以前のphotokina前のエントリ後に、長きの沈黙を破って(?)遂にキヤノンのAPS-Cサイズ素子搭載カメラのフラグシップ
7Dの後継機、
EOS 7DmarkⅡ
が発表されました。
そして、かなり珍しいことではないかと思うのですが、発売予定日から
発売日が前倒しされ、つい先日既に市中に出回っていることになっています。
このカメラのスペックや評判については、色々なところで既に情報が出回っているようですが、
どうやら今のところの好評価部分を一口でまとめると、
”全点クロスの65点AFの配置(ファインダー内のカバー率)とAIサーボAFを中心としたAFの食い付きとその後の粘り”
に集約されている気がします。
スペックを一見すると、やはりプロ機(キヤノンで言うと1D X)に次ぐ高速連射機の位置づけだけあって、秒間10駒/秒の方に先に目が行くのですが、
多少意外なことに、上記AF周りの方がより評価されている様に私は感じました。
そしてこのEOS7Dシリーズで特筆すべきことであったと感じるのは、
初代機の”デジタルカメラとは思えないその寿命の長さ”です。
初代の7Dが発売されたのが2009年10月2日。
今回のmarkⅡの発売日が2014年10月30日。
実に丸5年以上シリーズ最新機種として販売が続けられたことになります。
今後、デジタルカメラは銀塩カメラの様に成熟していくと思いますので、今後はこういう機種が増えていくとは思いますが、
恐らく今のところ(ライカ等を除き、日本カメラメーカー製カメラに限れば)一番の長寿デジタルカメラだったのではないかと思われます。
さて、では前置きはこの辺にして早速imagerマニアなので、7D2搭載撮像素子の外観写真をば以下に。
[3回]
↑写真ソースはいつもの様に
デジカメwatchさん
センサ周りに関係するスペックとしては、
・有効画素数:2020万画素 (70Dと同じ)
・DualPixelCMOSAF搭載 (70Dから搭載)
・静止画連写スピード:10fps (参考 初代7D:8fps / 1DX:12fps / 70D:7fps)
・FullHD動画(1080p):max 60p (
ただし、FullHD60p時のみDualPixelCMOSAFを使ったAFは機能せず)
センサの外観からは、
・
センサパッドは4辺に存在
・センサパッド数:
152パッド
↑センサ写真拡大して目視で一度のみカウント。ですので数え間違えしてたらごめんなさい(^^;)
・上下の画素領域外のスペースが同等であることから、信号読み出しは列毎に上下へ交互に読み出すタイプと思われます
センサパッドを数えていて気づいたのですが、写真の上辺のパッド数が34。
下辺のパッド数が37。
上下で3パッドもパッド数が異なります。確かに写真でよく見ると、
パッドの配置が上下でところどころ対称では無いことにも気づきます。
これは、
上下への信号読み出しするタイプのセンサでは結構珍しいことなのでは?
上記気になったので、初代7Dの写真を以下に比較のために。
↑ 初代ImegeMonster 7D APS-C 有効1800万画素CMOSイメージセンサ外観写真 (同じくソースはデジカメwatchさん)
まずこちらは
・センサパッド数:
74パッド
(↑ワイヤボンディングされている数。パッケージの内側のランド数は上下で更にそれぞれ+4ずつ余っており、ワイヤのパッケージ側のランド数はtotal 82)
※しかしそれにしても、同じカメラシリーズに載るセンサなのに、
5年違うとセンサのパッド数が倍以上異なるのですね。
これは素直に驚きです。
これが秒8駒のセンサと秒10駒のセンサの違いなのでしょうか?
しかし、上記
秒2駒の読み出し速度の違いだけで流石に必要なセンサのパッド数が倍も異なってくるというのは納得し難いものがありますね。
では
これがDualPixelCMOSAF搭載の弊害(←我々エンドユーザーには関係の無いことですが^^;)
なのでしょうか?
(↑これは更に気になるので、下の方で、同じDualPixelCMOSAF搭載の70Dセンサ外観との比較を行おうと思います)
初代7Dの方は少なくともパッケージ内側のワイヤのランドの方は目で見る分には上下で対称位置に存在。
センサのワイヤ(パッド)の方は初代7Dにおいても中央やや右よりのところで、少なくとも上下で非対称な箇所が1箇所は存在することが確認出来ます。
が、そもそも気付いたのですが、
初代7Dはセンサのパッドが上下2辺しか存在せず、その辺の条件が7Dmark2とは根本的に異なります。
”あれ?というか、一眼レフ用のキヤノン製センサにおいて、センサのパッドが4辺にあるのって、もしかして7Dmark2が初めてなのじゃ?”
そう言えば、昔幣blogエントリで”キヤノン製は他社センサに対して珍しくAPS-C以上のサイズの素子でもパッドとパッケージピンが2辺出しのものばかり”とかいうコメントを自分で書いた様な記憶が蘇ってきました(^^;)
そこで、デジカメwatchさん及びキヤノンのHPにおいて、搭載撮像素子が掲載されていた以下現役カメラのセンサ外観写真を、比較のために順に以下貼り付けていきます。
※キヤノンの方針なのか、どうもEOSkiss系ほぼ全て、及びEOSM(ミラーレス)系搭載撮像素子の写真は、あってもカメラのマウント越しのものしか無かったため、ここでは並べることを断念することにします。
以下センサ写真掲載機種
1D X : フルサイズ 1800万画素
5Dmark3 : フルサイズ 2200万画素
6D : フルサイズ 2000万画素
70D : APS-C 2020万画素
kissX7i : APS-C 1800万画素
↑ EOS 1D X (デジカメwatchさんより)
↑ EOS 5Dmark3 (デジカメwatchさんより)
↑ EOS 6D (キヤノンHPより)
↑ EOS 70D (デジカメwatchさんより)
↑ EOS KissX7i (キヤノンHPより)
それぞれ上記センサのパッドの辺の位置、及びパッケージのピン数をまとめると、
(※センサパッド数を数えたかったのですが、写真の解像度的に数えられないセンサが出てきたので平等を期してパッケージピン数に変更しています。
パッケージピン数以上にパッド数が仮にあったとしても、ピン数以上のパッドは基本的には有用には使えないため、ピン数比較で問題無いと判断しました)
1DX :パッド
左右2辺 / パッケージピン数:104
5Dmark3:パッド
左右2辺 / パッケージピン数: 86
6D :パッド
左右2辺 / パッケージピン数: 86
70D :パッド
上下2辺 / パッケージピン数: 92
X7i :パッド
上下2辺 / パッケージピン数: 82
この時点で色々おもしろいことが分かって、混乱してまとめ切れないのですが(^^;)
まず、
①7Dmark2搭載センサは、デジタル一眼レフ用のキヤノンセンサでは恐らく初の4辺にパッドが存在するセンサ
(EOSkissとM系以外の現ラインナップカメラ搭載撮像素子は少なくともパッドは2辺にしか存在しない)
②7Dmark2搭載センサ以外のデジタル一眼レフ用のキヤノンセンサは、フルサイズ素子はパッドがセンサ短辺側(写真左右)に存在し、APS-Cサイズ素子はセンサ長辺側(写真上下)に存在する様子
③7Dmark2のパッド数(≒パッケージピン数)が152パッドと(キヤノンセンサとしては)多い理由は、少なくとも、センサ読み出し速度(連写速度)アップやDualPixelCMOSAF搭載が支配的な理由では無いと考えるのが妥当
↑何故なら、連写速度が7Dmark2よりも速い1DXセンサでも104ピンでセンサが成り立っているし、DualPixelCMOSAF搭載機である70Dセンサでも92ピンと、従来APS-Cセンサ(X7i)に対して10ピン増で収まっているのに、
7Dmark2センサは、今までで最もピン数が多そうな1DXセンサに対しても、約1.5倍のピン数(≒パッド数)を必要としているから
④現ランナップカメラ搭載センサの中で、7Dmark2のセンサパッケージのみ、パッケージのリード(足)が横に伸びるタイプでは無い
上記に加えて、冒頭の、”7Dmark2の上下パッド配置が非対称なのは珍しいのじゃ?”という疑問があるのですが、これはもう考えてもきっと部外者には答えは分からないし、ことここに至ってはあまり重要なことでは無いことの様に思えてきました(^^;)
(※一応例に
ソニー製α7s搭載センサ写真を引用しておきますが、このセンサは4辺にパッドが存在するセンサで、写真で見る限りはセンサ上下のパッド配置は対称になっているように見受けられます)
上記②と④などはおもしろいですね。
同じセンサ及びカメラメーカーなのに、APS-Cかフルサイズか、または時代の変遷によって、センサとパッケージ、もしくはパッケージとカメラ回路基板への実装等で方針やコンセプトが異なったりするのでしょうか?
そしてことここに至っては、個人的に最も興味深くて謎なのは①と③です(もしかしたら④も絡む可能性がありますが)。
つまり、ここまででわかったことを、一口でざっくり言えば、
7Dmark2で、キヤノンの今までのセンサパッド及びパッケージ周りがガラッと変わったということです。
(
↑センサパッドが4辺配置になり、ピン数≒パッド数が激増し、パッケージのリードの出し方が変わった)
センサのピン数に関して一つ補足を入れると、
基本的に
”今回の7Dmark2でセンサピン数が異常に増えたと言うよりは、キヤノンの今までのセンサが、他社センサに対してピン数が少なすぎた”ということが言えると思います。
例えば、上でリンクを貼った
ソニーのα7s搭載フルサイズ撮像素子(1200万画素)写真ですが、ちょっとしんどいのでピン数をきちんと数えませんが(^^;)、明らかに1DXの104ピンよりもピン数が多く、恐らくほぼ間違い無く7Dmark2の152ピンよりも多い様に見えます。
つまり少なくともソニーセンサは従前から150ピンレベル以上のピン数をセンサに要していたのです。
これは一体何を意味するのか!?
キヤノン製センサは、少なくとも1DX及び5Dmark3搭載センサ時代までは、センサチップ上に列ADCを搭載しない、チップ外部にAD変換チップを必要とするセンサでした。
(上記リンクの最後の方の文。また上記リンクの
オリジナル英文はコチラ)
今回、7Dmark2搭載センサで、列ADCを搭載するデジタル出力センサになったということは考えられないでしょうか?
上記まで列挙してきたパッド周りの外観の変化しか情報が無いのに随分と飛躍した話で、根拠もほとんど無いに等しいのですが、
この7Dmark2搭載センサの上記パッド周りの大きな変化(ピン数増含)を説明できるかもしれない理由が、上記デジタル出力センサへの変化くらいしか私は思いつきませんでした。
ただ、パッド以外のセンサの外観は、70D搭載センサとほとんど変化が無いというのも、上記予想を否定する情報ではあって悩ましいのですが・・・(←エンドユーザー目線で何が悩ましいのかという話ですが^^;)
逆にEOS初のFullHD60p動画の達成が、もしかしてデジタル出力センサ化のお陰であったりしないか等・・・やはり悩ましいです(^^;)
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