシップビデオカメラ
4K/60p対応
1枚のSDカードに4K記録可能 (←世界初)
1/2.33インチ表面照射型CMOS
↑
このセンササイズと表面照射型である2点で、ほぼパナソニック製撮像素子採用カメラということで間違い無いと思います。
実売¥34万前後
本年NABで発表
■AJA CION (サイオン)
DCI4K max120fps APS-Cサイズ レンズ交換式 基本PLマウント
グローバルシャッターセンサ搭載
予約も受け付けて、発売は年内予定だとか。
最近の円安の影響か、NABでのドル建てより多少お値段お高くなった印象で¥122万也。
(まあそれでもこの仕様で¥120万というのは高くは無い世界なのですが^^;)
ソニーのF55に続き、遂にシネマや放送用カメラの世界では、グローバルシャッタ撮像素子搭載カメラが増えてきましたね。
同じくNAB発表
■Blackmagic Design URSA (アーサ)CAMERA
↑展示はスタジオカメラ風。やはり基本はスタジオカメラ向け想定か
大きな内蔵(?)サイドモニタが特徴的
UHD(横3840)60p対応 レンズ交換式 EF/PL両マウントモデルあり
本体記録の場合はCFastカード
super35mm グローバルシャッタ搭載センサ搭載
お値段EFとPLでそれぞれ税抜き¥70と¥75万也
また、
4Kカメラではありませんが、以下の様なカメラも恐らく本邦初公開
同じく本年NAB発表
■Blackmagic Design Studio Camera
↑異形の風貌 名称の通りこちらは完全にスタジオカメラ特化モデル
こちらも大きな10インチモニタが特徴的。
そしてレンズ交換式で、マウントはμ4/3マウント。しかし搭載センササイズは1インチというこちらも一風変わった仕様(^^;)。
お値段税抜き¥23万也。
DigicDV4に画像処理エンジンを換装された
■キヤノン EOS C100markⅡ
は初展示
ISO102400(ゲイン44dB)まで対応 (従来ISO80000まで)
DigicDV4に換装されたため、モアレ・偽色・ジャギーをより抑制
■ARRI AMIRA のEFマウントモデル (純正マウントアダプタ?元はPLマウント)
センサは3.2Kなれど、1月に有償でUHD対応予定 (内部でアップコンバート)
UHDで60p FHDで200p可能
¥7万/日でレンタル
ARRIもEFレンズで庶民(!?)を取り込みに?と思いきや
■ARRI ALEXA 65
しばらく前にいきなり
65mmフォーマット(←実にsuper35mmの面積比約3倍のフォーマットサイズ!!!)の撮像素子のカメラを発表。
imagerマニアとして無謀と知りつつブースの方に
「
撮像素子の製造メーカーはどちらになるのですか?」私
「そういうことはこちらでは申し訳ありませんが分かりかねます」展示説明員
だよね(^^;)という展開。
というのも、実はARRIのカメラですが、nacというところが(恐らく日本における代理店ということだと思うのですが、)扱っているため、実機の操作方法等はともかく、カメラ自体の中身の情報まで持っていないものと思われます。
まあ持っていたとしても答える義理は無いスペックであるため、教えてもらえなかったのではと思いますが(^^;)
そして、あまりのハイエンドさっぷりに、
・今のところ販売予定は無く、レンタルのみの予定
・日本にはまだ1台も入ってきていない (つまり今回も動作実機の展示無し)
とのこと。脱帽です(^^;)
アカデミー撮影賞などを受賞した”ゼロ・グラビティー”は、ARRIのデジタルシネマカメラで基本撮影されたそうですが、一部画質的にどうしても65mmフォーマットの
フィルムでなければならない撮影シーンがあったのだとか。
そのため、ARRIとしては「あらゆるシーンに(今後はデジタルで)対応する必要がある」と考えたとかで、作ったカメラだとか。
つまり、
このカメラを要するのは、本当にシネマの中でもハイエンド中のハイエンド、アカデミー撮影賞を受賞するような映画撮影ということになりそうですね(^^;)
日本でも使用実績が出ることを期待したいです。
おまけ
↑ATOMOS SHOGUN (将軍) モニタ付4Kレコーダー
HDMI入力
今年、interBee会場で最も(写真背景の)垂れ幕が多く、宣伝されていたブランド及び商品。
今モニタに写っているのも、実際に展示ブースに持ち込まれて飾られた甲冑。
日本外のメーカーながら、このメーカー、商品名の付け方が面白く(?)
初期のレコーダーなどから順に、
NINJA (忍者)
NINJA2 (忍者2)
SAMURAI (侍)
SAMURAI BLADE (侍の刀)
RONIN (浪人)
そして今回のSHOGUN (将軍)
何か浪人や刀が混ざるあたり、日本人が見ると系統がおかしい気がしますが(笑)、今後最も注目なのは、将軍まできてしまったので次期製品はいったい何というネーミングを選ぶかというところ。
本命はMIKADO (帝)、穴はKUNOICHI (クノイチ) あたりだと私は思うのですが、皆さん如何でしょうか?(笑)
キヤノンとJVCにセンサ単体展示があったので、その写真も載せようかと思っていたのですが、少し長くなり過ぎましたので、次の機会があればそちらで載せようと思います。
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