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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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NHK放送技術研究所公開 ~略して”技研公開” の概要と所感

先週末行ってきました、NHK技研公開
ということで先週末はblog更新をお休みしてしまいました(^^;)(5月は結局結構サボってblogエントリー数”2”です)。

一年は早いですね(^^;)。技研公開にお邪魔するようになって、今年で早5回目となります(つまり2012年からお邪魔しています)。
ToFのblogエントリが途中ですが、いったんこっちに話を移すことにしようと思います。
 まず、最初のエントリは、概要や個人的な所感などなどから。


↑ちょっと電車では行きにくい場所にある、NHK放送技術研究所の玄関より

拍手[6回]

今年は、子供たちに大人気(?)、去年はマスコットとして出迎えてくれたドーモくんとリアルきららちゃんおねーさんは存在せず。
NHKもご多聞に漏れず経費削減か?しかし、今年は玄関奥両脇に見える技研職員の方では無いと思われる派遣の(?)コンパニオンさんの数は逆に多かった気も・・・(^^;)


↑今年の技研公開パンフレット

少なくとも過去四年間とは異なり、今年は随分と縦長になり、かつ見開きでは無く大柄な地図の様にパラパラと開く様な形式に。
これも経費削減・・・になっているのか?
個人的には昨年までのA4サイズ(?かな)のホッチキス止めされたページをめくるタイプのパンフの方が収まりも保存にも良いので好み・・・なので、来年以降元に戻してくれることを希望したいです(^^;)

 恒例のテーマ(キャッチフレーズ?)、今年は?
上のパンフにもサラッと実は書いてあるのですが、
”進化が続く放送技術をご体感ください”

最初、技研のHPで”これがテーマな訳無い”と思って、探し回ってしまいました(^^;)
もう今年は事務的というか、そのまんまというか、テーマを考えるのを放棄した感がありますね。これも経費削減でしょうか?(^^;)
個人的には例年テーマを気にして会場を回っている訳では無いので、パンフと違ってこちらは一向に構わないのですが(^^;)

ちなみに過去4年間のNHK技研公開のテーマは以下となっています。
'15年:”~究極のテレビへ、カウントダウン!~
'14年:”
~ココロ動かすテクノロジー~
'13年:”~期待、見たい、感じたい~
'12年:”~わくわくが、あふれだす。~


 さて、今年のカメラ・撮像素子関連の展示ですが、
まずはカメラから。


アストロデザインと共同の”フル解像度”8K単板カメラ (スペック表は斜めからで見にくいですがご容赦)

フル解像度(←NHKが定義するところの、RGBそれぞれが8K画素存在する)、つまり、一昨年展示された1.3億画素60fpsセンサが遂に2年越しにカメラ化されたということですね。
 このカメラ自体は、恐らくこの技研公開が世界でも初お披露目の場なのではないでしょうか。
カメラ化出来たのも「この春」とのことで、ホントについ最近のことの様です。
現実的に運用可能にするために、1.3億画素センサ搭載の割には(?)特に横幅がスリムに収まっているという印象です。
残念ながら、今年のオリンピックでの使用予定は無いとのこと。オリンピック以外でも、まだ具体的な実践配備予定は未定とのこと。



↑日立(国際?)と共同の、8K小型単板カメラ

こちらは通常のいわゆる”8K”(≒33Mpix)の素子搭載のカメラ
恐らく搭載素子は静岡大学と共同の2段サイクリック型列AD搭載96チャンネル読み出しセンサの進化版。
NHK技研公開では初お披露目ですが、昨年('15年)11月のinterBeeの日立ブースで恐らく同じものが既に出展済みでした。


 お次は撮像素子関連。
詳細は別途エントリ立てる”つもり”なので、ひとまず言葉だけで。
まずは

今年('16年)2月のISSCCで、TSMC、静岡大学、ブルックマンテクノロジーと共同で、NHKが主体となって発表された
 8K240fps 1.1um□画素ピッチ、積層センサ
 ↑チップ単体の展示もありました。放送用B4マウントカメラを意識したと思われる2/3インチのアスペクト比16:9の素子
 個人的に、このチップを見れたことが、今年技研公開に赴いて二つ確実に良かったなと思っている事象の内の一つ。

画素AD搭載、3次元構造、基板Z(≒深さ)方向への信号読み出しを目論む基板貼り合わせセンサ
 上記リンク先は昨年のものですが、今年個人的に見に行って良かったと感じた2点目がコレです。
 まあ、まだ実用化へのハードルは高いことに変わりは無く、実用化できるか怪しい現状に変化は無いと思いますが、しかし個人的には興味を惹かれる変化が。
 しかし、何故か今年のパンフには、この展示は無かったことにされています。

有機三層撮像素子
 昨年ポスター展示も無く、恐らく2年振りの展示(↑リンク先は2年前の技研公開時のもの)。
しかし、個人的に伺った説明員の方との相性が良く無かったか、大したことを聞き出せなかったので、今年もエントリを立てる予定が無いテーマ。
ですので、少しだけここで記載しておくと、
 1)まだ撮像素子上に3色直接積層は出来ていない

 2)今年は、画素ピッチ5um□に入るTFTトランジスタ単体を試作し、特性評価した
  結果、8Kの多画素を駆動するには、もう一桁くらい移動度が欲しいが、まあそれなりのトランジスタ特性は確認できた

 3)上記5um□の意味は、フルサイズの撮像素子に8K解像度を持たせるための画素ピッチ
  技研としては”16KTV”などというものをやるつもりは無いので、ひとまずこれ以上有機撮像素子で画素ピッチを狭める計画は今のところ無い

 4)現状シリコンベースのイメージセンサのG画素と、有機撮像素子の感度を比較すると、特段有機撮像素子の方が感度的に優れるということは無いという様なニュアンス
 (↑これはカラーフィルタ方式のパナソニックと富士フイルムの有機撮像素子の発表でも、従来比感度は1.2倍程度←遮光膜がなくなる分程度 ということだったのでリーズナブルと言えばリーズナブルな見解)

 5)飽和電子数は測定していない・・・
  ↑”感度アップが大したこと無いなら、有機撮像素子のメリットと言えば飽和だよね”
という意図で質問してみたところの回答
 ちなみにパナソニックと富士フイルムの有機撮像素子は、特殊なことをしなくてもシリコンベースのセンサの4倍程度の飽和を確保しているという旨の発表が既に3年前にあり
 という訳で、恐らく本格的に作ってみた後に”飽和が全く撮像素子としては使い物にならないくらい小さかったです”というオチは無いであろうものの、飽和電子数の特性を全く無視して研究開発を進めているということが本当にあるのであろうか? と疑問に思ってしまいました。

 6)Q.来年までに行う予定のことは(目標は何ですか)?
  →A.最近論文ベースで良い材料の報告が出てきているので、基本に立ち返って、RGB全色の有望な有機材料を選定し直して決定したい

 という訳で、こちらもまだまだ先の長い道のりの様です。

個人的には今年やっと画素ピッチを縮めるための(トランジスタ)試作を行っているのは興味深かったのですが、「画素ピッチを5um□より縮める予定は無い」との回答にちょっとガッカリしてしまいました。
わざわざコストを掛けて&苦労して、現行のシリコンベースの撮像素子を置き換えるのなら、画素ピッチが小さい素子で無いとその恩恵を相当受けにくいのじゃないかなと思っていたので。
 有機撮像素子の(シリコンベースの素子に対する)メリットに、”受光膜厚が薄くて済むので、光学的な隣接画素間のクロストーク(≒混色)が小さく、斜め光入射に強い”というのもあろうかと思うのですが、それも小さい画素ピッチセンサであれば顕著に差が出ると思うのですが、シリコンベースでも5um□程度の画素ピッチであれば、今の技術を駆使すればクロストークもそれなりに抑えられるでしょうし・・・
 ”Pentax K-1のリアルレゾリューション効果を動画でも受けられる”というメリットもあるものの、
それも画素ピッチ5um□までであるならば、既にシリコンベースセンサ&カメラでは、今年NHK自らが1.3億画素センサをカメラ化することに成功しているので、そっちでいいじゃないかという気がしますし・・・
 やっぱりそうなると、このNHKの有機三層の撮像素子のメリットは、飽和がメインになると思うんですが・・・

光電変換膜積層型固体撮像デバイス
 ↑リンク先は昨年の技研公開時のもの。
 一言で言うと、「昨年から今年に掛けて、暗電流の低減を行いました」という報告内容。
 こちらも別途blogエントリ予定なので、この辺で。


 上記②~④は、NHKが長い将来を見据えて毎年地道に続けている研究テーマ。
①は1.3億画素センサの系譜で、他社と組んで一気に本気モードで現実的なカメラに仕上げるつもりのテーマという感じでしょうか。
①の8K240fpsという化け物の様な信号読み出しレートの素子を積んだカメラも、きっと2年後のこの技研公開の場でお披露目されているものと予想されます



 さて、ここからはカメラor撮像素子以外ですが、
NHK技研公開では、例年大枠以下の様な大きなジャンル分けをして技術展示を行っています。
 A:スーパーハイビジョン
 B:インターネット活用技術
 C:スマートプロダクション
 D:立体テレビ
 E:次世代デバイス

 この内、個人的にはBとCにはほぼ興味がありません。
ですので割愛です(^^;)
ちなみに、Bの代表格がハイブリッドキャスト系で、Cの代表格が手話CG作成などです。
ちなみに、上記②~④の次世代撮像素子は上記”E”のジャンル分け。①の実用的と思われる素子が”A”のジャンル分けとなっています。

 以前もチラッといつだったかのこの技研公開のエントリで書いたのですが、
私が撮像素子の次に興味があるのは表示ディスプレイ系です。
次世代デバイスのところにも興味深い展示は多かったのですが、そこを深堀りしだすとこのエントリが長大なものになってしまうため、それはやめて(^^;)
わかりやすいところで・・・

↑前出アストロデザイン及びLG Displayとの共同
 有機ELの”疑似”8Kディスプレイ
つまり、65インチの4Kパネルを2x2の4枚つなぎ合わせての表示
パネル自体はまず間違い無くLGのもの
(上記写真がオレンジで塗りつぶされているのは、”写真撮影禁止”で、その理由が”コンテンツの二次利用禁止”とのことだったので)


↑※この写真、左に90°回して御覧ください(^^;)
上のディスプレイのほぼ真横からの見た目
かなり薄いです。
が、

↑まだ基板やらフレキケーブルの様なものが剥き出しの状態で、商品として完成している様な代物ではありません(^^;)

・将来は当然1枚で8K表示可能なディスプレイにしたい
・その際には80型程度になるようなイメージでいる
 (↑4K×4枚の今回の有機ELディスプレイのサイズを1枚で作るのはまだ相当難しいため)
・これはガラス基板上だが、将来はフィルム上に作って、有機ELディスプレイを巻ける様にしたい
 との説明員の方の言葉でした。
 ちなみに現在”大型の”有機ELディスプレイを手掛けているのは、上記LGと中国のBOEくらいだそうで、これはLGのものなので、恐らく白色のOLEDにRGBのフィルタを載せる方式だろうと思われます。

 また、この展示とは直接関係無いのですが、将来のスーパーハイビジョン(≒8K)放送の色域規格であるBT.2020ですが、これを表示するディスプレイに関して個人的に衝撃の事実が・・・

↑上記は、昨年くらいから展示してある、シャープ製HDR対応85インチ液晶TVの大まかなスペック表なのですが、
”色域包含率”の項にご注目。77%の数字が。

で、これまた昨年くらいから、三菱製のレーザーディスプレイも展示してあるのですが、こちらのBT.2020の色域包含率は100%。しかし、レーザーディスプレイはそんな簡単には庶民の手に届く価格帯になることは無いと思われます。

そこで、説明員の方に「液晶ディスプレイで色域包含率が100%になる見込みはあるのですか?」と聞いてみたところ、「液晶ディスプレイで色域包含率を100%にするのは難しいだろう」とのお返事。
「じゃあスーパーハイビジョンの放送はどうするのですか?」と聞くと、「受像機側が”スーパーハイビジョン放送対応”を謳うのは受像機メーカーさんの判断。色域を100%包含していなくても違法になる訳では無い」とのこと。
 どうやらスーパーハイビジョン放送をBSで2020年に無事見ることが出来ても、色域に関しては放送電波に乗ってくるものを100%生かしきった視聴環境で見ることは、我々には難しそうです(--;)
それか、液晶には無理でも有機ELなら可能なのか・・・だとしたら有機ELディスプレイの発展に期待ですね・・・

 ちなみにディスプレイでは無いのですが、昨年展示されていた、フルスーパーハイビジョン対応のプロジェクタを始め、例年あったプロジェクタ展示は今年はありませんでした。
説明員の方に聞いたところ「昨年展示していたものはJVCさんから商品化されていますので、展示しませんでした」とのこと。
商品化したら展示してはいけない訳でも無いだろうと思うのですが(^^;)、それはさておきJVCさんのというのはコレでしょうか?
でも、昨年見たものはe-Shiftは使っておらず、リアル8Kだったのですが・・・


 ちょっとディスプレイに時間を割きすぎましたf(^^;)
来週、ちょっとだけ立体TV関連に触れて、本題の撮像素子にいきたいと思います。



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