他にも、プロセッサーは、
USモデル:QualcommのSnapDragon820
ヨーロッパモデル:サムスン自社製のExynos8
採用だそうで、製造Fabは共にSamsungの14nmプロセス(←確か
FinFETプロセスですね)だそう。
↑同じく左がUSモデル、右がヨーロッパモデルのカメラモジュール
左に
ソニー製IMX260、右に
サムスン製S5L2L1というそれぞれ型番の撮像素子が使われている。
(共に12Mピクセルの裏面照射型積層センサ)
この写真を見ると、寸法及び形状はほぼ同等なれど、厳密には
撮像素子だけで無くカメラモジュールまでもそれぞれのメーカーが各々作った別物みたいですね。
確かに目的が複数社からの調達によるリスク回避にあるとするならば、正しい思想な気がします。
また、元記事によれば、
プロセッサーは完全に上記の用にスマホの出荷地域別でソースが振り分けられていたのに対し、
撮像素子は、ヨーロッパモデルからもソニー製素子が出てきたとのことで、
撮像素子については出荷地域が同一でも異なる撮像素子搭載モデルが出回っている様です。
↑ソニー製IMX260チップ写真
↑Samsung製S5K2L1SXチップ写真
共に表面のマイクロレンズとカラーフィルタを剥いだもの
剥いだ時の何かの影響があるのか?写真の写りの関係にしても、こんなに色が異なっているのはどういうことなのでしょうか?
↑それぞれのチップのDieサイズと画素領域部のサイズ
※表の方のサムスンの画素領域サイズのLengthの方は記載ミスで、恐らくチップ写真の方の5.7mmの方が正しいのだと思われます
カメラモジュールの光学サイズが同じなのでしょうから、画素領域部の面積が同一なのは必然だと思うのですが、
チップ写真を見ると、ボンディングパッドの位置(サムスンの方はチップ4辺に。Sonyの方は上下の長辺のみに)や数は異なるのに
チップサイズの方までぴったり双方で一致しているんですね。
これは偶然なのでしょうか?
求められるカメラモジュールサイズは同一なのでしょうから、ある程度撮像素子のチップサイズも同じである必要はあると思うのですが、0.1mm単位まで同一でなくても成り立つと思うのですが・・・
↑Sony IMX260のSEM断面図
そして2つのチップの大きな違いが、サムスンの方は積層するのにbottomとtop基板の電気的接続にTSVを用いているのに対して、ソニーの方は(
チップワークスの解析通り)Cu-Cu(銅-銅)のダイレクトボンディングを行っているとのこと。
EETimesでも、
この技術はZiptronixのものをソニーがライセンスされたものだろうという風に記載しており、
そしてやはり「
商用センサでこの様なウェハ接続方法のものを見るのは初めてだ」という風に言っていますね。
また、無償で読めるチップワークス解析には無かった情報として、
センサー基板プロセス:M6 (メタル6層プロセス)
ASIC基板プロセス :M8 (メタル8層プロセス)
で、それぞれの最上層メタルのM6とM8で接続されているとのこと。
↑ウェハ接続部の断面拡大写真
EETimesの記事によれば(というか、大元はT
echInsightというところの解析結果の様ですが)、
2つのくっつけるウェハの表面は
CMPで平坦化されていて、
Ziptronixの特許”US
6,902,987”に依れば、
”表面の平坦性は3nmRMS以下である必要があり、可能であれば0.1nmRMS(root mean square)以下であることが望ましい”
とのこと。
全く素人には想像出来ない平坦性が必要な様です(^^;)
そして同じくZiptronixの”US
7,109,092”パテントによれば、
2つのウェハの接続強度を出すには、高温
アニールを施して共有結合させる必要があるが、高温アニールを行うと、2つのウェハ間で歪み(mismatch)を引き起こすという問題がある。
それを回避するために、2つのウェハ酸化膜表面をフッ素化処理を施すと、室温でも共有結合させることが出来る・・・のだとか。
そして、上記のウェハのボンディングプロセス(≒接続工程)は、センサ基板の薄膜研磨前に行われ、
2つのウェハのアライメント(≒位置合わせ)は、IR(赤外)マイクロスコープを用いて、2つの基板にあるアライメント(位置合わせ)マークを(片側の≒恐らくセンサ側の基板を透過させることによって)読み取ることによって行っているとのこと。
↑これらも特許に書かれている内容なのか?出来上がったものを解析しても工程やアライメント方法は予測するしか無いため、やはり特許に書かれていたのでしょうかね。
そして、上の写真で”misalignment”と書かれた箇所。
ウェハの接続が、微妙に理想の位置(≒上下ウェハのメタルパッド?がJustになる位置)からズレていることがわかります。
このパッドの大きさからだと思いますが、EETimesの記事では、
”上下のウェハの位置合わせズレは、0.25umまでなら許容される(≒それ以内ならこのウェハの歩留まりは確保される)”
という風に分析しています。
こちらの数字は、(ウェハの隅から隅まで満たさなければならないものの)私が想像していたよりは緩い(≒許容されるズレの範囲が広い)なと感じました。
その後、センサ基板が研磨して薄膜化され、フォトダイオードを剥き出しにした後、
DTI(画素間の分離溝)を形成し、遮光などのメタルを形成し、カラーフィルタとマイクロレンズがつけられる
という風に書かれています。
この記事のトピックだと思うところは以上までなのですが、
この後、Samsungのチップ(≒センサ)についても、もう少々記事は続きます。
が、私が今日は力尽きたので(^^;)今週はここまでにしたいと思います。
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