※販売機種数は、以下各社のそれぞれの日本向けHPに掲載されている機種をカウントしています
注:JVCに関してのみ、あまりに数が多く、また古い機種まで掲載していたため、現状を知る目的には適さないと判断し、'12年2月以前に発売されている機種については機種数にカウントしていません(←価格.comにおいて既に掲載が無く、実際にも流通していない機種が多いと思われます)
ソニー /
パナソニック /
JVC /
キヤノン /
GoPro
※正確には”GoPro”は会社名では無く商品名(ブランド名?)です。社名は”Woodman Labs”です
今回は、GoProの方が通りが良いと思いそちらで表記しています
ちなみにあまり詳しく無い方のために補足しますと、
”アクションカムとは?”
基本的に、何か両手を空けてスポーツなどをしたい時に、自分もしくは自分の視界を撮影する用途で発展した動画撮影機です。
正確な定義は恐らく無いと思うのですが、私がイメージする定義は概略以下の様なものです。
1)小型・軽量
2)ヘルメットや自転車等への取り付けアタッチメントが同梱されているかオプションで純正品が用意されている
3)広視野角レンズ搭載
4)防水、もしくは専用ハウジングが必ず用意されている
5) (今のところ)単焦点レンズ搭載
6) (今のところ)電子式の手振れ補正機能がある
※身体などにカメラを付けて撮影するため、1)~4)が恐らく必須機能。
で、5)と6)は今後ズームなり光学式手振れ補正になっても良いですが、
ズーム操作が出来ないシチュエーションが多く、そして光学式手振れ補正は大型化、重量増を招くため、現状は5)と6)の状態になっています。
”思ったこと”を書き始める前にグラフの元になったリストを以下に。
※リストの空白欄は”調べていない”ことを意味します
※リストの”?”欄は、”調べたが、少なくとも公式HPには情報が載っていなかった”を意味します
※”価格.comの最安値”は、'14/08/30時点のものです
※”光学ズーム倍率”欄の”1倍”は、”単焦点”を意味しています
※”光学ズーム倍率”欄の”-”は、”レンズ交換式カメラ”を意味しています
まず、先にこの業界での各社の売り上げ順位はどうなっているか?というと・・・
近年の国内結果では、以下の様になっているようです。
1位:SONY(40%弱)、2位:Panasonc(25%前後)、3位:JVC(20%前後)
リンク先のページでは4位以下は不明です。
ただ、日本市場は上位3社だけでシェアの概略85%を占めているということがわかりました。
3強状態、もしくは1強2中強(?)その他弱状態です。
つまり・・・
①ビデオカメラ業界は、コンデジやスマホ業界と異なり、主要な参入メーカーが4社であり、かつその中の上位3社で85%以上のシェアを占める、寡占市場
そして、冒頭のグラフより、
②販売機種数は、JVCが19機種で一番。最下位はCanonで3機種(!?)
シェア順位と販売機種数の相関がありませんね。
JVCは12年発売機種まで遡ってカウントしているとはいえ、多いです。
さしあたってJVCは、”ビデオ業界のカシオ”と言ったところでしょうか(^^;)
翻って寂しいのがキヤノン。
コンパクトデジカメ界(?)における隆盛とは本当に対照的です。
私は、ビデオ業界でキヤノンがシェア首位で無いことは知っていましたが、こんなに3位と引き離された4位以下であるということや、
更には
販売機種数がたったの3機種しか無いという現状は知りませんでした。
ちなみに①の方は、
ビデオカメラ業界はコンデジやスマホほどには明らかに市場が大きくなかったため、既に参入企業が淘汰され終わった後なので寡占になっているという見方も可能かもしれません。
もしかして、まだ淘汰は継続中で、この後キヤノンも・・・!?
もうひとつ私が現状気になっていたのは、一時(日立もビデオカメラを売っていた頃)、テープメディアから完全デジタル媒体に記録メディアが変遷しようとしていた過渡期は、メモリ、光ディスク、HDDと三者が記録媒体に入り乱れていた頃がありました。
「光ディスク機はカタツムリみたいだな(笑)」
「HDDはメカ機構があるから、持ち運んだり、記録時に振動もあるビデオには危ないのじゃ?」
と思った記憶があります。
当時はメモリはまだ記録時間が短く、光ディスクとHDDの記録媒体に押し込まれていたと思うのですが、現状はどうなっているかな?と。
結果、全機種は調べられませんでしたが・・・
③ソニーの'08発売の超ハイエンドの1機種がDVテープ”にも”記録出来る以外は、(調べた限りは)
みなSD/MicroSD/メモリースティック/メモリースティックマイクロ系のメモリカード媒体に記録する仕様のものばかり
やはり、”メカ機構不要”、”小型化可能”な半導体メディアが最終的には勝った様です。
ちなみに、機種ごとに”内蔵メモリの有無”は現状差別化要因であるようで、ある機種と無い機種が市場に混在しているようです。
撮像素子関連の話に入る前に、まず価格のお話です。
※'14/08/30現在の価格.comの最安値から
④¥2万区切りでいくと、最頻度価格帯は¥2~4万が約半数。
¥4万以下の機種が、全体の約6割。
しかし反対に¥10万超えの機種も全体の約2割存在。
※ただし、¥10万超えの機種は例外無く、以下のいずれかに該当
大判素子(1インチ以上)搭載、4K対応機、3D撮影対応機、レンズ交換式、3板式
私の第一感は
”ビデオも安くなったもんだ”です。
”ビデオはデジカメよりも高くて、満足するものを買おうとすると¥10万近くする”
という感覚でいたのですが。
確かにそれでもまだ全般的にコンパクトデジカメよりも高いですが、それは売れる台数がコンデジに比べて少ない機種が多いので、仕方の無いこと。
なので、コンデジと比較して値崩れしていないのか?と言えば怪しいところだと思います。こちらはこちらでスマホカメラの動画機能に押されてコンデジ同様売り上げが落ちているのではないでしょうか。
しかし最近のミニパソコンであるスマホと比べればビデオの方が安い機種の方が多いですね(^^;)
↑その機種で撮れる動画の最大サイズフォーマットの内訳
全51機種
※FHD:1920×1080
4K :3840×2160
(GoPro BlackEditionのみDCI 4Kも可能。ただしフレームレートはUHD 4Kで15p。DCI 4Kで12p)
まずは、コンデジとスマホカメラと比較しやすいところから。
いわゆる”4K撮影可能機種割合”と思ってもらって、ほぼ間違いありません。
⑤民生ビデオカメラにおける4K撮影可能機種数比率は、12%。
その他の機種はほぼ全てが、最大でFHDまで対応。
例外は、ソニーの'10年1月以前発売のフラグシップ機2機種のみ
ビデオはきょうび静止画も撮れますが、当然動画が主役のカメラ。
なので、
コンデジではパナソニックのFZ1000 1機種しか現状4K動画撮影出来ないところを、12%の機種が対応可能なのは立派・・・
なのですが、
前回通りスマホカメラは現在3機種に1機種が4K動画撮影可能。
画質や使い勝手はともかく、ここでもこの点においてスマホに完敗の様相です。
そして、
動画専用機のビデオでも、4Kとなるとまだ60pを出せるのはソニーとJVCのそれぞれ¥35万と¥170万のお値段の2機種のみ。
その他の4K機は30pがmaxなのですが、GoProの2機種は注意が必要で、4K時はmax15p。
これを今回4K機にカウントしましたが、動画としては通常”4K対応”とするには微妙な線ですね。
フレームレートの話に少し振ると、
⑥FHD対応機に関しては、(JVCなどで調べられなかった機種を除く)全34機種で、ほぼ全てがmax 60p対応
例外は、JVCのアクションカムの廉価機1機種、GoProのアクションカムの廉価機2機種、Canonの1機種の計4機種のみ (←これらの機種は最大30pまで。キヤノンの機種は他60iも可)
現在は”FHDに関しては、60pまで普通に撮れる”と考えていて、ほぼ問題無さそうです。
また現在は、4Kに釣られて(?)プログレッシブが随分と普通になってきているように”スペックを見る限りは”感じますが、実際世間のお父さんお母さんは我が子の勇士を収めるのに、現在60i or 60pどちらで撮られているものでしょうか?
もしくはメーカーの工場出荷状態で、どのモードがデフォルト設定となっているものなのでしょうか?
個人的に興味深いところです。
↑動画撮影時の有効画素数の機種数内訳
※GoProなど、有効画素数が不明な6機種を除く、全45機種において
⑦動画時の有効画素数が200万画素台の機種が約半数。
その他、800万画素未満と800万画素以上が残り半数ずつ。
”FHD規格がほとんどなんだから、1920×1080≒207万画素で、200万画素台がほとんどなんじゃないの?”
と、思われる方がいらっしゃるかと思いますが、動画の場合そう単純でも無く、
上図の様に実際にはFHD機種でも800万画素やそれ以上の画素数を読み出して、その後画像処理エンジンでFHDの207万画素として動画記録している機種が半数近くあります。
私は詳しくは無いのですが、多くの画素数から適切な処理により画素数の少ない方へ補完圧縮処理(?)を施すと、ピッタリの画素数から映像生成するよりも高画質になることが多いからです。
撮像素子の読み出し速度や画像処理エンジンの処理速度に限界のあった昔では出来ないことでしたが、最近の読み出し速度&処理速度の向上により、可能になった手法と思われます。
つまり、上図は、
”その補完圧縮による高画質化を狙った機種が、全体の半数弱ある”という風に読み取ることも可能かもしれません。
ちなみに、上図は画素数の区切り方が恣意的ですが、800万画素で区切ったのは4Kが800万画素台になるからそうしてみました。
ただし、内訳を詳細に見てみると、800万画素以上にジャンル分けされた機種が全て4K対応機かというとそういう訳では無く、FHD対応機種でも1000万画素以上の画素数からその後の処理でFHD映像を生成している機種もそれなりにありました。
↑民生ビデオカメラ搭載撮像素子のサイズ内訳
※サイズ不明のGoProHERO3+の2機種を除く49機種において
↑ちなみに”+”のつかないノーマルのGoProHERO3も、撮像素子サイズは公表されていないようですが、
以前にチップワークスが解析していた結果で分類しました。
⑧1/2.○インチサイズが約4割でトップ。
1インチ以上サイズが全体の1割の機種で採用。
1/5.8インチという小さめのサイズの素子搭載機種も全体の約3割ある。
ちなみに強引に機種ごとの撮像素子サイズの平均値を出すと、偶然1/2.3インチ。
上図の39%の1/2.○インチ素子は、パナソニックの1機種を除き、その他の機種は全て1/2.3インチ。
コンパクトデジカメでスタイリッシュなモデルや高倍率ズームモデルで多く採用されていて、かつ
コンパクトデジカメでは小さめのサイズである1/2.3インチサイズが、
民生ビデオカメラにおいては主流であり、かつ高級機を除いては最も大きなサイズになっているようですね。
また、1/5.8インチという割と小さめのサイズの素子も全体の約3割存在し、
コンパクトデジカメと比較すると、ビデオカメラの方が全体的に素子サイズが小さめです。
これは、冒頭の一覧表の光学ズームの欄を参照していただければわかるのですが、ビデオの方がコンパクトデジカメよりも全体的に光学ズーム倍率が高いものが多く(最低線で基本10倍ズーム、メーカーによっては凄いものだと50倍ズームモデルまで存在)、筐体を現実的な売れ線サイズまで小さくするために光学系を小さくする必要があるためだと思われます(←光学系を小さくするために撮像素子のイメージサークルは小さい方が都合が良い)。
筐体の格好や持ち方以外に、上記撮像素子サイズの観点からもやはり静止画カメラと動画カメラは別物ですね。
今後も”静止画と動画の境目は限りなく無くなっていく”とは思います。が、カメラの用途としての”静止画向け”、”動画向け”の区別はまだまだ生き残り続けるように思います。
(画素数があるからと言って、1/5.8インチ&50倍ズームモデルを気合の入った静止画撮影にも兼用しようというのは、撮像素子サイズやレンズ構成的に無理させてるでしょうから、やめた方が賢明だと個人的に思います)
他方、1インチ以上の撮像素子を搭載した機種割合は、コンパクトデジカメほぼ同様の約10%存在。
しかしさすがにその内訳は、ソニーに¥15万以上のレンズ交換式のハイアマ・セミプロ向けの2機種でそれぞれ35mmフルサイズとAPS-C機が存在する以外は、全て1インチ機種という陣容。
コンパクトデジカメで事実上のmaxサイズがAPS-Cサイズ搭載機とすれば、それに対応するビデオ機種は事実上1インチが最大サイズという関係でしょうか。
総じてコンパクトデジカメも民生ビデオカメラも現在主流の撮像素子サイズは1/2.3インチだということがわかったのですが、
一部の
カメラ機能ハイエンドスマホでは既に1/2.3インチサイズ素子がスマホでも採用されており、今後
ソニーの湾曲センサが安価に本格量産されればその他のスマホも1/2.3インチ撮像素子採用機種が多くなることが予想されます。
その際、コンパクトデジカメとビデオカメラは更に大きめな撮像素子採用へとシフトしていくのでしょうか?
↑搭載CMOSイメージセンサのFSI (表面照射型) vs BSI (裏面照射型)割合
※表面型/裏面型の別の記載がはっきりしないCanon、及び未記載のGoPro3+、及びJVCの1機種を除く45機種において
※パナソニックの”MOS型”は(恐らくパナソニック製の素子で、そしてパナソニックが裏面照射型素子を作っていないことから)表面照射型に分類
⑨民生ビデオカメラにおいても、CCD撮像素子採用機種は現在1機種もなかった
⑩民生ビデオカメラにおいても、コンパクトデジカメ同様、裏面照射型素子の割合が8割を超える
CCD採用機が2割強残るコンパクトデジカメに対して、民生ビデオカメラでCMOS型素子の採用が進むのは、一眼カメラでCMOS型素子化が進んだ理由の一部と同じだと思われます。
同じ時代で比較すれば、やはりmovieの方がstillよりも素子からの信号読み出し速度が求められるので、その仕様に適した素子を選んだら、CCDよりもCMOS型になったということだと思われます。
また、民生ビデオにおいては、表面照射型素子が採用されているのは、一部のアクションカムか発売が古い機種。それ以外はやはりコンパクトデジカメ同様大判撮像素子搭載機のみとなっており、1インチ未満の小型の撮像素子(≒画素ピッチが小さい素子)では裏面照射型素子優勢となっているようです。
以上で一通り終了です。
その他データなどありませんが、いくつか感想を。
⑪きょうび、手振れ補正が無い機種はほぼなさそう
⑫やはり光学ズーム倍率と撮像素子サイズは反比例の傾向がある程度あるように思う
⑬一昔前ほどには、静止画機能&性能をアピールする機種は減って(≒静止画用に無駄に画素数を増やす機種は減って)、動画機として王道の動画機能性能にほぼ特化した機種が多い気がする
⑭やはり、撮像素子サイズとビデオ本体価格の間にはある程度比例関係があるように思う。
⑮一部の機種でプロジェクタ機能がついたものがある。個人的には使える機能なように思うし、ある程度ビデオカメラ独自の機能になっている気がする
(コンパクトデジカメでもプロジェクタ機能がついた機種もあったと思うが、今はもうなくなってるのでは?もしそうならプロジェクタ機能が受けるか受けないかのコンデジとビデオの違いはどこにあるのか?)
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