Imager マニア

NABも終わってしばらく経つのでそちらのネタも採り上げたいのですが、まだ情報収集が追いついていないので(^^;)、今週はタイトルの報告にしようと思います。


　↑”Galaxy”と言えば、言わずと知れた世界で最も売れているスマホと思われるSamsung製ブランド端末になります。
以下、まずはチップワークスblogより、カメラ部分のみ抜粋。

[2回]

オレンジ色の()内文字は、私の補足になります。

phonearena.comのレポートによれば、Galaxy S6はリアカメラ(≒メインカメラ)にソニー製”IMX240”、フロントカメラ(≒サブカメラ)にサムスン製”S5K4E6”を搭載している。

↑Samsung Galaxy S6リアカメラ搭載　ソニー製IMX240センサ外観　チップワークスblogより

IMX240は、
　・16Mpix 積層型　裏面照射型　CMOSイメージセンサ
　・ダイ(≒チップ)サイズは、7.09×4.68mm　(33.2mm2)
このExmorRSセンサは、以下を特徴としている
　・画素ピッチ：1.12um
　・高速AFのための、オンチップ位相差検出画素アレイ (≒撮像面位相差AF画素)

サムスンの”S5K4E6”は、
　・5Mpix　の裏面照射型　CMOSイメージセンサ
　・ダイ(≒チップ)サイズは、5.31×5.87mm　(31.2mm2)
　・画素ピッチ：1.34um

↑Samsung Galaxy S6フロントカメラ搭載　サムスン製S5K4E6センサ外観　チップワークスblogより

オリジナルblogの内容は以上までです。

以下、気づいたり、個人的に思うところをいくつか。

①Samsungのフラグシップスマホのメインカメラ搭載撮像素子の座を再びソニーが取り返した！

　個人的な一番のトピックはこれです。
Samsungはついに(？)自社イメージセンサの性能がソニー製と同等になった、もしくは追い抜いた　と判断した結果と思うのですが、
昨年のGalaxy S5においては、(S3とS4と異なり)自社製撮像素子をメインカメラに採用しました。
にも関わらず、たった一年で再びソニー製に逆戻りです。

　サムスンは最先端フラッシュメモリやDRAM、ロジックICなどを製造する半導体製造会社でもあるので、
半導体製品は数を多く作った方が(≒シリコンウェハを多く流動した方が)少なくともICのコスト競争で多大に有利に働くことを当然理解しているはずです。
単体機種としては、世界で最も数がはけるGalaxyのカメラ採用撮像素子の座を、それでも自社センサで無く他社センサに明け渡す・・・

これは以下二つの事実を示しているのかなと個人的に思います。
　・少なくともこのスマホ向けの16M＆1.12um□画素ピッチのイメージセンサの(コスト、モジュールサイズを含めた総合的な性能は)ソニー製の方がSamsung製よりも優れている
　　(↑少なくともSamsungのスマホ部隊はそう判断した)

　・Samsungのスマホ部隊とイメージセンサ部隊は、同じ会社(もしくは同じグループ会社)ではあっても、完全にお互い独立している
　　(↑スマホ部隊は最も適切と思うイメージセンサを自社他社関わらず公平に選ぶし、またイメージセンサ部隊は、自社製品部門に独占的に高性能なものを供給したりせず、買ってくれるところが製品ライバル企業であっても最新のイメージセンサを売る)


②Samsungも画素数競争を(メインカメラについては少なくとも)一旦やめた！

　Galaxy S5⇒S6で、サブカメラの方は、2.1M⇒5Mpixと画素数を増やしていますが、
リア＝メインカメラの方は、
　Garaxy S4@2013年：13Mpix
　Garaxy S5@2014年：16Mpix
　Garaxy S5@2015年：16Mpix
上記の様な変遷で、iPhoneの800万画素よりはそれでもかなり画素数は多め(というか、iPhoneがいまどきのスマホとしては画素数をかなり抑え目にしている)ですが、
昨年まではスマホの中ではトップクラスの画素数にこだわっていた(？)割には今年は2000万画素へのステップアップを行っていません。
　iPhoneは、4Sから6(Plus)までメインカメラは800万画素で、一足先に画素数競争から足を洗っていますが、Samsungもついに一旦1600万画素で休止の気配です。

　まあiPhoneと違ってGalaxyの場合は、現状の16M画素センサで既に1.12um□の画素ピッチなのですから、これ以上画素数を増やそうとすると(恐らく1.12um□未満の画素ピッチセンサを量産出荷出来る企業が現状無いので)撮像領域サイズ(≒チップサイズ)を増やさないと、画素数を増やすことが出来ません。
ですので、単にチップサイズ増加≒コスト&モジュール面積アップを嫌った結果というだけかもしれませんが・・・

　それでもこれだけ市場に影響力のあるアップルとサムスンという二社が、一時的かもしれませんがメインカメラの画素数アップをやめている事実は、他のスマホ及び会社に与える影響は小さく無いのでは(≒本格的にスマホカメラの画素数競争が終焉を迎え始めるのでは？)と思います。
　今後、スマホ、コンパクトデジカメ合わせて、画素数の動向は引き続きしばらくは注目しておこうと思います。


③やはり積層型センサのチップの投影面積的な効能は一目瞭然

　例えば今回のメインカメラ(ソニー製積層型センサ)と、サブカメラ(Samsung製非積層型センサ)は、
画素ピッチは確かに多少サムスンセンサの方が大きいものの、16Mと5Mpixと画素数は3倍以上ソニーセンサの方が多いです。
にも関わらず、双方の撮像素子のチップサイズは
　33.2mm^2 vs 31.2mm^2
と、たったの2平方mmしか変わりがありません。

それは、見た目にも明らかで、上の二つのメインとサブのカメラ搭載撮像素子の写真を見ると、積層型であるソニー製と比べて、積層型では無いサムスン製の方は、撮像領域以外の周辺面積の割合が圧倒的に大きいことがわかります。

　ただしかし、それでもiPhone6のソニー製積層型素子と比べると、今回のソニー製積層型素子の方が周辺部分の面積が大きい様な気がするのは、気のせいなのか、それとも画素ピッチが小さいことが(レイアウト面積的に)関係しているのか・・・


　あとは細かい話なのですが、

　メインカメラの撮像素子は・・・
・パッドは、左右下の3辺配置
・積層型センサで周辺でbottom基板と導通を取っているTSVは(目をこらして写真を見ると恐らく)左右上の3辺
　(↑う～ん、ただ画素ピッチ小さいですし、周辺回路も下側もそれなりにスペース取ってるみたいなので、上下に画素信号を読み出すタイプの様に思えるのですが、TSVは下側には無さそうに見えるんですよね・・・)

　ちなみにiPhone6(Plus)の場合は、パッドは4辺に配置してあり、bottom基板と導通を取るTSVは上下左の3辺となっています。

・GalaxyS6のメインカメラの撮像領域のアスペクト比は16:9な模様
　(↑メインカメラ外観写真より)
　別に「だから？」と言われればそれまでですが(^^;)、iPhone6(Plus)と比較すると対照的というか、ここもアップルとサムスンの(考え方の？)違いが出ているところだな～と。
　現状、どちらがスマホとして主流なんでしょうね？

・サブカメラのSamsung製素子の撮像領域のアスペクト比は4:3
　↑このへん、メインカメラと自撮り用のカメラでアスペクト比の需要が変わるのでしょうか？
そこらへんが私にはよくわかりません。
　ちなみに、iPhone6もサブカメラはアスペクト比4:3の様です。

・同じくサブカメラのSamsung製撮像素子の方は、撮像領域下側の周辺回路面積の方が不自然に大きい
　上側もそれなりに面積取ってるので、画素信号自体は上下に列交互に読み出しているのでは？と思うのですが、そうすると下側に余計に入っている回路はいったい何になるのでしょうね。