”
ソニーがIEDMで発表する偏光センサは一体何に使うんだろう?”
⇒”はっ!もしや
PLAYSTATION CAMERAに(プレイヤーのHMDの傾き検知とかに使ってるのか)!?なんかタイムリーだし”・・・
・・・なんて、思いましたが、やっぱりそんなことは無さそうですねf(^^;)
↑「プレイステーションVRは青色LEDを備えていて、それをプレイステーションカメラで撮像しして位置(向き)検知している」と聞いて、冒頭の様に一瞬思ったのですが、
[1回]
上の写真を見て、”なんかこんなもっさりした光で(?)偏光とかしてそうに無いし、
プレイステーションカメラの方も普通のステレオカメラっぽいしな。わざわざ偏光センサを仕込む意味は無さそう・・・”という個人的結論に至りました(^^;)
という訳でスタートに戻って、まず本当にラフに”偏光センサ ソニー 発表者名”くらいな感じでJPの特許検索を掛けてみました。
しかし、第一図面を眺める程度では、私にはピンとくる特許は見つけられませんでした・・・
次に単純に”偏光センサ airgap wiregrid”と言った、今回のソニーIEDM発表センサタイトルのキーワードっぽいところでググると、
例えば
リコーのHPが現れ、中を見ると”偏光センサを搭載したカメラの用途として”は
何れも製造ラインを流れる物品の検査を想定したカメラの様で・・・
①黒色の被写体の撮影
②透明な被写体の撮影
が、偏光カメラの使用例として挙げられています。
上記被写体が偏光カメラであれば有利(≒うまく撮像出来る)理由はそれぞれ・・・
①が”被写体からの光の偏光状態が、被写体の面方向に応じて異なるため”
②が”光の偏光状態に応じて透過率が変化するため”
としており、撮像比較例として、わかりやすくそれぞれ以下の様な写真がupされていました。
で、じゃあ
”偏光センサってそもそもどういうもののことを言うの?”ということに関しては、
例えば
コチラの文献などが引っ掛かり、それに拠ると・・・
↑(a)や(b)の様な90°ずつ方向の異なる凹凸パターンの(この文献の場合には)フォトニック結晶偏光子アレイというものを半導体プロセスで作成し、
それを(この文献の場合には)CCDセンサの各画素に一つのパターンを当てはめると。
(カラーセンサの場合には4画素ベイヤに対して一つのパターンを当てはめることになるのでしょうかね?)
↑で、この偏光子は、光源の波長に対して、適切な凹凸のパターン間隔を選ぶと、
上図の様に、凹凸に対して垂直方向に振幅している光は透過し、水平方向に振幅している光は反射するという性質を持つ様です。
上図で言えば、この素子の場合は、550nm~600nm弱の波長光源に対して有効な偏光素子ということになるのだと思います。
で、この特性を持った偏光素子が各画素ごとに90°異なった角度のものが並んでいるため、
その4画素対の出力を、上図の様に並べてサイン波でフィッティングすると、
”そのフィッティングカーブの最も大きくなった角度から入射光の偏光方位がわかる”
ということの様です。
そして、そういう情報が取れるセンサが偏光センサであると。
ちなみに、この文献の場合には、例えばこのセンサを搭載したカメラを”透明材料の内部歪みの評価”に用いることを想定しています。
やはり、
こちらも部品検査の用途想定ですね。
その他にも、具体的な説明は無いですが、”
バイオテクノ ロジー,ロボティクス,リモートセンシングなど幅広い分 野において期待されている”という風になっています。
ん~、これらから予想するに、やはり今回IEDMでソニーが発表するセンサの用途も、民生、業務用のカメラに搭載されたりはせず、B to B用途のセンサという位置付けの可能性が高そうですね。ちょっと何か身の回りのカメラに変革が起きないか?とか期待してしまいましたがf(^^;)
で、やっと元に話が戻って、
”じゃあソニーさんの今回発表するセンサの特徴はどこにありそうか?”ということですが、
タイトルとabst(要約)からするに、
上記文献の”フォトニック結晶偏光子アレイ”をわざわざ別に製造してCCDの前に貼り付けるのでは無く、その代わりに・・・
・通常のCMOSセンサ製造工程のメタル(≒金属)配線層の一部を、凹凸パターン生成に流用
(↑using wire gridから)
し
・それらのwireの間がairである
(↑useng air-gapから)
というところに特徴がありそうな気配です。
で、CMOSセンサの製造工程で画素上に同時に作りこんでいけるため、
恐らく、例えばフォトニック偏光子アレイを後から貼り付けるのと比べると、画素との位置合わせ精度が良くなるため、2.5umという狭画素ピッチセンサで偏光センサが作れるようになり、
恐らくコストも相対的に安く出来る・・・
恐らくそういう最終的なメリットを得ようとしているのかなと。
しかし、いまひとつピンと来ないのですが、air-gapって本当にメタル配線間に空間が空いているのでしょうか?
なんか強度的に心配(^^;)なのと、そもそもどうやって作っているのだろう?と・・・
しかし、
そう言えば昔(今も?)、パナソニックが、カラーフィルタの間をairにして屈折率を変え、
カラーフィルタ部分での光学クロストーク(≒混色)を抑制可能なセンサを開発実用にしていたのを思い出しました。
それが出来るのであれば、半導体工程のメタル間でも同様のことを行うのは何でも無いということなのかもしれませんね。
また、今回の偏光センサとは関係ありませんが、パナソニックが以前に同じ原理(?)で、通常集光のためのマイクロレンズの代わりに、
DML(デジタルマイクロレンズ)と彼らが呼ぶマイクロレンズの開発発表をしていたことも思い出しました。
上記リンク先を読むと、これもデジタルマイクロレンズ材料の酸化シリコン同士の間は”空気”ということの様です。
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