iPhoneX発売
TechInsightsが早速分解を開始した様ですね。
一旦落ち着いたらまたピックアップしてみたいと思います。
iPhoneと言えば、
8/8plusが最近年内の部品発注を5割減らしたとの情報が流れ、
また、
iPhoneXの量産数がドットプロジェクターの不調で稼げず当初の生産予定数を確保出来ないという様な話もあり(そのためか?
ドットプロジェクターの公差を当初の設計より緩めたという様な話も出ています。←このあたりがinvisage社買収の噂と関係してくるのでしょうか、純粋に今後FaceID用の赤外カメラの感度を上げたいとかそういう思惑で)、
”不調なのかな~”
と思っていたら、
最近の四半期決算では過去最高益を更新するという。
四半期の売上高が5兆円を軽く超え、純利益も1兆円を超えるというので十分驚くのですが、粗利益率37.9%という高利益率体質に一番驚きました。
しかも7~9月決算結果ですので、上記iPhone8の売上の恩恵はさほど入っていない数字です。
株価時価総額世界一位の企業は流石、伊達ではないですね。
日本でも、'17年2Qの電機各社の決算発表が始まり、概ね好決算が多い中、
ソニーが過去最高益を予想し、かつ
デジカメ(レンズ交換式&固定式合算)の本年度の販売台数予測を400万台から420万台へ上方修正。
これは2四半期連続の上方修正で、かつこのデジカメ右肩下がりのご時世で、昨年度の販売台数実績と同じ台数に戻したことになります。
そして、ニコンの'17年1Q決算時までの同通期見通しが480万台ですので、
遂に2位のニコンに後60万台、台数ベースでは12.5%差にまで詰め寄る計算になります。
ソニーはレンズ交換式と一体系(コンパクト)の内訳を公表していませんが、計画通り推移すれば、ラインナップから察するに、
恐らく今年度、まずレンズ固定式(コンパクトデジカメ)はニコンを超えるのではないでしょうか。
そしてニコンとソニーの勢いが双方このままだとすると、
ここ数年のトレンドラインを単純に外挿すると、18年度、遂にソニーがニコンの2位の牙城を崩すことになります。
[4回]
そして、ソニーの中でより好調な部門が半導体部門で、通期の利益予想が¥1500億。
その主役がイメージセンサであることは間違い無いはずです。
上で書いた好調なデジカメ部門(イメージングプロダクツ分野)の通期の利益予想がそれでも¥720億であることを考えると、社内での立場は半導体部門の方が強いことが容易に想像可能です。
この力関係が続く限り、他のデジカメメーカーは”ソニーのイメージセンサに頼っていると、一世代古いものしか供給してもらえないかもしれない”などという恐怖を感じる必要は無い様に、個人的には思います。
ただ、”ソニーだけに頼っているとイメージセンサ価格を吹っ掛けられて足元を見られるかもしれない・・・”という可能性はあるかもしれませんが(^^;)
前置きをもう一つだけ(^^;)
以前チラッとだけ取り上げた、phaseOneのTrichromaticセンサ。
ImageSensorsWorldさんにその分光特性が載りました。
※上段のイメージ図と、下段の分光感度特性の位置関係が逆になっています。ご注意ください
「全然イメージ図と違うじゃん」
私の最初の感想です(^^;)
確かに、トリクロマティックセンサの分光特性は、特にGreenが凄く先鋭にシャープに立っているなという印象は受けます。
RedもBlueも”それなりにシャープだな~”とも感じますが、
どちらかというと、比較対象の従来型の方がRedの短波長側がGreenにことさら張り出して重なり過ぎな気がします。
後はGreenの長波長側の裾もあまりにも浮きすぎている様な・・・(^^;)
参考までに、私が良く見る気がする分光感度特性は例えば
ココの”分光特性”タブの”CS-61C”の様なものです。
上記リンクしたものは、IRカットフィルタが掛かっていないもので、
上のPhaseOneのものは、まずIRカットフィルタ込みのものですので、
赤の長波長側の特性は同等に比べられないと思いますが、
リンク先のBITRAN社のCS-61Cの分光特性の横軸を、650か700nmあたりでぶった切ったものと、上記トリクロマティックセンサの特性を比較する方が、より公平(客観的?)な気がします。
さて、
先週の続きの本題いきたいと思います。
本年'17年のIEDMのイメージセンサ発表件についてです。
↑これは先週載せたものそのままです。
上記意外にもイメージセンサ件として、Session3.2に
”Pixel/DRAM/logic 3-layer stacked CMOS image sensor technology”
招待講演として、ソニーセミコンダクタソリューションズから発表があります。
これは恐らく
コレの焼き直し(?)版だと思われます。
ちなみに”セッション3”は、”
3D Integration and Packaging”の章(?)ですので、
この招待講演は”イメージセンサ”としてでは無く、
”半導体の3次元集積化の観点で優れたものだ”との趣旨で招待されたことになりますね。
イメージセンサが、半導体の3次元集積化の観点で進んだ領域だということの現れではないかと思いますので、素晴らしいことだと思います。
話が前後しますが、上に貼り付けた表の色分けですが、私の興味を反映してそれぞれ以下を意味しています。
◆青ハッチ :日本の組織が絡んだ発表件
◆オレンジハッチ:近赤外用センサ発表件
◆濃紺ハッチ :SPAD (Single Photon Avalanche Diode)発表件
以下所感です。
①”圧倒的じゃないか!わが軍(≒日本勢)は!”状態は未だ継続
Session16の全発表6件中4件、66.7%が日本の組織からの発表件。
そして内1件が招待講演
ただ残念なのは、
昨年は、イメージセンサ関連セッションの発表件数は7件。
今回は6件ですので、イメージセンサ関連の論文総採択件数自体は減少したことになります。
②組織別の発表件数は、
ソニーセミコンダクタソリューションズが2件
後は全て1件ずつ
ソニー以外で国際学会でのイメージセンサ関連の発表で常連どころである、
STMicroelectronics、
TSMCも健在で、両者は今回は共にSPAD分野で激突(?)の構図。
逆に最近の国際学会で常連になっていたと感じた、静岡大学、東北大学、キヤノン、
そして'15年中心に有機撮像素子&APDで一世を風靡したパナソニック
などからの論文採択は、今回無かった様です。
(↑そもそも上記組織が論文申請していない可能性も含めて)
③発表タイトルやabstから感じる、今年のイメージセンサ発表案件でのキーワードは、
まずはやはり
SPAD
そして、偶然なのか必然なのか?Siベースのものと、GeSn(←Snはスズ)という化合物半導体での近赤外線検知用のイメージセンサの発表がそれぞれ1件ずつ、計2件。
その他、積層構造であることが直接採択の重要な前提になった訳では無いと思いますが、
やはり積層構造、ないしは積層構造にすることを前提としているセンサがやはり2件。
(↑表の濃紺ハッチのSPADセンサが双方とも積層構造ないしは積層構造前提で重複)
その他、気になることとしては、昨年まであれだけ抜け無くどこかしらのものが採択されてきたグローバルシャッタセンサ案件は、今年のIEDMではお休み。
有機撮像素子関連も、ここのところ有名どころの国際学会では採択されていない気がします。
ただ、前者のグローバルシャッタセンサの重要性は薄まっていないと感じますので、
個人的にはグローバルシャッタセンサがトレンドでは無くなってきたということでは無く、
割とグローバルシャッタセンサが成熟した実用の域に入ってきて、学会で採択される様なキャッチーな技術的ブレークスルーが減ってきたのかなという風に私は感じています。
あとは発表案件個別のことですが、
1件目のソニー(セミコンダクターソリューションズ)の件ですが、
15um□の画素ピッチと、画素面積は広大ながらも、
光電子増倍管の代わりに、しかし”non-electron-multiplying”(←電子増倍しないという意味ですよね?)なCMOSセンサで代用しようというのは見物です。
発表するくらいなので、用を成すのだと思うのですが、
・画素ピッチ大で高感度
・0.5電子の低読み出しノイズ
・デジタル出力を加算する
上記の様なところがポイントとなって、光電子増倍管の代わりを達成できるということでしょうか。
2件目の高エネルギー加速器研究機構の件
正直私にはこのabstだけでは全容は全く不明です。
ただ放射線画像用の素子ということで、恐らく主要用途は医療用の撮像素子と思われます。
abst中の”TID効果”というのは、Total Ionizing Doseの略らしく、
放射線デバイスでは、撮像時にイオンの照射に晒されるため、それが累積すると
トランジスタの
・リーク電流の増加
・閾値電圧の変化
・サブスレッショルドの傾き変化
が引き起こされることを指す様です。
つまりは、放射線画像用の撮像素子として、上記TID効果なのの課題を解決した、SOI構造を用いた素子の発表の様です。
またしても三連休であったのに力尽きました。
気が向けばあとわずかですが、来週続けるかもしれません(^^;)
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