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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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Aptina(アプティナ) Clarty+テクノロジー ~カラーフィルタ配列RC/CBでSN1.4倍・・・らしい

 最近は、スマホやタブレット向けのカメラモジュール搭載の撮像素子として、1.1um□前後の画素ピッチのものが多く提案されてきているようです。
例えば
 OmniVision 13Mpix 1.12um□
 東芝 8Mpix 1.12um□
 Samsung 13Mpix 1.12um□
 aptina 13Mpix 1.1um□

 全く余談ですが、上記を見ていると、今後のスマホ、タブレット搭載センサの画素ピッチトレンドは1.4um□⇒1.12um□となりそうですね。
個人的には”もうそろそろいいんじゃないの?”と思わないでも無いのですが、メーカー各社の、ひいいては人類の(?)開発本能を留める術は無い(^^;)ようで、今後もセンサ画素微細化は進展しそうです。

 そんな中、画素微細化の進展の伴う感度、SNの低下を抑えようと、aptina(アプティナ)が提案したのが、今回ご紹介の”Clarty+ technology”です。

←上記aptinaの資料から概要写真を抜粋


拍手[3回]

写真を見ると、何のことは無い、W(ホワイト)画素をG画素の代わりに置き換えて、W画素からRとBの出力も拾おうという思想の技術の様です。
今までも、各社カラーフィルタのベイヤ配列の内一つのG画素をW画素に代えるということは行っているところもあったと思うのですが、aptinaのこの技術は何とも豪快に割り切ってG画素を全くなくしてしまっています。

 ””はぁ?これで色再現可能なの?”

 これが私の第一感なのですが、簡単に言えばこの技術は”W画素の出力から周囲のRB画素の輝度分の信号を差分したものがG信号”としているのでしょうか。
しかし、それだと分光でRとBとそれぞれGが被っている分だけ通常のG画素出力値から信号強度が減ってしまいそうです。
 なんだか昔の補色フィルタの時代に逆戻りしてしまったようで、やはり色再現性に疑問を感じますが、まあ私の感想などどうでも良いので、以下、aptinaの発表資料からaptinaの主張を掻い摘んで抜粋してみました。

 Clarty+技術を用いると・・・
・どんな画素ピッチでも感度(Sensitivity)は倍
・低照度時のSNは3dBアップ(≒1.4倍増し)
・色再現性(spatial color artifact)は、ベイヤ配列と同等
・解像度(sharpness)もベイヤ配列と同等
・高輝度時のSNはわずかに劣る(←が、この時は35dB以上あるから問題無い)

上記をまとめたのが以下の表の様です。

 真ん中の三つの配列は、引き立て役として出されているだけみたいですので、比較すべきはリファレンスとしての一番左のベイヤ配列と、一番右の"50%RC/CB Clarity+"だけで良さそうです。

 今回のaptinaの発表資料をざっと読む限り、ハードウェア的な変更は、単にベイヤ配列のG画素をW画素(ここでは恐らくW画素を”clear”ということでC画素という扱いの様)に置き換えただけの様です。
どちらかというと、今回のポイントはセンサ信号からのノイズリダクションと色再現の処理アルゴリズムにある様です。

上記がそのアルゴリズムを説明した図の様ですが、正直これだけでは一体何をやっているのか私には理解できませんでした(--;)
まあまた、それがポイントになるであろうからあまりオープンには出来ないという理由もあるのかもしれません。
 私個人は正直センサハードウェアには興味があるのですが、その後の画像処理の方は門外漢ですので、もし興味おありの方は、以下特許を読まれてみると良いかもしれません。
恐らく、上記の画像処理の特許だと思います。


 で、論より証拠、aptina自身がアピールするその効能が、以下の写真達。
 ←シャープネス比較
上段:ベイヤ配列カラーフィルタ
下段:Clarity+
 ほら、劣っていないでしょ。

 ←ノイズリダクション処理前のノイズ感比較
上段:ベイヤ配列カラーフィルタ
下段:Clarity+
 ノイズ処理前は負けているけれど・・・

 ←Clarity+用のノイズリダクション処理を通った後の画像比較
上段:ベイヤ配列カラーフィルタ
下段:Clarity+
 専用処理を通せば、ほらClarity+の方が綺麗でしょ。

 ←色再現とノイズ感比較
 ほら、色再現は同等で、ノイズ感(SN)はやっぱりClarity+の方が良いでしょ。


 これら一連のアピールを見る限りだと、確かに色再現性は同等な様です。
ノイズも最終的にはClarity+技術の方が小さくなっているように見えるのですが、個人的に嫌なのは、ノイズリダクション処理を行わない場合は通常ベイヤ配列の方がノイズ感は良いというところです。
実際には違うのだと思うのですが、どうもソフト的に単にノイズを掻き消す技術の様に聞こえてしまうのです。

 ハード技術だけでは無く、こういう研究開発も必要だとは頭では理解出来てはいるものの、どうもこの手の話は小手先のごまかしの様に思えて前向きになれないimagerマニアなのでした(^^;)


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ベイヤー配列の拡張?

F2の無収差レンズのエアリーディスク直径が1.3um程ですので、スマホ用カメラセンサーのピクセルピッチは分解能の向上には無意味になっていますね。縮小前提で、色再現性の向上を狙っているのかもしれません。

AptinaのClear Channelのフィルターは透明ではなく、ベイヤー配列として取り扱える限界まで透過波長範囲を拡張したGフィルターのようですね。imagerマニアさんが書かれたように、補色フィルターの方が余程良い気がします。

Re:ベイヤー配列の拡張?

>hi-lowさん
imagerマニアです。

>AptinaのClear Channelのフィルターは透明ではなく、ベイヤー配列として取り扱える限界まで透過波長範囲を拡張したGフィルターのようですね。
 そういうことでしたかー。私読み逃してましたかね。大変納得です。
「いやこれじゃホントにまともに色戻せないのでは?」
と感覚的に思っていたので、Clear画素が”G分光が凄く幅広になったもの”というのであれば、まだ納得出来ます。
aptinaが”White画素”と呼称しないこととも辻褄合いますし、aptinaの発表資料のclear画素の透過波長の矢印の、RとBの長さがGの半分になっていることとも辻褄が合いますね(←W画素だったら全部通すはずじゃ?と思っていたので)。
 重要な情報ありがとうございました。

  • imagerマニア
  • 2013/11/12(Tue.)

Re: Re: ベイヤー配列の拡張?

imagerマニア さん

White Paper中で、フィルターの特性をachromatic(無色)ではなくpanchromatic(全整色、多色)と表現している点、目の比視感度(波長555nmがピークで青と赤は半減)を妙に強調している点、そしてimagerマニアさんも指摘された図の透過光の表現の3点が引っ掛かりました。

フィルターの透過特性が平坦であるとは何処にも記載されていないので、何らかの特性を持たせている可能性が強いですね。

搭載スマホ登場

このカラーフィルターを搭載したスマホが登場しましたね!

世界初となるRGBWによる1,300万画素のイメージセンサー
http://m.pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150416_698160.html

Re:搭載スマホ登場

>まささん
お久しぶりです。

>このカラーフィルターを搭載したスマホが登場しましたね!
>世界初となるRGBWによる1,300万画素のイメージセンサー
>http://m.pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150416_698160.html

残念ながら、RGBWのカラーフィルタ配列(?)の撮像素子搭載カメラ自体は世界初では無いんですね(^^;)
そういう意味で、このpcWatchの記事は嘘は書いていないものの、大変誤解を招きやすい書き方でよくないですね。

「世界初となるRGBWによる1,300万画素のイメージセンサー」

上記元記事文の”世界初となる”が掛かっているのは、”RGBWによる”の箇所だけではなく、”1300万画素の”まで含めて&で掛かっているものと思われます。
 つまり、「RGBW配列(?使用) かつ 1300万画素の」イメージセンサが世界初なのであって、1300万画素よりも少ない画素数で良ければ、今までにもRGBW配列カラーフィルタ撮像素子は商品化された実績は既にありますね。

 例えば↓
http://www.extremetech.com/computing/162830-googles-moto-x-latest-to-jump-on-low-light-bandwagon-with-rgbc-clear-pixel-camera

 しかし話は逸れますが、Aptinaも言ってることとやってることが矛盾していると言いますか、このblogエントリ本文の表を信じると、GとWを両方使ってしまうとどの配列にしても、
SNは向上するものの、シャープネスと色再現性は低下してしまう
というアピールをしているのにも関わらず、RGBW配列を採用するんですからね~(^^;)
(このHUAWEIのスマホ搭載カメラ素子がAptina製素子採用かはわかりませんが)

  • imagerマニア
  • 2015/04/16(Thu.)

Huawei P8のカメラユニットメーカー

Image Sensors Worldの記事で、Huawei P8の画像処理チップにaltekと大書されていますので、カメラユニットはaltekの製造でしょうね。
http://image-sensors-world.blogspot.jp/2015/04/huawei-p8-smartphone-features-worlds.html
この記事では、センサーのメーカーは不明とされています。

カラーフィルターのRGBW配列は、ソニーも挑戦し民生向けには諦めていますので、それを実現したメーカーが知りたいですね。

Re:Huawei P8のカメラユニットメーカー

ソースの信憑性は分かりませんが、SONY IMX278だそうです。
http://news.91.com/android/1504/21818568.html

Re:Re:Huawei P8のカメラユニットメーカー

>hmbさん

>ソースの信憑性は分かりませんが、SONY IMX278だそうです。

 お礼が遅くなりました。情報ありがとうございました。
紹介いただいたリンク先のサイトを見ると、作りも本格的ですし(^^;これでは信頼できる根拠にはなりませんが)、ちゃんと型番まで明記してありますし、何よりここであえて嘘までついて(リスクを取って)ソニー製と宣伝するメリットがあるほど、一般的にはソニー製撮像素子カメラの訴求度は高くは無いと思いますので、

ソニー製ということで良いのじゃないかと思います。

実際hi-lowさんも書かれていますが、少なくともソニーはこのRGBW配列素子を作っていた実績はある訳で、最初は画処理のチューニングに抜けがあって、その後そのRGBW配列素子が苦手なシーンも克服して商品性のあるものにしてきた という考えに無理は無いと個人的には思います。
ありがとうございました。

  • imagerマニア
  • 2015/04/26(Sun.)

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