タイトルの通りなのですが、今年の
IEDM(International Electron Devices Meeting:少なくとも私の定義する半導体関係の3大国際学会の内の一つ)の
プログラムが発表された様です。
昨年もこの時期にISSCCのものと併せて、Imager関連だけまとめたのですが、
今年も同様に概観してみたいと思います。
(来年初のISSCCの方はまだプログラムが決定していませんので、それはまた別の機会にしようと思います)
[1回]
上の表がそれなのですが、
色分けの意味は、現状の私の興味によって以下となっています。
◆水色ハッチ :日本の組織が絡んだ発表件
◆濃い青ハッチ :
SPAD (Single Photon Avalanche Diode)関連件
◆緑ハッチ :積層センサ関連件
◆オレンジハッチ:グローバルシャッタセンサ関連件
今年のImager関連のメインセッションは”8”
(ちなみにこのセッション順番って何か意味があるのでしょうか?
仮にセッション順番が半導体業界内でのその分野の序列を表すとした場合、
昨年の”30”から今年の”8”へ、Imager関連の注目度が大幅up!!したことに・・・
しかし、そんな意味はやっぱ無いんですよね?f^^;)
セッションタイトルは、”
Imaging and Photon Counting Sensors”
これ、
昨年の'15年のセッションタイトルは、” Advanced Imagers and Photodetectors”
一昨年は、”Advanced Image Sensors and Light Emitting Devices”
ということで、毎年採択された論文の内容でセッションタイトルも微修正されるんですね。
そして今年は恐らく初めて”
Photon Counting”の文字が入ったということでしょうか。
以下、発表タイトルからだけの私の所感ですが、
①”圧倒的じゃないか!我が軍は”状態健在!
日本勢(≒日本の組織が絡んだ)の発表件数は5件
全体が7件ですから、なんと日本勢の採択割合5 / 7 ≒ 71% !!!
②組織別で発表件数が多いのは、
ソニー
STMicroelectronics
の二つが共に2件ずつで最多
ソニーはともかく、STも、通常のイメージャー事業からは撤退したのに、特殊用途(?)ではMEMS系のセンサ含めて強いという私の心象
そしてソニーの方は、昨年度は嵐の前の静けさを地で行く国際学会でのなりの潜め方であったのに、
今年は6月のVLSIシンポジウムでの発表に引き続き、このIEDMでも発表・・・しかも2件も。王者完全復活の感(!?)
③発表タイトルからの今年のIEDMのImager件のキーワードで気づいたものとしては以下
・SPAD (Single Photon Avalanche Diode) (濃い青ハッチ)
・積層型センサ (緑ハッチ)
・グローバルシャッタ (オレンジハッチ)
上記いずれも2件ずつ
(表には緑ハッチは一つしか無いですが、濃い青ハッチの内の一つが積層型センサでもあるため、2件)
積層型センサについては、今となっては言わずもがなですが、
グローバルシャッタ件も昨年も多数発表あり。
通常のデジカメ用途では、グローバルシャッタ機能はまだ絶対必要とは個人的には思いませんが、
産業用途や科学用途などの超高速撮影など、一部のカメラでは必須の機能であるため需要があり、毎年コンスタントに開発が進められている現れということでしょうか。
CCDは自動的にグローバルシャッタ機能を有していたことから、グローバルシャッタの発表が採択されるということは、裏を返せばImagerの主役がCCDからCMOSセンサに移ったことを意味しているとも言えそうです。
SPADについては、何となくの概要だけはわかっているつもりですが、まだ全く勉強出来てないので、今後トレンドになりそうですので途中になってしまっている
ToFと合わせて勉強してみて、また弊blogで取り上げてみたいと考えています。
以下、こまごましたことなのですが、
④パナソニックのAPD(Avalanche Photo Diode)発表件は、本年のISSCCで発表されたものと同一か?
招待講演ということで、要約の掲載無しのため詳細不明。
しかし、IEDMレベルの国際学会に招待講演されるというのは大変栄誉で素晴らしいこと。
昨年度の有機撮像素子件を含む怒涛の発表のインパクトほどは無いものの、勢い継続の感ありでしょうか
⑤ソニーの”Cu2Cuハイブリッドボンディング”というのは、まず既にチップワークスに解析されているコレのことと思われます
既に解析されてしまっているから世の中に隠す必要も無くて、開発時点では無く、既に世に出た製品搭載技術を申請してそして採択されるという・・・ソニーによくありがち?なパターンに思われます。その先進性たるや恐るべし(^^;)
⑤キヤノン発表件は、”4K2K”、”Super35mm”、”グローバルシャッタ”の3つのキーワードから、これもほぼ間違いなく、最近発表されたCINEMA EOS C700搭載センサの発表と予想されます
しかし上記予想が正しいとすると、キヤノンもソニー同様、
研究・開発段階の技術では無く、既に実用・製品レベルの技術内容で論文採択されたということになりますね。とすると、これも同様に凄いことの様に思います。
⑥東北大のグローバルシャッタ件
ソニー同様東北大も今年のVLSIシンポジウムに引き続きの発表
VLSIシンポジウムでは、画素ごとに”デジタルメモリ”を配したグローバルシャッタセンサの発表だったようですが、
興味深いことに今回の発表は画素ごとに”virtical(垂直or縦方向)アナログメモリ”搭載の発表だとか。
一体どんな技術でどんなメリットがあるのでしょう?気になります。
⑦最後に、ソニーの残りの一つ、”4方向画素毎偏光CMOSイメージセンサ”?
これの内容が全く想像できません。
内容を知った後、自分自身が興味を持つのかわかりませんが、現状今回のIEDMでのイメージャー発表件の中で”中身が最も予測不能”という点のせいで、
現状個人的に最も興味を持っている発表件となります(^^;)
最後におまけですが、今年の
CEATECの入場者及び出展者数を加えた、近年のトレンド図です。↓
例年、CEATECは土曜も開催されているので、個人的趣味で
ここ数年は足を運んでいたのですが、
なんと今年から土曜開催無しで平日開催のみの完全ビジネスモードの会へと変身を遂げていました。
(会期自体は4日間で変わらず、水曜始まりだったのが一日繰り上がり火曜スタートの金曜終わりへと変更)
例年弊blogで”このままだとCEATECは継続できなくなっちゃうよ”と警鐘を鳴らし続けた効果でしょうか?(笑)
ですので、どんな会に変わったのか? 初年度は見に行きたかったのですが、仕事の都合で今年は見に行くことが出来ませんでした(--;)
ですので、会場の空気等がどう変わったのか?変わっていないのか?は全くわかりませんのでコメント出来ませんが、
数字だけ見ると、上図の通り、昨年よりも入場者数及び出展者数も増加しています。
・・・と言っても、'13年の水準に戻ったというだけで、リーマンショック前の水準にはほど遠い状態ですし、まだ全体的には入場者数減少トレンドに見えますので、
”これにてCEATECは安泰”と言い切るにはまだ早そうです。
来年はどうにかして、どんなCEATECになったのか確認しに見に行きたいと思っています。
PR