前回エントリーにて速報したニコンD5200搭載ACS-Cイメージセンサ(imager/撮像素子)が東芝製であった件。
(間違いなくCMOS imagerだと思いますが、まだそれが確認できる情報を私は持っていないので、CMOSという文字はあえて外してみました(^^;))
以下、
解析したカナダのチップワークスという会社の記事を私なりに意訳したものを以下に記したいと思います。
例によって、最初のbodyの分解の箇所はすっ飛ばし(笑)、中段の”
Toshiba image sensor found inside"から。
我々の最近のテクノロジーblog エントリーで
フルサイズイメージセンサを扱った。
そしてそこでフルサイズCMOSイメージセンサの領域に新規参入組が出てくる可能性を予見した
しかし、APS-Cサイズセンサの領域で、東芝がニコンD5200のメイン素子の座を勝ち取るとは思ってもみなかった
何故東芝製だとわかって驚いているかだって?
もしあなたがニコンのAPS-Cクラスセンサのために新しいベンダーを探さなければならないとしたら、
あなたはきっとAptinaを選ぶだろう?
だってAptinaは既にニコン1のシステムカメラのイメージセンサの座を勝ち取っており、かつAptinaは以前に既にAPS-Cサイズ素子を持っていたのだから。
MT9H004は16Mpixのセンサで、DR-Pix(←恐らくダイナミックレンジが自慢の回路方式を指すと思われる表現)へのアプローチとしてAptinaのdual conversion gain方式(←恐らく読み出し回路のAD変換回路に使用するゲインを2種類組み合わせることによりダイナミックレンジを稼ぐ方式)を採用している。
上記素子はAPS-Cサイズクラスの一眼レフデジカメやミラーレス一眼デジカメをアプリケーションとすることが多い。
しかし、我々は上記素子がどこかのカメラに採用されたとは未だ聞いていない。
Aptinaとニコンの間にある良好な関係のために、あなたはD5200のための24.1MpixセンサがAptinaによって開発されるだろうと予想しただろう?
東芝は公式に「2015年にはモバイル用の撮像素子分野でシェア30%を取りに行く」と積極的なアナウンスを行っている。我々は東芝の裏面センサ技術を持つことを知っている。
しかしながら、その積極的な展開もAPS-Cサイズクラスの領域までは進出しないだろうと思っていたところへ、今回の破壊的なイベントによって我々は喜びの驚きに包まれた。
我々は今までニコンは自社設計(そしてルネサスFab製)のAPS-Cセンサかもしくはソニーのそれかのどちらかのセンサ採用しか見たことがなかった。今後は東芝が加わったことによって、ニコンに使われるシリコンベンダーは本当に各種取り揃えられてmixされることになった。
最終的に、我々の分析は下表の様になり、東芝は新しい素子を製造するために先進的なCu(銅配線プロセスの)Fabを使っている。
Company
|
# of Pixel
Metals
|
Pixel Metallization
|
Canon
|
3
|
Al
|
Foveon
|
4
|
Al
|
Nikon
|
3
|
Al
|
Samsung
|
3
|
Cu
|
Sony
|
3
|
Al
|
Toshiba
|
4
|
Cu
|
APS-C Format CMOS Image Sensors Analyzed by Chipworks
基本的にはここまでです。後は「詳細解析したんでそのレポートを買わないかい?」というようなニュアンスの文章が続きます(^^;)。
最後の文章で「Cu配線使用プロセスを用いている」ということが明言されていますが、上記の表を見ると触れられていないもののもう一つ重要な情報が記されていることに気づきます。
”
APS-CサイズセンサをCu配線で作っているのはサムスンと東芝の2社だけで、かつ配線層数が4層なのは東芝だけ”ということです。
サムスンと東芝の二社がCuプロセスというのは、二社がNANDフラッシュに強いというのと因果関係があるのでしょうか?それとも単なる偶然でしょうか?
二社ともNANDフラッシュのメモリ用のCuプロセスがメモリの不調で空いていて、「空いたところで何か流すものないかな~?」と探していた、撮像素子というそれなりに数が出て利幅も取れるアプリを見つけて商売始めた だから2社だけCuプロセスになっているとかだったりするのでしょうか(^^;)
そしてやはり
東芝だけ4層というのが気になります。しかも表に詳細な説明がないので理解間違っているのかもしれませんが、”of pixel Metal”←
画素メタル配線層が4層ということです。
Foveonが4層なのはわかります。他のセンサに比べ、あの方式ですから画素から3倍分の読み出し回路を搭載する必要があり、回路が多いです。なのでむしろ「よく4層でどうにかなってるな~(←まあどうにかならないので今以上に画素数を増やすことが出来ないのでしょうが)」という気がします。
東芝の場合、一つだけ私が納得できる理由があるとすると、それは”動画もしくは静止画の読み出し速度が爆速で、画素部の垂直信号線(←画素部から周辺回路へ信号を読み出すための配線)が1列につき2本(ないし複数配線)必要だから、画素部の配線層が4層になる”
なのですが、24Mpixの画素数とはいえ、D5200の仕様を見ると、静止画は5駒/Secで、動画もmaxでフルHDの60fpsです。まあ速いのですが、他のカメラスペックと比べて今時分としては決して突出しているものでもありません。
上記疑問に対して私がたどり着く結論は”
周辺の読み出し回路でメタル配線が4層必要になった。で、画素部は周辺回路にひっぱられて4層のメタルが(ある意味)ただいるだけ”。
まあ、中身を見た訳でもないし、見れる訳でもないので上記が当たってるかどうかなんて全然わかりません。
しかしやはり、
今回の東芝センサの画素部の4層メタル構造は周辺回路に引っ張られており、
前回、
前々回のエントリーから気になっている”
上下の周辺回路面積の非対称性”に起因しているように思えてなりません。
あの幅の太い上側に、何か複雑というか面積を食う回路が埋め込まれており、その回路面積を少しでも抑えるためにメタルの4層目の配線が必要になってのではないでしょうか。
上記の謎が解ける日が来るのを願います。
もしくはご存知の方教えてくださいm(__)m
[2回]
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