さて、色々私用もあって2週空いてしまいました。
しかし、この2週が重要な2週で、
IFA、
新型iPhone発表、
IBCが毎年連続する2週で(^^;)、前回エントリー時のニコンD850以降、まずデジカメで以下が発表 or 発売
オリンパス OM-D E-M10 MarkⅢ
キヤノン EOS M100
富士フイルム X-E3
ソニー RX0
ソニー DSC-RXM10 M4
上記の中でおもしろい(≒新展開、目を引く)のはやはりソニーのRX0。
アクションカムの風貌で、しかしそれでいてソニーの中ではアクションカムのジャンルには属さず、ネーミングも”RX”冠
”あくまで高画質1インチセンサ搭載の小型カメラモデルです”
というソニーの主張
小さく軽いですが、手振れ補正がつかないところと、アクションカムとして見た場合はレンズの画角がやや狭いことを鑑みると、確かにソニーの言う通りか。
そして、SLog2が搭載されるあたりと価格を見ると、プロかかなりなハイアマ狙いの機種という感じでしょうか。
RX0はカメラとしては興味深いですが、Imagerマニアとして見た場合には、
上記今回発表されたカメラ群は、恐らく搭載撮像素子は従来同等品の流用な気配なので興味が湧く対象は無し。
(↑前機種に対して4K動画が追加された様なカメラもあるので、多少リファインされた可能性はありそうですが)
で、お次はIBCで(個人的に)意外な展開。
[2回]
ソニーとキヤノンがここでプロ / ハイアマ向けの1インチ撮像素子採用の4Kカムコーダーで激突(≒発表)。
ソニー :
XDCAM PXW-Z90 / NXCAM HXR-NX80 / ハンディカム FDR-AX700
キヤノン:
XF405 / XF400 / iVIS GX10
キヤノンは上記の他にも更に
1/2.84型FHD撮像素子搭載の3機種も同時発表しています。
私が意外と感じたのはまず、
失礼ながら”もう終わった(≒終わりにしようとしていると思っていた)”民生用のキヤノンのビデオカメラが、いきなり超力の入った機種が6機種も新製品として同時発表されたことですf(^^;)
・
BCNランキングで、昨年の国内市場シェア5%以下で4位以下
・ビデオカメラは店頭からは姿を消し、全てキヤノンオンラインショップのみでの取り扱いになっていた事実
そして
・今回の発表まで、シネマEOS以外の
ビデオカメラ(カムコーダー)では、キヤノンは4K搭載機をラインナップしていなかったという事実
(↑これは国内市場シェア3位のJVCも同様な事態だった)
上記の様な状況から、”儲けも出てなさそうだし、これはひっそりと民生ビデオカメラ市場からフェードアウトモードだな”と勝手に理解していました(^^;)
で、二つ目の驚きが、上記の様子であったキヤノンの今回発表の4Kカムコーダーのフレームレートが、ソニーのそれを上回っていたこと。
キヤノンのmaxが4K60pまで可能としたのに対して、ソニーが4k30pまで。
これは過去FHD規格への移行時に、キヤノンが最も(?)FHD60p化への移行が遅かったという記憶があり、
つい2年ほど前まで、max60i/30pどまりのフレームレートのFHD機がまだラインナップされていたことを思えば、意外だなと。
そしてそれに搭載の
新開発のイメージセンサ↓
↑XF405などに搭載の1インチ撮像素子
AVwatchさんより
上の写真を見る前は、”もしかしたらソニーのセンサの可能性もあるのかな?”と思っていたのですが、
・上の写真の撮像素子が
良く見るソニーの1型撮像素子では無いこと
・裏面照射型センサでは無さそうなところ (←ソニー製なら裏面照射型の可能性が高いだろう)
・最新のソニー
RX10M4の(≒ソニー製と思われる1インチセンサ搭載カメラ)でも、4K動画は30p止まりなところ
・DualPixelCMOSAF搭載なところ
などを鑑みると、キヤノン自社製センサと見てほぼ間違い無さそうでしょうか。
ちなみにソニーの今回発表されたカムコーダー群は、仕様を眺めるに、どちらかというと”4K記録では”フレームレートよりも、
HDR(←
近年良く聞く様になったHybrid Log-Gammma)記録、SLog3対応
と、どちらかと言うと、ハイダイナミックレンジ売りの路線を取っているという心象です。
(※↑解像度を落とした場合は、ソニーお得意の960fpsハイスピード撮影機能は持っています)
上記のソニーとキヤノンのカムコーダーキャラクターの違いで、実際には現状ではどちらが受けるのか?というビジネス的な面(?)も個人的には興味があります(^^;)
そして、IBCでは更にソニーからは大物が発表・・・と言っても私もここをお読みの方恐らく全ての方に無関係なものだと思いますがf(^^;)、
8K3板式120fpsシステムカメラ UHC-8300
まあいわゆる放送局に売るカメラですね。
そのお値段¥4800万
シネマカメラも大概高いと思うのですが(←それでもこの10年で随分とお安くなったと思いますが)、この手の放送局用のシステムカメラって更にお値段が一桁上がるんですよね
一体何がそんなに違うのか・・・単に売れる台数の違いか(^^;)
話が逸れましたが、こちらも新開発イメージセンサ搭載
↑1.25型 8K120fpsイメージセンサ
”1.25型”というイメージセンササイズをほとんど聞いたことが無いので、見た目も含めて新開発というのに偽りは無い気がします。
3板式でプリズムで色を振り分けるはずなので、このセンサ自体はモノクロセンサだと思うのですが、何か画素部にカラーフィルタが載っている様な色合いに見えるのは気のせいでしょうか。
そして高解像度&高速読み出しセンサだからか、このイメージセンサのパッケージ上写真左側の窪みに恐らくバイパスコンデンサとおぼしきものが6つほど見受けられます。
(↑
最近、8K及び4Kで高速信号読み出しなセンサには見掛ける様になってきました)
また、超お高いカメラに搭載されるイメージセンサでお金が掛けられるせいか、
普段あまり見かけない、センサの周辺信号処理回路部上の封止ガラス(?)上に、黒い遮光用と思われる部材が追加されていることもわかります。
一つ上のキヤノンの1インチセンサ写真と比べて頂ければ違いは一目瞭然。
以前、同じくお高いカメラ(と言ってもこちらは¥数百万レベルですが)である、
REDのDragonセンサでも、同様な遮光の趣旨と思われる黒い部材を見たことがあります。
イメージセンサ・・・というかフォトダイオード・・・というか受光素子というのは、
半導体ICの世界では異質なもの(?)で、通常ICは光が当たると誤作動の元になるため、
例えば良く見るIntelのCPUなどはガラスなどでなく、最初から光を通さない材料で完全に周囲を覆われてしまっています。
ところがイメージセンサは光を受けないと始まらない。
しかし、イメージセンサにも受光素子の周囲の領域には信号処理回路が搭載されており、そちらにはなるべく光を当てたくない・・・
といったことで、なるべくbetterな方法として、上記の様な黒い遮光材と思われるものがつけられているのだと予想します。
まあもしくはより単純に、レンズを通ってきた光がカメラ内部のメカ機構等で乱反射(?)して、想定外の方向からフォトダイオード方向に光入射があった時のことをケアした施策か。
↑裏面照射型センサであれば上記影響は何となく大きそう?でしょうか?
で、このカメラのスペックに関する情報がかなり乏しく、
3板合わせて8K(横7680解像度)なのか、1つのイメージセンサが8K解像度なのか?
がよくわからず。
imagerマニアとしては、上記がどちらかでこのイメージセンサへの関心度が変わってくるのですが(^^;)
仮に1つのイメージセンサで8K解像度であった場合の画素ピッチは、
1.25型≒対角約20mmで計算すると・・・
画素ピッチ:凡そ2.3um□
過去実績として、
NHKがTSMC製造で画素ピッチ1.1um□、2/3インチ8K240fpsセンサを製造した実績はありますが、まだカメラという姿にはなっていない状況です。
なので、画素ピッチ的にも読み出しスピード的にもあり得ない話では無いのですが、
業務用として2.3um□画素ピッチは、¥4800万もするカメラ用センサとしてはウケが悪い気がするのですが・・・
それともスタジオユースだと、低感度でもライティングバッチリで問題無いと判断されるのでしょうか? (いや、スタジオユース向けと決まったものでも無いと思いますが・・・)
もし3板合わせて8Kであれば、一つのimagerが1100万画素ちょっとで、それで120fpsであれば、
まあ信号読み出しスピードとして速いは速いですが、
UHD4K(約800万画素)super35mmサイズで480fpsを既に実用化しているソニーセンサがありますので、個人的には興味薄となります。
ちなみに一つのimagerでのスペックであれば、上記のNHK&TSMCセンサに次いで、今のところ2位タイの読み出しスピードなのかなと思います。
(↑注:ずっとそのレートで読み出し続けられる動画用センサ内で、かつ超特殊一点ものなどは除く。また上記レートはAD分解能などは無視した比較)
そして、話は長くなるのですが、ソニーさんの底力(?)
IBC向けかどうかはさておき、最近更にもう一点大物を発表しています。
◆フルフレームシネマカメラ CineAlta「VENICE」
遂にフルフレーム=フルサイズ(36mm×24mm)センサ搭載シネマカメラがソニーから登場です。
昔、業務用かハイアマユースか微妙な位置づけの”
NEX-VG900”というのがありましたが、
あれはレンズ交換式ではありましたがHDでしたし、ちょっと今回のCineAltaとはカメラの格が違います。
まあ”一眼ムービーじゃ何年も前からフルサイズもあるよ”という話もありますが、あれとも格が違うということでお願いします(^^;)
↑VENICE搭載 フルフレーム6Kイメージセンサ
本家ソニーHPより
フルサイズで6Kですので、イメージ的には一眼カメラ等のフルサイズ2400万画素センサという感じでしょうか。
画素ピッチ:約6um
「あれ?」と思ったのは、フレームレート、最大で6K時24fps、4Kでも60fpsまで。
お値段がフルサイズセンサ搭載シネマカメラとしては想像したものよりは破格の安さに思える¥400万(←ただ、色々フル能力を発揮させようとすると、オプション代金が上乗せされる様ですが・・・)。
ソニーのCineAltaシリーズとしては、上に”
F65”が控えているため、”カメラの格としてはフルサイズセンサ搭載機とはいえ、そこまではいかないよ”という位置づけということでしょうか(≒そのため、フレームレートも抑え気味ということ?)。
そして「あれ?」の第二弾。
上の写真を拡大して見て頂くとわかるのですが、
以前、ソニーの表面照射型センサで見られた特徴であるところの、画素上下周辺回路部にブロック状のパターンが見られます。
”ということは、このVENICE搭載フルサイズセンサは表面照射型センサ?”
恐らく見た目からはその様に思えるのですが、
ソニーα7RⅡ、α9、ニコンD850と、そろそろフルサイズセンサでも値の張る機種向けのセンサでは裏面照射型センサが出始めている昨今、
このシネマ機もきっと裏面照射型センサ搭載であろうと予想して見たのですが、もし表面照射型センサだとしたらそこが意外でした。
これも(フルサイズシネマ機としては恐らく)安いカメラ搭載センサのコスト重視の選択の結果なのでしょうか。
最後に
「VENICE」というカメラ名称(?)について。
今までソニーの業務用カメラの名称は、F65、F55、F5、FS7、FS5・・・など、無機質な型番の様なものばかりだったと思うのですが、
ここにきての路線変更の「VENICE」
シネマカメラメーカーの世界では、業界1位2位の(?)ARRIとREDがそれぞれ
ALEXA、AMIRA、EPIC、WEAPON・・・などと固有名詞の”名前”の様なものを各カメラに振る慣習(?)が見られ、
恐らく今回ソニーもそれに倣ったものと思うのですが、
やはり映像制作者、個性の強い人が業界に多く、こういう個性ある名前を屠った方が、そのカメラのウケが良くなったりするのでしょうか?(^^;)
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