※ソニー、富士フイルム、パナソニックの3社は、コンパクトデジカメとレンズ交換式カメラの台数内訳を示していません
ですので、total販売計画台数をコンパクトデジカメの欄にもスライドさせています
※リコー(ペンタックス)及びシグマは数字を拾えていませんので、上表からは割愛しています
※販売台数はワールドワイドのものです。国内のみの数字ではありません
※右端、13年度実績の数字は、レンズ交換式+コンパクトデジカメ合算値です
まず、コンパクトデジカメうんぬん以前に、デジカメのトータルの販売台数ですが、
全盛期にはワールドワイドで軽く1億台を超えていたのに寂しいものですね(--;)。
計画通りこの後推移すると、各社の数字を累積すると、
今年度は4380万台。
■昨年度比3割減
■最盛期の約1/3の販売台数
となりそうです。
また、内容(?)も悪く、表には載せていませんが、
キヤノン、ニコン、パナソニック、オリンパスの4社は、年初の販売台数計画から、コンパクトデジカメは年度途中で下方修正しています。
(ソニーは唯一800万台⇒840万台に上方修正。ただし、恐らく内訳はレンズ交換式の上方修正と思われます)
今年度、多くの会社が想定していたよりも市場環境は悪いことになり、逆に言うと各社デジカメに対する見通しが甘いか、ユーザーに魅力ある商品を提供出来ていないということになると思います。
デジカメシェアのメーカー別順位的には、キヤノン⇒ニコン⇒ソニーの上位3強は揺るがず、そのままの順位。
微妙なところですが、昨年度4位、5位の富士フイルムとパナソニックが熾烈な4位争い、
オリンパスとカシオが熾烈な6位争い。
(↑気づいてなかったのですが、コンパクトデジカメのみに絞ると、今年度でオリンパスはカシオにほぼ間違い無く逆転を許し、7位に転落するんですね。カシオがあまり目立っていない印象でしたので意外でした)
では以下より本題。
まず、
'14年(1~12月)のメーカー別発売カメラ機種数比較から。
※発売機種としてカウントしているのは、上記メーカーが日本国内向けに発売した機種としています
※カシオに関しては、HPにて”流通限定モデル”と記載してあるものについては、機種数としてカウントしていません
※”~Edition”といった様な限定モデルも機種数としてカウントしていません
※中には既に後継モデルが発売されたカメラも含んでいます(←あくまで'14年の1年間に発売された機種数をカウントしています)
※「カシオのWG-M1はどちらかと言えばムービー機だろう」という話もありますが、今回は便宜上”コンパクトデジカメ”として以後も含めカウントしています(^^;)
※
前回と異なり、今回の集計はシグマも対象としています(以降も同様)
何か話す前に、上記グラフの元になった
”昨年発売されたコンパクトデジカメの一覧表”を以下に貼り付けます。
※価格.comの最安値は、'14/12/28現在のものです
※”独自カメラジャンル分け”は、私が感覚を掴みやすいように、以下を目安にカメラをジャンル分けしています
1)1/1.7インチ以上の撮像素子搭載機⇒無条件に”ハイエンド”
2)ズーム倍率が10倍を超えるもの(※10倍justは含まない。具体的には12倍以上)⇒”高倍率ズーム”
3)上記双方に属さず、かつ防塵・防適・防水・耐衝撃性能のいずれか一つ以上をメーカーが謳っているもの⇒”タフネス”
4)私の主観で、”ちょっと異質なカメラ≒ジャンル訳不能”と感じたカメラ(^^;)⇒”その他”
※具体的には、リコーTHETAm15(全天球カメラ)やソニーQX30(レンズだけカメラ)、カシオFR10(撮像部分離カメラ)など
5)上記いずれにも属さないカメラ⇒”スリム”
※具体的には、ズーム倍率が10倍以下で、搭載撮像素子サイズが1/2.3インチのものなど
前回の一覧表から、
今回は、レンズの光学ズーム倍率と上記注釈にある概略のカメラのジャンル分けも一覧表には追加してみました。
①概略、メーカーの販売計画台数と発売機種数は比例関係
冒頭グラフは、'13年度のワールドワイドの販売台数実績順に左からメーカーが並んでいるのですが、
以下グラフからもある程度明らかな様に、'13年度販売実績の上位6社のオリンパスまでは概略この傾向。
傾向から外れるのは、カシオのみ。
※ソニー、富士フイルム、パナソニックの3社は、横軸位置はレンズ交換式カメラ込みの台数になってしまっている(メーカーが内訳未公表のため)。
そのため、コンパクトデジカメのみにすると、例えばソニーは概略レンズ交換式カメラが200万台程度含まれると想定すると、赤←の先にプロットが移動することになる
特に強く何が言いたいという傾向でもないのですが、やっぱり事業規模とカメラの開発台数はある程度相関があるよね、と。
② カメラの市場での値段と光学ズーム倍率にもそれなりに強い相関あり
※↑'14年に国内で発売されたコンパクトデジカメ62機種中、光学ズーム倍率以外大きな特徴の無い38機種において
上の図についてもう少し補足しますと、私の主観も半分入った、冒頭の1)~5)のカメラジャンルの区分けの内、
撮像素子サイズが特に大きい(≒1/1.7インチ以上)訳でも無く、防塵・防滴・防水・耐衝撃性能のいずれも持っておらず、そしてその他大きな特徴がある訳でも無い
2)と5)にジャンル分けされた38機種のカメラの、
'14年12/28現在の価格.comの最安値価格と、そのカメラレンズの光学ズーム倍率の関係図となります。
年が明け、そろそろCESが始まり、また2月頭にはCP+があって、多くのコンパクトデジカメがそろそろ発表される時期ですので、現在モデル末期のカメラが多いと予想されます。
つまり、今が底値のカメラが多いと思われる訳ですが、そんな中にあっても
・光学18倍ズーム以上の機種は最安値でも¥1.5万以下には値下がりしていない
・(逆に)最安値が¥1万以下の機種は100%光学ズーム倍率が12倍以下の機種
(↑光学12倍以下のズームしかないカメラが必ず最安値¥1万を切る訳では無いことに注意)
これを素直に解釈するならば、以下の様になるのではないかと思います。
”特にこれと言って特徴が無く、光学ズーム倍率も大きくないカメラは(多少スリムに作ろうとも)値下がりする危険が高く、
光学ズーム倍率が大きい(←18倍を超える)機種は、(モデル末期でも)最低限の(?)市場価格は維持出来る可能性が高い”
まあ、これは良く聞く”スマホカメラの影響による”顕著な傾向でしょうか(^^;)。
これをおこがましいながらも仮にカメラ製品を企画する側の立場を想定して言い換えるなら、
特に将来のことを無視して現状のみを考える前提であれば、
”まずは光学ズーム倍率の低い機種は企画しない方が無難。
(↑まあこんな消極的な考え方でカメラ企画をする方はいらっしゃらないと思うので、)逆に言うと、光学ズーム倍率10倍以下のカメラを企画するのであれば、撮像素子の大型化や防塵防滴機能、その他目立った特長を備えたカメラにするべき”
という風になるのかなと思います(^^;)
③ やはり昨年一年間だけで見ても、価格.com最安値で¥1万を切るカメラの機種数とその割合共にニコンがワースト
やはりと書いたのは、
以前のエントリの③を受けた言い回しですが、
以下、具体的なメーカー別の¥1万割れカメラの機種数と割合になります。
キヤノン:12機種中2機種 (16.7%)
ニコン :9機種中3機種 (33.3%)
ソニー :8機種中1機種 (12.5%)
カシオ :9機種中2機種 (22.2%)
その他メーカーは”0”
単純にニコンの敗因(?値下がり機種が多い原因)を、今までの話の流れに当てはめるなら、
”光学10倍以下のズーム機を5機種も用意するからだ”
ということになるのですが、若干気になるのは、
”¥1万割れを起こしている3機種の内1機種が、他社では値崩れがあまり起きない防水モデル(coolpixS32)である”という点です。
これがたまたまでなく、何かニコン固有の(売れない)事情があるのだとすればやや深刻な感じがします。
勝手な分析ですが、上記を受けた結果、今年のニコンのコンパクトデジカメの発売ラインナップがどのようになるのか?また注目しておこうと思いました。
④ (冒頭の表の私のジャンル分けを元にする前提で良ければ)、各メーカーそれぞれ以下の様な商品ラインナップ構成になっている
パナソニックは、ハイエンドと高倍率ズーム機のみ
富士フイルムとオリンパスは、ハイエンド&高倍率ズーム&タフネスモデルのみ
リコー(ペンタックス)は、タフネスモデルと一癖ある特徴ある機種のみ
シグマは、ハイエンド(dpシリーズ)のみ
シグマは最早最初から方針はわかりやすかったですが、
上記4メーカーは少なくとも
"5)の特徴無い光学10倍以下のズーム機は作らない方針” でありそうだ
と言っても良いのかなと思いました。
裏を返すと、一通りのラインナップが(上から下まで)揃っているメーカーは、キヤノン、ニコン、ソニー、カシオということになります。
⑤ コンパクトデジカメの年間における発売時期の内訳は、1月~3月が半数以上を占める
「いや、だから何?」
と突っ込まれても、「いやそれだけです」としかお答え出来ないのですが(^^;)、
これには明らかに理由があって、日本メーカーは
CP+に新機種の発表を持ってこようとしている影響だと思われます。
あとはコンパクトデジカメについては1月早々の
CES(Consumer Electronics Show)と。
それら二つで発表された機種の発売時期が1月下旬~3月上旬に自然となった結果と思われます。
9~10月にもう一度発売のピークがくるのは、昨年は2年に一度の
Photokina yearであったため、9月にも発表を回したためではないかと思います。
ですので、今年はPhotokinaはありませんので、恐らく1~3月に発売される新機種の割合は更に高まるのではないかと予想します。
また、上記1~3月の新機種発売の割合は、キヤノン、ニコン、ソニー、富士フイルムの'13年度の売り上げ台数上位4社に限定すると更に上昇し、7割近くにもなります。
ここであえて言えることがあるとすると、我々エンドユーザー目線で言えば、
”コンパクトデジカメを買いたい場合は、型落ちの値下がり品を狙うにしても、発売直後の初物を狙うにしても、(お目当てのカメラの発売サイクルを把握している場合は除いて)
1月~3月を想定していれば良い”
ということだと思います。
で、その年の1~3月に自分好みのカメラが発売されなかった場合にはまた1年待つことになるので、
”でも今手持ちのコンパクトデジカメでもう1年待つのは辛いな~”
と感じる場合には、多少納得出来ずともその年の1~3月に買うことにすると(^^;)
さて、以下からは直接撮像素子に絡む統計となります。
ただ、見方は
以前のエントリと同様の見方になりますので、新鮮さは何もありません。
が、
昨年1年のみの結果ですので、より最近の傾向を表したものになる理屈になります。
⑥ '14年発売コンパクトデジカメの画素数トレンド
※'14年1年間で発売された62機種の内、撮像素子の素性が不明なリコーTHETAm15を除く61機種が対象 (以降同様)
※ここで言う画素数は、有効画素数
見たままなのですが、いくつかトピックと思う点を順不同で挙げると・・・
・画素数1200万画素未満の機種の発売がなくなった
・画素数1600万画素が分布センター(≒主流)
・画素数1600万画素未満:1600万画素:2000万画素以上の機種数の割合は凡そ2:6:2
・コンパクトデジカメでも、昨年は2000万画素機の割合が2割も
・ただ、特殊なシグマdpシリーズを除けば、まだ2100万画素以上の撮像素子搭載コンパクトは出現していない
・1200万画素~1300万画素の機種は、ほぼ以下2種の内のどちらか
1/1.7インチ以上のサイズの素子を搭載したハイエンド機種
防塵・防滴などのタフネスモデル
⑦ '14年発売コンパクトデジカメの搭載撮像素子サイズトレンド
※1/2.3インチの分類には、パナソニック製素子と思われる1/2.33インチ素子も含みます
※1/3インチの分類には、1/3.1インチ素子も含みます
・(
前から1/2.3インチ素子の割合は高かったが、去年1年に絞ると)
更に1/2.3インチの比率が高まり、コンパクトデジカメ全体の3/4を占めるにまで至っている
↑代わりに減ったのが、1/1.7インチ素子搭載機の割合。もしかしてソニーがもう1/1.7インチ素子の更新(バージョンup)を行っていない!?
今年は、より1インチ素子搭載機種の割合が増えそうな気がします。
個人的には1インチ素子搭載カメラで、どこからどの様なものが出てくるのか楽しみです(^^)
⑧ '14年発売コンパクトデジカメの搭載撮像素子タイプ(CCD/CMOS)比率
※CMOSタイプには、パナソニック表記の”MOS型”も含みます
・前回の全ラインナップの時と比較して、
更にCMOSセンサ搭載機の割合が上がり、コンパクトデジカメ全体の8割強がCMOSセンサ搭載機に
それぞれ1600万画素と2000万画素の1/2.3インチ素子搭載機にCCDが残るものの、
CCD搭載機ではフルHD動画が(読み出し速度的に)撮れない様で、
そのためなのか、
明らかにCCD搭載機の方が値崩れしているカメラが多いです。
そのためいよいよ、スマホやレンズ交換式カメラの分野同様、コンパクトデジカメの世界でもCCD搭載機が消えていく運命の様に思えます(←今年完全になくなるかはわかりませんが、
今年更にCCD搭載機の割合は減ると思います)。
⑨
'14年発売コンパクトデジカメのCMOSセンサ搭載機種の表面照射型/裏面照射型比率
※表の上の注釈通りのため、この統計のみ、機種数は23機種が対象
表面照射型センサ搭載コンパクトデジカメは、比率こそ17%あるものの、実際のカメラの数はたったの4機種。
しかもその4機種の内訳も2機種はシグマdpシリーズのAPS-Cサイズ素子、更に1機種はキヤノンのG1 Xで、こちらも約1.5インチ素子。
つまり23機種中とはいえ、1インチ以下の素子サイズで表面照射型センサ搭載機はたったの1機種のみ。
パナソニックの1/2.33インチ素子は恐らくパナソニック自社製素子なので、パナソニックに2機種表面照射型センサ搭載機が上記以外にありはしますが・・・
センサ供給を牛耳っていると思われるソニーが、最早1インチ以下のCMOSセンサにおいて、表面照射型センサを作っている気配がありません。
ですので、今後表面照射型CMOSセンサが搭載されるコンパクトデジカメは、1インチ超のサイズの素子搭載機及びパナソニックの自社製素子搭載機のみになるのではないかと思います。
さて、日本時間の明後日から、アメリカで世界最大級のコンシューマーエレクトロニクスショー(家電市?)であるCESが始まります。
そこで恐らく、国内/国外メーカー、コンパクトデジカメ/カムコーダー問わず多くの製品が発表されるのは間違い無いと思います。
CP+と合わせて、果たしてどんなカメラが発表されるでしょうか?(^^)
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