↑NHK技研公開で展示されていた、8K4Kスーパーハイビジョン用3300万画素120fpsモノクロイメージセンサ
↑ センサと共に展示してあった主要specが記載されたボード。わかりにくいですが、左が今回のイメージセンサのもの
↑ 同じく説明ボード。96ch並列読み出しをしていることなどが読み取れる
↑冒頭写真のイメージャーを搭載した日立製カメラ
以前
NHK技研公開2012の立体構造トランジスタ編の続編です。
NHKは従来より、2020年前後のスーパーハイビジョン(現行地デジ放送=フルHD=1920×1080の16倍の情報量を持つ)放送の実現を狙っており、そのための撮像素子(イメージセンサ / イメージャー)の研究開発を行っています。
その成果の一つが冒頭1枚目の写真のイメージャーです。
恐らく本年2月のISSCC(←毎年1回アメリカで開催される半導体業界のオリンピックと呼ばれているカンファレンス。論文採択率2~3割という超ハイステータス会議)で
発表していたイメージャーと同一のものだと思われます。
今回のイメージャーの特性等の概略は・・・
有効画素数: 7680×4320
フレームレート: 120fps
画素ピッチ: 2.8μm□
AD分解能: 12bit
消費電力: 2.5W
有効画素領域対角長:24.7mm (←1.5インチ型)
アスペクト比:16:9
有効画素領域のサイズとしては、(縦横比は全く異なりますが)一眼レフカメラ用センサで言うところの”APS-C”サイズより一回り小さいくらいのイメージでしょうか。
その他、3枚目の写真から、8K4K画素12bitデータを120fpsで読み出すために、並列96チャンネル読み出しを行っていることもわかります。このくらいのデータレートを達成しようとすると、最早こんなにたくさんの読み出しチャンネルが必要になってしまうんですね(^^;)
また順番が逆になってしまいましたが、3枚目の写真のセンサの構成から明らかな様にCMOSイメージセンサです。
今後、高解像度(≒多画素)&高フレームレート化が進むと、特殊用途を除ききっとCCDは絶滅していってしまうんでしょう。
さて、このイメージセンサは静岡大学との共同研究であったと思いますが、今回進化のポイントは、2枚目の写真の表などから主に以下2点であると思われます。
フレームレート⇒以前の倍
消費電力 ⇒2/3倍
ISSCCでの報告概略によると、上記双方を達成するために今回AD変換器に工夫が凝らされているそうで、
12bit分解能の列ADを、上位4bit / 下位8bit の2段構成にしたとのこと。
ADの形式としては”サイクリック(cyclic)”方式と呼ばれるものなのですが、私ADCに明るくないのでこの方式を的確に説明することができません(^^;)
ですので、一番重要な”何故2段構成にすると変換スピードが速くなり、かつ消費電力が小さくなるのか?”というところがわかっていません。
こういう機会に勉強したいのですが、ISSCCの報告資料などはどこで手に入るのでしょうか?
やはり基本お金を払うしか入手手段はないものなのでしょうか?
疑問文ばかりになってしまいましたが、どなたか詳しい方、この2段構成で変換時間が短く済む理由と共に御教示お願いします(__)
さて、冒頭写真4枚目は実際に試作されたセンサが実装されたカメラ筐体です。
写真では大きさはわかりにくいですが、かなり大きいです。
普通の日本人であれば、あれを肩載せして撮影・・・というのは無理だと思います(^^;)
今回モノクロセンサで3板式にしているせいで大きいというのがあると思いますが、消費電力2.5Wということで、放熱のために大きくなっているというのもあると思います。
また、実際にこのカメラで撮影された動画像がその場で流されていました。
展示中ずっと流されていましたので、カメラとして継続使用に関して問題はないようです(温度上昇のために休ませなければならないとかいうことは無いようです(^^;))。
その動画像自体は(外部で相当補正しているのかもしれませんが、)素人の私が見る分には十分綺麗で、家庭の視聴機器と放送設備さえ揃えばすぐにでも公共電波に載せても問題ないものの様に感じました。
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