デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)
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さて、ISSCC2015も終わってしばらく経っちゃいましたが、2回前のCP+のエントリの冒頭でチラッと書いた様に、
ソニーが1列に二つのADを詰め込んだ、デジカメ用の1/1.7インチ20Mpixelの積層型センサの報告を行っています。
ので、昨年もお世話になりました上記リンクサイト(blog)から、以下概要を私なりにかいつまんでみようと思います。
【発表されたイメージセンサの仕様や特性など】
①1/1.7インチサイズ
②画素数:2000万画素 (5256×3934)
③画素ピッチ:1.43um□
④裏面照射型 & 積層型
⑤飽和電子数:9700電子
⑥ダイナミックレンジ:72dB @12bit分解能時
⑦電荷変換係数(conversion Gain):76.6μV/eln
⑧topのセンサ基板側:90nm 1POL4METAL
Bottomのlogic基板側:65nm 1POL7METAL @170万ゲート
ちなみに、順番が逆になってしまいましたが、ソニー発表の原題は、プログラムによると以下となっています。
”A 1/1.7-inch 20Mpixel Back-Illuminated Stacked CMOS Image Sensor for New Imaging Applications”
管理人様
早々とISSCC論文の情報提供、及びその整理有難うございます。
読ませて頂き、同じ問題に興味を持ちました。なぜ、ADCをBottomのlogic基板側に持っていったのか、という理由に関してです。他社も注目しているでしょうから、将来、標準的な積層構造が、どう回路ブロックを上下に振り分けるか、影響力のある論文だと思います。
自分なりに考えてみましたが、難問ですね。納得できるような理由は思いつかなかったです。
コスト面の問題は、面積の効果以外に、若干、追加効果があると思います。
2013年の論文では、確か、topのセンサ基板側は5層metalでしたから、今回、4層metalになっているのは画素だけだからだ、と思います。サリサイド等の工程もアナログ部分が無くなれば、topのセンサ基板側で省略することが、可能だと思います。
それに対して、Bottomのlogic基板側は元々、LVとHVのトランジスタが混在していたようなので、ADCが入り込んでも、大きく工程が追加されることは無いはずです。
(LVとHVのトランジスタが混在していたことは、最近、このサイトの解説記事を読み、認識し、長い間、LVだけだと勘違いしていました)
但し、この程度のコスト効果なら、劇的なものであるとは言えず、管理人さんの仰る通り、Double ADCの絡んだ話なんでしょうね。
TSVのpitch問題は同じように興味を持ちました。topのセンサ基板側のmetal層数が減っているので、pitchに対して、少しだけ有利な方向ですが、大部分はウエハとウエハの間のアライメント精度でlogic側Top metalの受けのサイズが決まっているんでしょうね。
TSVのエッチング形状や埋め込みの問題は最大の問題ではないと思います。前回の6μmのpitchは、十分なマージンを取ったものと推定できますが、各列ごと、同じ位置に並べられるか、というと、確かに難しいような気がしますね。この辺の問題は、強引に推測するより、chipworksなどがタネ明かしするのを待った方が良いかもしれません。
もう一つ、積層typeの基本構成を考える時、画素以外、全てbottom側のケースで放熱問題がどうなるか、気になります。局部的なヒートスポットを設計側で最初から回避しておかねばならず、これが、容易なことなのかが、気になります。
上下の振り分け問題は会社によって個性が出るケースもありますので、管理人さんの腕で、楽しみのある情報提供して頂けると有り難いです。
>同じ問題に興味を持ちました。なぜ、ADCをBottomのlogic基板側に持っていったのか、という理由に関してです。
ロートルさんに同じところに興味を持っていただき、嬉しい(光栄?)です(^^)
>他社も注目しているでしょうから、将来、標準的な積層構造が、どう回路ブロックを上下に振り分けるか、影響力のある論文だと思います。
言われてみて、確かにその通りで、他社に対して影響力のありそうな論文だと私も思いました。
>コスト面の問題は、面積の効果以外に、若干、追加効果があると思います。
>2013年の論文では、確か、topのセンサ基板側は5層metalでしたから、今回、4層metalになっているのは画素だけだからだ、と思います。サリサイド等の工程もアナログ部分が無くなれば、topのセンサ基板側で省略することが、可能だと思います。
>それに対して、Bottomのlogic基板側は元々、LVとHVのトランジスタが混在していたようなので、ADCが入り込んでも、大きく工程が追加されることは無いはずです。
なるほど。納得です。チップ面積削減以外に、top側基板のプロセス工程数削減効果も見込めるということですね。
>但し、この程度のコスト効果なら、劇的なものであるとは言えず、管理人さんの仰る通り、Double ADCの絡んだ話なんでしょうね。
そうなんですね。
(シングルのAD分程度の)面積削減+ロートルさん指摘のtop基板側のプロセス工程削減によるコスト低減効果は、さほど大きなものでは無いということなんですね。
私はこの辺のコスト感覚が無いので大変勉強になります。
>TSVのpitch問題は同じように興味を持ちました。topのセンサ基板側のmetal層数が減っているので、pitchに対して、少しだけ有利な方向ですが、大部分はウエハとウエハの間のアライメント精度でlogic側Top metalの受けのサイズが決まっているんでしょうね。
>TSVのエッチング形状や埋め込みの問題は最大の問題ではないと思います。
この手のTSV pitchの律速要因は、アライメント精度補償(?)のためのbottom側基板の受けのMetalサイズだということですね。
こちらも大変勉強になります。
上記お話で私が一点理解できていないことがあります。今回の支配要因では無いとのことですが、top側基板のMetal層数とTSVpitchの関係です。層数が減るとpitchに対してやや有利な方向とのことですが、どういう理屈なのでしょうか?
>もう一つ、積層typeの基本構成を考える時、画素以外、全てbottom側のケースで放熱問題がどうなるか、気になります。局部的なヒートスポットを設計側で最初から回避しておかねばならず、これが、容易なことなのかが、気になります。
これは私にとっては新たな着眼点です。
あとは、放熱以外に局所的なヒートスポットを作ってしまうと、top側のフォトダイオードまで熱が拡散(?)し、長時間露光時の画質に悪影響を与えるというようなことも無いでしょうか?
それとも発想の転換で、上記の様な課題に対してはtop基板とbottom基板の間に、何か断熱材的な物質を挟む構造になっているとか、そういうことなんでしょうか?・・・・・・今までの断面写真を見る限り、そんな気配は無いですかね(--;)
(それとも単純に、裏面照射型の積層型なので、bottom基板回路素子とフォトダイオードとは距離があるので、そもそもbottom側基板の発熱の影響は画像には表れないでしょうか)
といいますか、指摘を受けてこの問題はADCをbottom側にもってくる以前から発生していそうな課題に感じました。
通常に設計&レイアウトしてしまうと局所的なヒートスポットが存在してしまうとして、それを回避しようとすると、非常に制約の多い設計&レイアウト構成になってしまいそうですね。どうしてるんでしょう?(^^;)どちらかと言えば容易じゃ無いことの様に感じますが・・・
>上下の振り分け問題は会社によって個性が出るケースもありますので、管理人さんの腕で、楽しみのある情報提供して頂けると有り難いです。
腕の問題なのかわかりませんが(^^;)、確かにソニー以外の他社がどういう振り分けにしているのかの情報を見たこと無いことに言われてみて気づきました。
ただ、量産実績豊富なのはソニーだけで、他社はまだこれからなのかもしれませんが。
(SamsungがGalaxyセンサなどで量産実績あり。OmniVisionとAptinaは以下リンク先のサンプル出荷中のセンサが初積層型センサなのでは?と思います。その他のメーカーはどこか積層型センサやってるのでしょうか?私は聞いたことがありませんが・・・)
http://image-sensors-world.blogspot.jp/2015/03/omnivision-shrinks-pixel-to-1um.html
http://image-sensors-world.blogspot.jp/2015/01/on-semi-aptina-announces-13mp30fps.html
ただ余談ですが、ソニーは今回の発表よりも一年前には既にADCユニットをBottom側基板に配置したセンサを作っていたようです。
タイムリーなことに(ロートルさんも登録されているかもしれませんが)チップワークスからのメールのリンク先の写真に、昨年の今頃発表になったセンサで既にBottom側基板にADが配置されていることがわかるものがありました。
http://ww2.chipworks.com/l/4202/2015-03-13/gc3f5
↑これのソニーIMX214のpdfのp.3参照願います。解析結果が今出ているということは、量産出荷は割と最近だったのかもしれませんが。
管理人様
一応、考えていたことを、書いておきます。
>今回の支配要因では無いとのことですが、top側基板のMetal層数とTSVpitchの関係です。層数が減るとpitchに対してやや有利な方向とのことですが、どういう理屈なのでしょうか?
TSVのテーパーの問題です。2年前の論文の記事にTSV部分の断面写真がありますが、当然、完全な垂直形状ではなく、テーパーがついています。上側のmetalの層数が減れば、TSVの深さがその分減少し、開口間口は小さくなります。若干ですが、このマージン分はピッチを小さくできるはずです。テーパー自身はもう少し、立てられるような気もしますが、今度は埋め込みの問題が難しくなるでしょうから、TSVの深さは浅いに、越したことはないはずです。
>放熱以外に局所的なヒートスポットを作ってしまうと、top側のフォトダイオードまで熱が拡散(?)し、長時間露光時の画質に悪影響を与えるというようなことも無いでしょうか?
それとも発想の転換で、上記の様な課題に対してはtop基板とbottom基板の間に、何か断熱材的な物質を挟む構造になっているとか、そういうことなんでしょうか?・・・・・・今までの断面写真を見る限り、そんな気配は無いですかね(--;)
(それとも単純に、裏面照射型の積層型なので、bottom基板回路素子とフォトダイオードとは距離があるので、そもそもbottom側基板の発熱の影響は画像には表れないでしょうか)
> といいますか、指摘を受けてこの問題はADCをbottom側にもってくる以前から発生していそうな課題に感じました。
通常に設計&レイアウトしてしまうと局所的なヒートスポットが存在してしまうとして、それを回避しようとすると、非常に制約の多い設計&レイアウト構成になってしまいそうですね。どうしてるんでしょう?(^^;)どちらかと言えば容易じゃ無いことの様に感じますが・・・
Imager以外でもチップを積層するSoPは放熱の問題が難関になります。当然、強いレイアウト上の拘束があると思います。
2年前の発表と比較しても、今回の構成では、上部は全域で画素みたいな物ですから、逃げ場が無いような気がしました。ですので、どうなっているのだろう、と思い放熱の問題を書きました。
2013年に発表されたチップや量産されているチップでも、放熱問題が無検討で作られているようには思いません。
但し、一眼レフ用のセンサと比較して、コンデジやスマホは極端な長秒露光が無く、問題は存在するが、程度問題として許容レベルなのかな、と感じています。
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