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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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遂にソニーが曲げてきた! ~【速報】湾曲センサ @VLSIシンポジウム

これ完全にヤバイやつだ。 (←良い意味で)

今年6月、ハワイで行われるVLSIシンポジウム
そのプログラムが最近公開されました。
その中の”テクノロジー シンポジウム”の方のtop発表に

A Novel Curved CMOS Image Sensor Integrated with Imaging System

イメージングシステムを集積した 新規な(奇抜な?)湾曲CMOSイメージセンサ


以下、プログラムの中の要約文の拙い直訳。

拍手[1回]


我々は究極的に先進的なイメージングシステムを実現した。
それは、湾曲した裏面CMOSイメージセンサと集積されたレンズからなるものだ。
それは、イメージサークル周辺部の感度が2倍で (!?今まで周辺部感度は中央部の1/2しかなかったの!?)
中心部から画角が1/1.4になる領域でも感度が増加する特性を持つ。
更に、平坦な裏面照射CMOSイメージセンサと比較して、暗電流が1/5に低減されている。
何故ならば、湾曲センサそれ自身によって、レンズの歪曲収差の原理に打ち克つからだ。
そして、湾曲裏面照射CMOSセンサは、平面裏面照射CMOSセンサと比較して、小さなF値の明るいレンズ設計時であってもより高いシステム感度を可能にする。
同時に、我々は湾曲形状を導入することにより裏面照射CMOSチップの引っ張り応力を調節することで、エネルギーバンドギャップを広くし、暗電流をより低減可能とした
湾曲CMOSイメージセンサは、自然界の動物の目の進化によって有効にされた(?)究極的に先進的なイメージングシステムに適用されることが出来る。


 最後の一文の言いたいことがいまひとつわかりませんが、全文の言っていることは大体わかりました。
わかりましたが、”応力によってバンドギャップを広くして暗電流を低減可能にして、かつそれをコントロール可能ってあたりは、言ってる意味はわかっても”それホント!?”って感じで俄かには信じられません

 裏面照射センサや積層型イメージセンサを開発したと聞いた時もかなり驚きましたが、私個人の感覚では、それらと比較しても今回の発表は驚異的なものに感じます。
有機ディスプレーを曲げるならともかく、無機材料で出来ているICを曲げるなんて・・・
(これが単なる研究発表であれば、まだそれほどまでの驚きでは無いのですが、経験則から言って、ソニーが発表した際には1年以内に必ず製品化してくるので、この湾曲センサの量産技術も既にほぼ確立済みと見て良いように思うからです)

 これは特許が公開されても、他社はそんなに簡単に真似出来ない類の技術なのでは?とも感じます。
競争の激しい現代社会なのに、これは撮像素子の分野においては、しばらくソニーは安泰っぽいですねー。



 この湾曲センサが最もシステムとして効力を発揮する条件は、民生品では以下の様な用途だと思われます。
①画素ピッチが小さいセンサ
②大きなイメージサークルが必要なセンサ (つまり大きいサイズの撮像素子)
③レンズコストを落としたいシステム向け
④システム全体の小型化を図りたい場合

 多くの条件に当てはまるのが、
1) 1インチ以上の撮像素子を積んだ、レンズ固定式のコンパクト

 次点は
2) スマホカメラ

 1)あたりは、近い内発表が噂されている”今まで誰も作ったことが無いカメラ”とやらの第二弾あたりに、
2)あたりは、もしかしたら次期iPhoneあたりに(←さすがにまだここまでの数を作れるほどの技術は無いか?)
 載っけてくる可能性があるのではないかと期待に胸が膨らみます(^^)。

 ”長期の信頼性とか怖いな~”
とか直感的に思いますが、
そんなに高くないものであれば、人柱になっても良いかな~ などと取らぬ狸の皮算用。

特許も見つけたので読んでみようと思います。



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訳してみました

ざっと翻訳しました。カッコ内はコメントです。
”湾曲BSIの感度は、イメージサークル周辺端部で平板BSI(多分、マイクロレンズ無しでしょう)の2倍で、暗電流が平板BSIの1/5になることでイメージサークル中心部でも1.4倍になった。レンズの像面湾曲が湾曲センサによって原理的に解消されるため、平板BSIで可能であったよりも小さなF値の明るいレンズデザインによって、湾曲BSIはより高感度なシステムを可能にする。同時に、張力を制御してBSIチップを湾曲させたことでバンドギャップエネルギーを広げ暗電流が減った。湾曲CISは、自然界において動物の目の新進化でもたらされたような極めて発展したイメージングシステムへ応用されるであろう(眼球を想定しますね)。”

張力ではなく、湾曲形状がバンドギャップエネルギーに効いているようです。

Re:訳してみました

適切な訳をありがとうございます。

>張力ではなく、湾曲形状がバンドギャップエネルギーに効いているようです。

 なにか応力が働いてむしろ暗電流が増えたりしそうな気がするのですが、それが半分ならぬ1/5だというのですから全く信じられません(いや、勿論ホントなんでしょうけれど。気持ちとして)。
湾曲形状が暗電流に効くというのであれば、曲率が高い方がより暗電流が減り、平坦に近い方はほとんど暗電流は変化が無い等の傾向があっても良さそうなものですが、1/5という数字はソニーが見出した現実的な曲の中でのbestな値ということでしょうか。

 う~ん、個人的には機械的な曲げの技術の様で、純粋な半導体技術では無いので、BSIや積層型センサの時ほどすぐには他社は真似出来ないような気がするのですが・・・

  • imagerマニア
  • 2014/04/02(Wed.)

湾曲センサ関連特許申請

連続書き込みで申し訳ありません。
書き忘れです。

えがみさんの”エンジニアの嗜み”で湾曲センサの特許申請がまとめられていますね。
http://egami.blog.so-net.ne.jp/2013-05-13

ソニーだけなく東芝にも申請があるので、普及は速いかもしれません。

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