デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)
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管理人様
以前の問い
> ロートルさんはカメラをお持ちで写真撮影される方なのでしょうか?
ですが、写真撮影は数年に1回程度です。持っているカメラはpowershot S10 (S100の書き間違いではなく)です。高価なカメラだったので、長く使っています。
今回、chipworksの言う、” フルサイズセンサ製造者にとっては、グローバル電子シャッタは機能的に長期的なゴールだ” について、もう一度、考え直してみました。
具体的に存在する、本文中のSONYのPMW-F55については、直ぐに、資料が見当たらなかったので、他のSONYのグローバルシャッターセンサ製品、IMX174について見てみました。
http://www.sony.net/Products/SC-HP/new_pro/december_2013/imx174_e.html
この資料で、個人的に一番驚いたのは、電源電圧ですね。3.3Vでグローバルシャッター機能を動かせるものなのですね。
ポテンシャル的に考えると、完全転送のためには、PD → storage部 → FDの2段落としが必要ですから、直感的に相当、高い電圧が必要な気がします。(例え、カップリングの効果を利用したとしても)
ただ、電圧を下げることが出来れば、トランジスタは小さくレイアウトでき、不利なレイアウト問題はある程度、緩和するのかも。然しながら、storage部等に割り振れる電圧帯は小さくなるので、これらの面積は逆に大きくなる方向で、結局、飽和電荷とレイアウトのジレンマは解消しないような気がします。
オリンパスのように3次元的転送等、ブレイクスルー的な手法を考えないと、平面的なレイアウトでは、storage部と第2転送MOSの追加で、必ず、飽和電荷が減少すると思います。
applicationの観点で、movieなど、メカシャッターが使えず、尚且つ、絶対にrolling歪が許されない用途(他の特性は妥協できても)という用途は、有るでしょうから、その特殊用途の解として、グローバルシャッター機能を具備したセンサが存在するという話しなら理解できます。この場合は、究極のカメラというよりは、ニッチ用途のカメラという意味合いに近いと思います。(SONYのセンサがニッチ用途だと言っているわけではありませんが)
ここで、センサを作る側だけの立場で、物を考えると、やたら、グローバルシャッターのネガティブな面だけが見えるので、管理人さんのご指摘通り、カメラを使う人の立場や、メカ屋の立場で物を考えてみます。
動く被写体の決定的な瞬間を撮りたいとすると、速い連写で多数枚、撮影してベストの1枚を選ぶという方法しか無いのでしょう。その場合、連写速度のボトルネックの1つに、メカ部品である、機械的なシャッターがあるのは、理解できます。今でも、高速連写時、メカシャッターのバッテリーの消耗が大きいことは理解します。速ければ、速く動かす程、ボディー側の振動対策も大変なんでしょう。(メカ屋ではないので、程度問題は理解していませんが)
メカシャッターのシャッター動作はrolling歪が無いとは言え、画角全体に対する同時性は無く、理想シャッターという観点ではグローバル電子シャッターに分があるというのも、分かります。
これらを考えると、最後はグローバルシャッターによって、得られるものと、失うもののバランスの判断になってくると思います。ユーザーサイドから見て、この機能に対する対策や進歩により、失うものが許容範囲に収まれば(相当、難しいことだと思いますが)、究極のカメラと考えることもできるのでしょう。
もう1点、余分に考えると、ミラーレスとグローバルシャッターセンサを組み合わせると、カメラのボディーは ”精密機械” ではなくなります。クイックリターンミラーもありませんし、機械精度を要するメカニカルシャッターも無くなるわけです。AFやAEに光軸を合わせる、精密な組み立て工程も無くなります。
これは、センサさえ購入すれば、誰でも ”究極のカメラ” を作ることが出来るという意味にも考えられますが、どうでしょう。
汎用的な使用に耐えるグローバルシャッターを具備したセンサが達成される時は、カメラメーカーにとって朗報だと思います。但し、それ以上に、新興国企業が、その出現を待っているような気がします。技術蓄積の差が問題になる、精密機械部品問題が消滅し、究極のカメラを作れるようになるわけですから。
現時点でも、グローバルシャッターの有無の問題は、住み分けの問題だと、考えていますが、これだと、頭の柔軟性が無いんですかね。
>持っているカメラはpowershot S10 (S100の書き間違いではなく)です。高価なカメラだったので、長く使っています。
そういうカメラがあったことを思い出しました。
確かに高価(確か当時コンパクトデジカメなのに¥10万以上したような記憶が。今の汎用のコンパクトがせいぜい¥2万しないことを考えると、当時はデジカメは全般的に高かったですね)だったですね。
確かレンズがいわゆる赤鉢巻(交換レンズのLレンズ相当)のものだったように思います。
>他のSONYのグローバルシャッターセンサ製品、IMX174について見てみました。
>この資料で、個人的に一番驚いたのは、電源電圧ですね。3.3Vでグローバルシャッター機能を動かせるものなのですね。
>ポテンシャル的に考えると、完全転送のためには、PD → storage部 → FDの2段落としが必要ですから、直感的に相当、高い電圧が必要な気がします。(例え、カップリングの効果を利用したとしても)
ところがソニーは頭が良くて(もしかしたらAptinaの車載用のグローバルシャッタセンサも同様かもしれませんが)、どうもカップリングの効果利用ではなく、かつ二段落としをすることなく、グローバルシャッタ機能を実現しているようです。
Strage上部に電極を設け、その電極のON⇔OFFのタイミングを適切に制御することによって、PD → storage部 → FDの2段落としをすることなく、
PD → storage部転送の際には、strage側のポテンシャルを下げ、storage部 → FDへの電荷転送時には、今度はStrage側のポテンシャルを元の高さに引き上げ戻すことにより、上記実現しているようです。
(少なくとも、最新コメントのCMOSIS社のセンサはこうなっていなさそうですね)
拙blogのエントリNo.55の以下の図を見ていただきたいのですが、
http://blog.cnobi.jp/v1/blog/user/caf955d4e1b915b7c2a61556c98c8daf/1368337457
↑この図はソニー提案の特許のものなのですが、かなり実際製造の素子と似た構造なのではと予想しているものです。
これを見ると、図中のポテンシャルを丁寧に見比べないとわかりにくいのですが、
(7)転送1 が、PDからSTRAGE部(この特許ではMem)への転送で、電極CCDがONし、MEMとFD部へ同時に電荷転送が行われています。
この時、通常考える、MEMとPD間の電位障壁だけでなく、CCD電極がMEM上部へも延在していることから、同時にMEM領域のポテンシャルも下げて完全転送しやすくしています。
その後”(8)転送1後”でCCD電極がOFFした後には、(実際の素子のポテンシャルがこれと全く同じとは限りませんが)、MEMのポテンシャルは概略PDと同じところまで戻っています。
そのお陰、次に”(11)転送2後”でMEM⇒FDに転送する際には、通常センサのPD⇒FD部への転送時のポテンシャルと同様のポテンシャル状態で転送することを可能にしています。
特許を読むとソニーではこれを”CCD構造”と読んでいるようですが、
確かに水平と垂直のCCD転送路はこの理屈で同じ電源電圧で何度も完全転送を繰り返しているのでしょうから、
まさに、長年CCDを手がけてきたソニーらしい発想と構造だなと感心した覚えがあります。
>ただ、電圧を下げることが出来れば、トランジスタは小さくレイアウトでき、不利なレイアウト問題はある程度、緩和するのかも。然しながら、storage部等に割り振れる電圧帯は小さくなるので、これらの面積は逆に大きくなる方向で、結局、飽和電荷とレイアウトのジレンマは解消しないような気がします。
ただ、確かにどんな策を弄しようとも、グローバルシャッター用のMEMが無い通常画素センサと比較すれば、同時代の同プロセスで製造する限り、常にグローバルシャッタセンサの飽和電荷量は通常画素センサに劣るのはおっしゃられるとおりだと思います。
>これらを考えると、最後はグローバルシャッターによって、得られるものと、失うもののバランスの判断になってくると思います。ユーザーサイドから見て、この機能に対する対策や進歩により、失うものが許容範囲に収まれば(相当、難しいことだと思いますが)、究極のカメラと考えることもできるのでしょう。
前段の引用をはしょりましたが、おっしゃられていること、全て過不足無く同意します。
僭越ながら、私が考えていたことも全く同じです。
(本文中でグローバルシャッタに懐疑的なコメントを残しているのは、上記ロートルさんおっしゃるところの”失うものが許容範囲に収まらない”時代の前提です)
そして、次の話にも通じるのですが、
メカ屋さん的には間違い無く楽になる(半導体の歴史はある側面において、常に他の部品の機能を半導体チップに集積化することによって機器の小型化に貢献してきた歴史という見方も出来ますので)のですが、メカ屋さんは楽になる≒自分たちの仕事が無くなる ことに対する恐怖は無いのかな? と時にふと思ったりすることもあります。
>もう1点、余分に考えると、ミラーレスとグローバルシャッターセンサを組み合わせると、カメラのボディーは ”精密機械” ではなくなります。クイックリターンミラーもありませんし、機械精度を要するメカニカルシャッターも無くなるわけです。AFやAEに光軸を合わせる、精密な組み立て工程も無くなります。
>これは、センサさえ購入すれば、誰でも ”究極のカメラ” を作ることが出来るという意味にも考えられますが、どうでしょう。
全くもって私もそう思います。
上の”メカ屋さんは不安にならないのか?”のコメントの続きがまさにここにつながるのですが、
カメラ以外の電気製品で、TVやAVの黒モノ家電分野は正にこの状況が二足先に訪れ、メカやアナログ部分が機器の”ガワ”以外はほぼ全廃された結果、外箱と半導体チップ付きボードを購入すれば誰でも同じものが作れる様になり、
コスト高な日本メーカーは同分野で全敗(とまでは言わずとも全盛期と比較すれば確実に衰退)というのが現在だと思います。
>汎用的な使用に耐えるグローバルシャッターを具備したセンサが達成される時は、カメラメーカーにとって朗報だと思います。但し、それ以上に、新興国企業が、その出現を待っているような気がします。技術蓄積の差が問題になる、精密機械部品問題が消滅し、究極のカメラを作れるようになるわけですから。
という訳で、以前もチラッと出しましたが、そういう意味でトヨタやホンダは(そういう意図があったのかはわかりませんが)常々商売の先をきちんと見ているなと、別の面で私は感心しています。
EV(電気自動車)が全盛になれば、モーターとバッテリーとタイヤとシャシーがあれば、誰でもある程度の車が作れ、上記黒モノ家電似たような状態が訪れたのでは?と私は思っています。
ところが、まず(現状ガソリンエンジン車よりも構造がより複雑な)ハイブリッド車に橋渡しし(←これはEVの実力がまだまだという現実があったというのが大きいと思いますが)、その後のプランでは、EVも短距離走行用に残すものの、そちらを本命視せずに、次には燃料電池車へ移行するプランが現在濃厚な様に見えます。
結局エンジンという究極の(?)メカ部品を残すことで、今までの地位をより磐石なものにしようとしているように思えてならないのです。
(そういう意味で、日産のEVに力を注ぐ姿勢というのは、技術としてはありだと思うのですが、自社や業界の将来をビジネス的にマネージャー視点で考えた際には、私は賛同しかねます。日本電気メーカーの衰退から学んでいないのかな?と。当然、私などが及びも付かない上からの見地での深慮遠謀があるとは思うのですが)
>現時点でも、グローバルシャッターの有無の問題は、住み分けの問題だと、考えていますが、これだと、頭の柔軟性が無いんですかね。
↑ロートルさんの意図を私が汲めているか自信が無いですが、
”現時点では”、私も全く住み分けの問題だと思います。
このことについて、頭の柔軟性の問題だとは感じていませんが、こういうことに自信満々で疑問を抱かない私の頭の構造は、何か今後致命的な時代遅れを招くでしょうか(^^;)
管理人様
ご意見を拝見させていただきました。
私自身は、この特許の構造では、製造上の問題で、製品実用化が難しいのでは、という印象を持ちました。
結論から言うと、低照度-高照度の切り替えポイントの均一性とアライメント管理の間に難があると感じたからです。
話しを複雑化させないために、仮に、PDの飽和電荷を20000個、Memの飽和電荷を5000個と置きます。最初の粗読みで、何らかの信号は出てきますから(暗電流によって)、信号処理のバックエンドで、これが5000個という切り替えポイントを越えたので、出力された信号なのか、ノイズなのかを判定する必要があります。2番目の低照度信号を読めば、判定できるような気がしますが、5000個近傍では、それが飽和による信号なのか、まだ飽和していないのか、難しい判断になります。
特に、Memの飽和電荷が画素ごとに異なるという場合は、演算の切り替えポイントを画素ごとに変えるという問題まで発生します。
なぜ、Memの飽和電荷が均一にならないと考えるかというと、Mem拡散層とゲート電極位置の間にアライメントズレが存在するからです。工程順序で考えれば、Mem拡散層が先、ゲート電極形成が後ですから、この2者間をセルフアラインで作ることは出来ません。
Memの飽和電荷を決定する物理量は、凡そtrf直下の表面ポテンシャルですが、厳密にいえばMem拡散層右エッジの部分が、障壁として残り、tfrのショートチャネル効果に影響を与えるはずです。
特許を書く場合は、CCD電極の左端とMem拡散層の左端は、完全なOn lineで書くことが可能ですが、実際の製造では、この位置関係が、ある程度幅を持っており、障壁の高さが若干上下すると、予想します。
まあ、精度問題というのは、程度問題であって、位置ズレも回転ズレ以外は皆同じ方向にずれるので、信号処理の仕方はあるのかもしれませんが、mode切り替えのある動作は、どうしても慎重に見てしまいます。(切り替え繋ぎの部分で異常の出るケースが多いので)
管理人さんの言われる通り、この方式なら、3.3V動作も可能で、一時蓄積領域のレイアウトも楽に出来ると思います。ただ、断面写真でもあれば、と思います。
事実を見て、恐れ入りましたという気持ちになるのかもしれませんが。
根拠はありませんが、個人の印象で言うと、粗読みをせず、十分なMem拡散層面積を取った構造(1回読みでPD飽和量とMem飽和量がほぼ同じ)なら現実的かなと思います。トータルの飽和電荷は小さくなりますが、低い電圧駆動で動作が可能みたいなので。
CCD電極とtrf電極のgapが100nm以下位なら、転送残り無しの転送ができるんですかねぇ?
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