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デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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Canon stays the course フルサイズ一眼レフカメラ ~chipworks解析記事意訳 その2 キヤノン編

 前々回のエントリの第二弾。

 カナダの chipworks という半導体チップのリバースエンジニアリング解析会社の技術blogの内容意訳。
第二弾はキヤノンのフルサイズ一眼レフカメラ(の撮像素子/CMOSセンサ/CMOSイメージャー)についてです。
(第一弾は主にニコンのフルサイズ一眼レフカメラについてでした)

 ちなみにタイトルの”Canon stays the course” は”キヤノンは現状維持”とでも約せば良いのでしょうか。
その意味するところは以下意訳で明らかに・・・

1DX_flat.jpg




















↑ Canon フルサイズ一眼レフカメラ EOS 1DX 撮像素子 画素部平面図 (active領域/POLY/CONTACTまで露出させたところ)

1DX_cross.jpg




















↑ Canon フルサイズ一眼レフカメラ EOS 1DX 撮像素子断面図

・キヤノンのAPS-C及びフルフレーム(=フルサイズ35mm)CMOSイメージセンサのサプライチェーンは、ニコンのそれよりもシンプル
・キヤノンのAPS-Cサイズ及びフルサイズセンサは(chipworksが解析したものに関しては)全てキヤノン製
・一方、コンパクトデジカメにはソニー製のCMOSイメージセンサが搭載されていたりもする


・1DXはニコンのD4の直接の競合となるプロ向けフルサイズ一眼レフカメラで、キヤノンのフラグシップ機
・1DXはALL-Iというビデオ圧縮コーデックを採用しており、とても印象的な動画性能も持っている
・1DX搭載センサは、独立した1画素のアーキテクチャだが、偶数行と奇数行でそれぞれ別々の垂直信号線に読み出される
・また、ニコンのD4同様に、FDスイッチが使われている。それは垂直の同色3画素加算用のFDノードの接続に用いられる


・一方プロセス面では、キヤノンは0.5um世代のプロセスを、APS-C及びフルサイズ素子に使い続けている
・このような枯れたプロセスを使うことは、キヤノンにとって安い製造コストによって競争力をもたらす
一方製品開発にとっては重しとなるだろう
・キヤノンは0.5um世代のプロセスを使っているせいで、画素共有アーキテクチャを用いているにも関わらず、フルサイズセンサにおいて21Mpix程度の解像度に留まっているように見える
・一般的に、より高解像度にするには、より先進的なデザインルールと画素共有アーキテクチャが必要にだ


dslr_trend.jpg

















↑ 2002年からの、キヤノン、ニコン、ソニー、ライカのフルサイズCMOSセンサ搭載一眼レフカメラの画素数トレンド

・ソニーの24MpixセンサとニコンD800のフルサイズセンサによって、画素数トレンドは増加傾向
・これは、チップワークスが指摘する キヤノンの枯れたプロセスを使用することによるフルサイズ一眼レフカメラの画素数の"lag"と互いに関係がある
・今後も画素数増加傾向が減退することはないだろう


・キヤノンには、ニコンD800対抗の高画素機の噂がある
・その時に、遂にキヤノンは0.5um世代から卒業する(move off)のだろうか?
・2012年9月は、キヤノンが世界で初めて市場にフルサイズCMOSセンサ搭載機:EOS 1Dsを発表した記念すべき月だ
・相対的に枯れたプロセスによって製造された画素を最適化し続けることによって競争力を保ち続けるキヤノンを尊敬(credit)する


・キヤノンは、ライトパイプ(光導波路)を含む導配線に特化した0.18um世代のCMOSイメージセンサ用プロセスを持っている
・上記のことから、キヤノンが新しいフルサイズカメラシステム向けのフルサイズCMOSイメージセンサラインをリフレッシュする準備が出来ていることが予測可能だ
・キヤノンも、APS-Cセンサやひいては最終的には恐らくフルサイズもその様にCuプロセスへ移行することは運命付けられているように見える
・このシリーズの第3弾では、初めて0.18umデザインルールを用いたSTMicroelectronicsのフルサイズCMOSイメージセンサについて議論したいと思う


・画素プロセスを離れてもキヤノンにとってデザインは考えるべきことがある。キヤノンのチップはアナログ出力
・他社が好む、列並列ADCは恐らく0.5um世代プロセスでの導入は難しい
・しかし、キヤノンのシステム設計とその性能には満足させられる。もしキヤノンがより先進的な製造プロセスへ移行したら、CMOSイメージセンサとシステム設計のメジャーな刷新が同時に起こるかもしれない

canon_peramed.jpg




















↑ キヤノンのEOS M発表時の製品図
”現在topの1DXの隣の余白には何がくる!?”噂のフルサイズ高画素機はここにくるのでは?"というチップワークスの予想を暗に示していると思われます

canon_cupper.jpg





↑ キヤノンが既に持っている、0.18um世代(光導波路含む)Cu配線プロセスセンサの断面図
 ”APS-Cセンサとフルサイズセンサにこのプロセスが適用されるのはいつ!?”

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一人歩きする数字

この記事も古い話しですが、一番下の写真を見て、違和感を覚えましたので、少し調べながら、考察してみました。
結論から先に言うと、一番下の写真の断面写真は、0.18μmデバイスと無関係なデバイスです。

この記事の原文は多分、これだと思います。

http://www.chipworks.com/ja/technical-competitive-analysis/resources/blog/full-frame-dslr-cameras-canon-stays-the-course/

この説明文に0.18という数字は出ており、読む人間には、その根拠として断面写真が載っているように読めます。しかし、断面写真が0.18μmデバイスであるという説明はありません。
この断面図が、どのモデルのセンサであるかは、別の資料に載っています。(3ページ)

http://www.imagesensors.org/Past%20Workshops/2013%20Workshop/2013%20Papers/01-1_006_Fontaine.pdf

この資料より、断面図は、powershot S100のものであり、ピクセルピッチは1.85μmであることがわかります。(この資料には、0.18という数字はどこにもありませんが)

下のSTIの形状から、どこからどこまでが、1.85μmであるのか、寸法基準が分かりますから、metalを見れば、凡そのデザインルールは推測できます。STI上のPOLY配線形状を見ても、線幅に対する厚みのアスペクトは、大きくスクウェアを超えており、小さなルールであることが分かります。

metalの寸法は、1st metalの線幅が120nm, 2nd metalのピッチ(L&S合計)が300nm位でしょうか。このサイズが、一般的なデザインルールのどこに該当するか、インテルの例を探してみましたが、すぐには出てきませんでした。代わりに、富士通が公表している、90nmルールの数字と対応させると、ほぼ対応するような値です。

http://edevice.fujitsu.com/jp/catalog/find/22-4j/pdf/p42-46.pdf

つまり、Powershot S100のセンサは90nmノードで作ったデバイスであると考えていいと思います。
metal上面にcapping層も見えていますので、chipworksの解析通り、これがCu配線であることも間違いないと思います。

ここまで、考えると巷で語られている、0.18μmデバイスという話は意味の無い話で、自社製を自社のファブで製造したものと考えれば、キヤノンは少なくとも2012年以前に90nmの製造ラインを保有していたという結論になります。

ここで、私の頭の中は、より混乱しているのですが、巷に流布している0.18μmという話をなぜ否定しないのかという点(90nmラインを持っているわけですから)と、このCuラインを展開していった場合、アナウンス無して投資できるような金額に収まるんだろうか?ということです。
最後の部分は、私の悪い癖で技術とは関係無い話しですから、無視してください。記事の上下にある断面写真が、余りに異なる構造なので考えて見ました。

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