今週からデジカメ各社の2Qの決算発表が随時行われますが、その前に冒頭に少しだけ最新のCIPAデジカメ出荷数量統計を。
何故か私、昔から興味ある分野の統計データを眺めるのが好きなもので(^^;)
しつこいですが。
データは今年の8月まで公開。
デジカメ全体では5~8月まで、つまり熊本の震災以後、
出荷台数ベースで
◆対前年度:約5割
◆ワールドワイドで160万台/月
で低値安定推移。
今年に入ってからもこの手のことを何度か書きましたが、
レンズ交換式とレンズ固定式(≒コンパクトデジカメ)では状態は当然(?)異なり、
レンズ交換式カメラの方は5月をbottomに、その後8月に向けて緩やかに回復基調。
9月はphotokinaで多くの有力カメラが今年は発表されましたので、(台数に直結する様な廉価機は多く無いので顕著には期待出来ないかもしれませんが、)今後それらの機種が年末に向けて順次発売されるに連れ、対前年度のグラフは緩やかに右肩上がりになるのじゃないかなと、個人的には予想(期待!?)します。
で、コンパクトデジカメですが、
[1回]
5~8月まで対前年トータルが横這いで、レンズ交換式が緩やかに回復しているなら、コンパクトデジカメはグラフを見ずとも緩やかに下降線を辿っているのは自明
(↑出荷台数の絶対値に大きな隔たりがあった時代はこう言い切れないところがありましたが、
今年6月からは遂に”台数ベースでも”レンズ交換式の方がコンパクトデジカメよりも多くなり逆転しています)。
◆7月8月の2か月は、遂に対前年35%程度で推移
◆年初からのワールドワイドtotal出荷台数:764万台少々
好意的に見て、年初からの月平均出荷台数が残り4か月続くと仮定した場合でも、'16年年間の出荷台数は1150万台弱。
恐らく実際にはそこまでいかず、最近のトレンドで線を引くなら、'16年のコンパクトデジカメの出荷台数は1000万台を何とか超えるか?というところで落ち着くのではないでしょうか?
さて、
chipworksからiPhone7の解析結果の最終版(?)が発表されたのですが、(本来、チップワークスにユーザー(?)登録しないとget出来ないはずなのですが、例によって
ImageSensorWorldさんから誰でもダウンロード可能になっています^^;)
フリーで手に入れられる範囲においては、
以前書いたこと以上のセンサ関連の情報は無い様に思えます・・・
前回(iPhone6Sくらいから、)少なくともイメージセンサ関連については情報開示量が渋い・・・(--;)
しかしまあそれでも一応以下よりサラッと。
↑一応、iPhone7の技術的特徴のシートをまず記録として
↑128GBモデルのiPhone7ノーマルの、部品コストの内訳別積み上げ棒グラフ
トータル:$275
その内カメラ&イメージャー関連:$26
この部品の分け方で言えば、アプリケーションプロセッサA10Fusionチップが、(カメラはモジュールまで含めた代金であると思われるのに対して、こちらはせいぜいパッケージ代金までで)$40と高額。
やはり最先端FinFETプロセスを用い、かつそれなりに大きなチップというのはコストが掛かるということがここからも見て取れます。
お次がタッチスクリーン込みのディスプレイ:$37
で3位タイくらいで、カメラが、
・高周波部品
・不揮発&揮発メモリ(フラッシュ & SRAM & DRAM など)
と並んでランクインという感じみたいです。
こうやってみると、(差別化 or 機能の観点だけで無く)部品コストの観点からも、現状スマホにおいてはカメラは主要パーツの位置を占めていると言えそうです。
ちなみに、厳密には区分けの仕方が異なるのかもしれませんが、
別の調査会社はiPhone7のカメラ関係の部品コストは、$19.9と分析していました。
で、カメラ関連についてのレポートは、全42ページ中、p.26~30の全5ページ・・・
・・・なのですが、基本的に書いてある内容は
以前のblogエントリした時の初期情報から何も更新されていません(T-T)
いやむしろ、カメラ・イメージセンサ関連の写真について言えば、originalの初期チップワークスblogの方が明らかに豊富なくらいです。
・・・ということで、寂しいので、初期チップワークスblogの方から、イメージセンサの写真の方を以下。
↑iSight(=メイン=リア)カメラ搭載素子(の恐らく顕微鏡)写真
チップワークスが、”RGBベイヤ配列”と判断したのは恐らくこの写真からで、
私が以前エントリしたblogで
”像面位相差AFがキヤノンやGalaxyS7のDualPixelCMOSAF的なものでは無い”と判断した写真になります。
(↑画素領域に不規則なつぶつぶが見えるため。全画素2or4分割の様なDualPixelCMOSAFであれば、この様な不規則パタンにはならないはずのため)
また、この写真からははっきり断言出来ませんが、
iPhone7の像面位相差AF用の画素配置は、恐らく6Sと同様で変化無し・・・という風に私には見えます。
↑iSightカメラ搭載素子のチップ隅の(恐らく)顕微鏡写真
恐らくチップワークスが、”この素子は、ソニーの積層センサだが、DBIでは無くTSVによる第二世代積層センサである”と判断した写真。
右と上にTSVとおぼしきパターンが確かに見えますね。
↑FaceTime(=サブ=フロント)カメラ搭載撮像素子の画素領域隅の(恐らく)顕微鏡写真
恐らくchipworksが”サブカメラもRGBベイヤ配列センサ”と判断した写真で、
そしてこの写真からは、
恐らく像面位相差AF用画素が存在しない=像面位相差AF機能が無いセンサである可能性が高そうです。
”画素領域隅には像面位相差AF画素を配置しない”というパターンは多いので、本来この位置の写真だけでは上記判断は出来ないのですが、
この辺はチップワークスはプロなので、そういう特徴がある箇所があれば必ずフォーカスすると思います。
しかし、この写真に像面位相差AF画素が載っていないということは、恐らく画素領域全面に渡って同様なパターンであったということを意味するのだと読みました。
また、”サブカメラは実はDualPixelCMOSAF的な像面位相差AFであるため、イレギュラーパターンは見えない”という可能性も残りますが、
”メインカメラがそうで無いのに、サブカメラの方のみより凝った像面位相差AFセンサを採用するというのは考えにくいだろう”
というのと、
”サブカメラの画素ピッチは1um□で、その画素フォトダイオードを複数分割するDualPixelCMOSAF化の難易度は高いだろう”
という2つの理由により、やはり像面位相差AF機能は無い可能性が高いと、個人的に考えます。
最後に・・・
本当は今週メインで取り上げようと思っていたネタが以下でした。
チップワークスblog
”STMicroelectronics Time-of-Flight Sensors and the Starship Enterprise Show up in the iPhone 7 Series”
~STマイクロエレクトロニクスのToFセンサと
スターシップエンタープライズが、iPhone7シリーズから現れた~
同じiPhone7及びチップワークスネタだというのと、
書きかけになっている興味を持っているToFセンサネタだというのとで、
来週末、特に優先して取り上げたいトピックが出てこない限り、”これでいこうかな~”と思います(^^)
~おまけ~
↑左下が、STMicroelectronicsのものとおぼしきToFセンサチップに描きこまれていたらしい”Starship Enterprise”号
私は特にスタートレックファンでもなければ、さすがにスタートレックはOnTimeで見ている世代でも無い(^^;)ので今一つピンときませんが、
このチップを統括された方が遊び心旺盛な年配の方だったのでしょうか?
それともまさか
新規上映映画に合わせて意識されたものだったりとか!?(^^;)
PR