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Imager マニア

デジカメ / デジタルビデオカメラ / スマホ用の撮像素子(イメージセンサ/imager/CMOSセンサ)について、マニアな情報や私見を徒然なるままに述べるBlogです(^^;)

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ONSemi(≒Aptina)2画素でマイクロレンズ一つの像面位相差AFのアイデア ~より低照度でAF可能に

先週は幣blog更新を休んでしまいました。で、今週はリハビリがてらやはりライト目に(^^;)

前回エントリは、MediaTekのDual PD AutoFocusなる像面位相差AFシステムをサポートしたISPの件でした。
今回もその繋がりで、像面位相差AFネタにしてみよう思います。

去る9月中旬の”Qualcomm 3G/LTE Summit”というイベントにおいて、ONsemiconductor(旧Aptina)がClarity+テクノロジーなどのことに関して発表を行ったようです。
上記情報を知ったのは例によってコチラのサイトからなのですが、大枠の発表内容については、ほぼ丸2年前になるこの発表内容と大差が無い様に感じましたので割愛します。

 が、当然(?)新しい(≒少なくとも私は知らなかった)内容も含まれていまして、それが以下の資料。


拍手[1回]

↑端的に説明しますと、どうやらONSemiは今後(全てのセンサで採用するのか定かではありませんが)、スマホカメラ用のイメージセンサでの像面位相差AF画素構造を、
従来の上図左の写真及び断面のタイプから、右の平面写真及び断面のものに変更するという発表の様です。

左と右が何が違うのかと言いますと(もしかしたら私が言葉で説明するよりも、上図写真を見たままの方がわかり易い可能性がありますが^^;)、

左図:1画素の半分をメタル層などで遮光して、その遮光する側を左右で逆にした上下2画素を一対とした像面位相差画素

右図:左右の2画素でマイクロレンズを共通(≒一つの曲)とし、下のフォトダイオード表面は双方とも遮光はせず、通常のままとしている像面位相差画素

 この発表資料には詳細まで記載されていませんが、つまり、
従来の”フォトダイオードを半分遮光して、1画素を半分にして使っていた”位相差画素(←これにより、スマホカメラレンズの左右どちらかから入射してきた光の一方を優先的に(?)受光して、ペア画素の信号強度を比較することによりAFを行っていたの)を、
”2画素を今までの1画素と見立てて”マイクロレンズを設置し、下地のフォトダイオードは遮光することなく通常に受光させ、この同じマイクロレンズ下の2画素をペア画素としてそれぞれの信号強度を比較して位相差AFに使用する
 という方法に変更すると言っている様に思います。

 そして、隣接フォトダイオード間が通常画素通りという違いはあるものの、これはある意味前回エントリの位相差AF画素や、キヤノンのDual Pixel CMOS AFと(私が見る分には)同じ原理(?方法?)のAF方式な様に思います。


 ”こんな作りにくそうな形のマイクロレンズをわざわざ作ってまでこの新方式を採用するメリットは何なのさ?”

ということなのですが、その回答が以下の次のページの資料

↑AF合焦までの時間(縦軸)の光量(横軸)依存 の、iPhone6とこのONSemi1.1um□画素センサ比較

 つまり、上図の言いたいことを端的に言葉で表すと、
”1.5um□画素ピッチのiPhone6よりもONSemiの新しい像面位相差AF画素センサの方が、画素ピッチは1.1um□と小さいにも関わらず、1/4倍の明るさ(=暗さ)までAFが効くんですよ”
ということ。

 これは、1画素が半分遮光されたiPhone6などの従来位相差画素と異なり、ONSemiセンサの位相差AF画素は、まったく遮光されずに1画素ごと丸々光を受けているので、

■(仮に真に半分遮光されていると仮定すると)iPhone6の位相差AF画素面積:1.5×1.5÷2=1.125um^2

■ONsemiの今回のセンサの位相差AF画素面積:1.1×1.1=1.21um^2

となり、元の画素ピッチはONsemiセンサの方が狭いものの、実際には位相差AF画素自体の感度はONsemi製センサの方が高いことに由来しているものと思われます。

 一部だけあの上から見たら卵みたいに見える形のマイクロレンズはどうやったら作れるのか?(≒うまくあんな風に歩留まり良くできるのか?)という疑問はありますが、
像面位相差AF画素の構造としてのアイデアとしはセンスがいいものなんじゃないかな?と(上から目線で僭越ですが^^;)個人的には思いました。



あとは、像面位相差AF以外の話ですが、
上図を見ると、ONsemi≒Aptinaも、画素の分離に”DTI”を導入するような断面模式図になっていますね。

記憶では、私が実際のセンサ解析された断面でDTIが導入されているのを見たことがあるのは(STMicroelectronicsと)Samsung、そしてソニーのみだったのですが、
これでONsemi=Aptinaも画素の分離にDTIを導入する流れになっているようです。
残るイメージセンサ大手はOmniVisionですが、こちらも既に画素分離にDTIを導入する旨の発表(←p.7)は同じクアルコムのサミットで行い済みです。
 これでイメージセンササプライヤーの上位4社は(微細画素センサにおいては)、画素分離にDTI(Deep Trench Isolation)を導入方向ということで、ほんと技術開発が早いこのご時勢では、どこかがちょっとリードしても、本当にすぐに他社も追いついて同じことをするので、ほんと差がつかないですね。厳しい世の中です(^^;)
現在は積層センサの実績面で多少ソニーがリードをキープしているという程度でしょうか。


 あとは余談の資料ですが、

↑「Clarity+のカラーフィルタ配列(RBと、Gは全くなくて、従来ベイヤ配列のGの箇所がCLEAR画素になっているもの)の右の方が、左の半端にClear画素を導入したパタンよりもモアレが少ないですよ」
というアピールと(↑クリックして大きくして見比べてもらわないと違いはわからないと思います)、

↑(恐らくセンサの読み出しゲインは揃えてある前提だと思われますが、)Clarity+カラーフィルタ配列のセンサ(右)の方が、従来ベイヤ配列(左)よりも、2倍感度が高いよ(≒同じ照度条件で撮れば2倍明るく写せるよ)
 というアピール資料ですね。

 この奇妙な形の位相差AF画素搭載センサが普及することになるのか、楽しみに(≒興味深く)見守って(?)いきたいと思います(^^)



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カラーフィルターのパターン

楕円形レンズを使った撮像面位相差検出法は、組になる画素のカラーフィルターを同じにしなければなりません。ベイヤー配列よりも富士フイルムのX-Trans配列向きなので、X-TransセンサーをON Semiが製造なんて想像をしてしまいました。

Re:カラーフィルターのパターン

>hi-lowさん
(コメントできていませんが、blogは読ませていただいてます。カラーチャートからのFoveonの色分離?の話は特に興味深かったです^^。あと、最新のDP3とソニー5N?の実際の撮影画像解像度比較も次いで興味深かったです)

>楕円形レンズを使った撮像面位相差検出法は、組になる画素のカラーフィルターを同じにしなければなりません。
 気にしてませんでしたが、言われてみればその通りですね。

>X-TransセンサーをON Semiが製造なんて想像をしてしまいました。
今富士のセンサのカラーフィルタをどこでつけているか?ですよねー
もし仮にソニーでつけているのであれば、カラーフィルタ工程をONSemiに移せばいいと思うのですが、現在自社でカラーフィルタを載せているのであれば、ONsemiに任せてしまうと純粋にコスト増(もしくは自社工場に空きが出来る)になるという弊害が・・・
(前者にしても、結構ソニーとonsemiに信頼関係というかキッチリとしたルールを設けないと、最終的な不良品がどちら起因で作りこまれたのか?とかの係争?になりそうな・・・^^;)

 ↑話に乗っからせてもらった妄想?でした^^;

  • imagerマニア
  • 2015/11/24(Tue.)

AF合焦 について

同じ形のMLについては すでにソニーさんが特許を出しています
US20150076643A1
特許の結果から見れば シグナルがかなりよくなります

しかし 隣の一般画素への影響はどうなるでしょうか?  
DTIは長方形の短軸方向のクロストークをどれくらい軽減できるかしら

Re:AF合焦 について

>kiuiojpさん

お久しぶりです。kiuiojpさんの嗜好(?)がわかってきました。マイクロレンズ周りに熱いですね!(^o^)

>同じ形のMLについては すでにソニーさんが特許を出しています

 そうだったのですね。情報ありがとうございます。

>しかし 隣の一般画素への影響はどうなるでしょうか?  
>DTIは長方形の短軸方向のクロストークをどれくらい軽減できるかしら

 ↑私、本文中で”センスの良い技術”みたいなコメントをしましたが、確かにおっしゃられるように隣接一般画素(?)への漏れ光(?)の周囲画素との差異は気になりますね。
問題になるレベルになりそうでしょうか?

 確かにそもそもが位相差画素は恐らくキズ画素扱いで補正等されてしまいそうなのに、更にその周囲の画素まで若干とは言え特異な出力を出し始めたら、位相差画素周りの画像に気になる点がユーザー側でも出てきてしまいそうですよね。

 そして確かにDTIはどの程度軽減できるのか?ですね。
シリコンに入る前の光は軽減できませんし、ソニーさんが特許を出していて本製品で今のところ採用していない感じなところを見ても、”いいことばかり”の技術で無いのはkiuiojpさんがおっしゃられる通りかもしれません。

  • imagerマニア
  • 2015/11/24(Tue.)

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