先週末、行ってきました
CEATEC。CEATECは土曜も行っている展示会なので、仕事の都合はほぼ関係無いため(blogエントリするかしないかはともかく)ここ数年は通えています。
開催場所が幕張メッセで遠いのが玉に瑕なのですが(^^;)
今年のテーマは「
NEXT -夢を⽣みだし、未来を描け」
ちなみに昨年'13年のテーマ「明日の暮らしと社会を創る技術力」
一昨年'12年「豊かな暮らしと社会の創造」
’11年テーマ「未来をつくる最先端技術」
ま、表現は微妙に変われど、ニュアンスは毎年全く一緒ですね。NHKの技研公開のテーマと一緒で、特にテーマは気にする必要無い展示会なのでしょう(^^;)
良く言えばコンセプトにブレが無いってことで。
↑CEATEC 最近10年の入場者数および出展者数の推移
で、入場者数及び出展者数に、最近の日本電機業界の元気の無さがモロに表れてしまっています。
出展者、入場者共に2007年がピークで、その後は右肩下がり。
”単なるキッカケに過ぎない。仮になくてもいつかはこうなった”[1回]
と言ってしまえばそれまでだと思うのですが、
こうやって見ると、やっぱりリーマンショックの影響って大きいですよね~。
で、このCEATECの縮小傾向に乗って(?)
遂に今年はソニーも出展を見合わせ。
”今年は見合わせ”と言っても、こういうのは、一度引いたら二度と復帰は無いですよね、きっと(--;)
昨年のソニーブースを見た私の第一印象は「うわ~手抜き。金掛けて無いな~」
だったので、正直去年から撤退の予兆は見えていました。
'12年からは、勢いのある車メーカーも初出展し、例年の展示スペースは幕張メッセの1~9ブースを利用していたましたが、今年は遂に総展示スペースも1~6ブースに縮小。
順調に(?)このまま衰退(?)していくとすると、10年後にはもうこのCEATECというイベントは(企業側の宣伝効果が薄れてしまって)消えてしまっていますね。
そうならないことを個人的には切に願っています。
ちなみに、数年前と比べても、年々会場の美麗なおねーさん(コンパニオン)の数は減っていて、それに伴いカメラ小僧の数も激減している気がします。
これは、カメラ普及の観点からも大打撃!?(^^;)
で、
今年、ソニーが撤退したことにより(元々Samsungはブースを出していないので)、遂にカメラメーカーで出展していたのはパナソニックのみとなりました。
ついでに言うと、そのため今年はカメラ用の撮像素子の単体展示を行っていたブースも一つもなかったと(私が見ていた限りでは)思います。
という訳で、CEATECは個人的にはカメラや撮像素子関連以外の興味も多いのですが、このサイトの性格上、カメラ関連ということで、
まずはパナソニックから。
↑ブース内で大した展示スペースは取られておらず、たったの一台しか展示されてませんでしたが、
ありました、
VARICAM35。
スペックのやや詳細は
こちらのエントリを参考にしていただくとして、
今年4月のNABで正式発表され、確か9月のIBCで発売。
という訳で、シレっと展示してあって全然話題になっていませんが、
恐らくこのCEATECの場が動作実機本邦初公開となるのでは?と思い、トップバッターでとりあげます。
↑この角度の写真が迫力あるかな?と思い。
マウントはPLマウントモデルのみ。さすが¥600万ほどする(←しかし、RED等と違い、バッテリーなどは込み込みのお値段だそうです)本格シネマカメラです。
ライバルは恐らく
ソニーのF65。
当然、4K収録可能ですし、raw、Log収録も可能な機体。
開いているところが、各種記録メディア挿入口。
P2カード、マイクロP2カード、SD系カードの3種のスロットが、前者はそれぞれ二つずつの計5口あり。
4K120pまでカメラ(センサ)がデータを吐き出せるため、このために256GBの新たなP2カードも開発発売したとか。
そして、この写真にはありませんが、4Kraw収録のためには、外付けのもう一つ外部レコーダーが必要になりますと。
で、やっと本題ですが、
このカメラの撮像素子サイズは、カメラ名称からも分かる(?)とおり
super35mm サイズ。
最初の写真の展示説明員の女性に
「搭載撮像素子は自社製ですか?」私
と尋ねたところ、間髪入れず、元気良く笑顔で
「はい!自信作です!」
とのこと。
以前から、「発売までに時間が掛かったのは、自社製撮像素子開発も原因の一つ」という様なコメントもどこかで読みましたので、ほぼ間違い無いだろうなと思っていましたが、
主観で恐縮ですが、
彼女の、
嬉しそうで誇らしそうな笑顔での即答っぷりに、個人的には”パナソニック自社製素子で間違い無いな”と信じました(^^;)
最初、展示説明員の女性は販売関係の方なのかなと思って近づきましたが、何となくあのわが子を誇る様な空気感(^^;)は、もしかしたらカメラ自体の開発関係者だったのかな、と余談ながら感じました。
で、私の上記主観による確信が正しい前提ですが、
すると、恐らく私の知る限り、
フォーサーズサイズ以上の撮像素子をパナソニックが製品に載せるのはこれが初めてのことになると思います。
ですので、評価を聞ける機会があるかわかりませんが、このカメラの画質の評判を今後注目しておこうと思います。
ちなみにsuper35mmの撮像素子サイズというと、ほとんどAPS-Cサイズと同様の大きさです。
ですので、(まあこれまでも顧客がつきさえすれば作る技術はあったと思うのですが、)今後、パナソニックは少なくともAPS-Cサイズの撮像素子を作ることには、技術的・設備的障害は何も無いはずです。
ので、
今後、民生デジカメ分野でもパナソニックが、APS-Cサイズ素子搭載カメラの撮像素子の座を乗っ取ることがあるのじゃないかということも、密かに期待して見ていようと思います。
↑すみません。持ってるレンズの最短撮影距離が長いもので小さくて・・・
パナソニックLumix LX100。
未発売機種だと思いますし、そもそも発表自体が先月Photokinaだったと思いますので、これも同様に本邦初公開だったのでは?と思い。
特にセンサとして述べる内容はありませんが、カメラを持った時の重さ(重厚感)と質感は、個人的には好印象でした。
また、Photokinaで人気だったと聞いている、一応
”スマホとしても使えるカメラ”であるところの1インチセンサ搭載のLumix DMC-CM1は、日本未発表だからということだと思うのですが、展示されていませんでした。
そして日本で既に発表されているはずの、
GM5とGM1後継機も、私が見逃しただけかもしれませんが、CEATECのパナソニックブースにはなかったように思いました。
その他、パナソニックは、GH4を試写用に並べて、その先に女性を躍らせて撮影出来る様なブース構成になっていましたが、
”4K photo”を結構プッシュしている印象を持ちました。
つまり、いわゆる
”4K動画を撮っておいて、そこから好きなシーンを写真として抜き出す”というやつです。
昔から写真をやられている硬派な方には受けない思想だとは思うのですが、
pc側のマシンスペックや、撮った後に好きなシーンを簡単に選べる仕組み、静止画撮影を意識したAF駆動やシャッタースピード設定
上記の様な環境が整ってくれば、徐々に動画撮影からの静止画切り出しは当たり前の様になっていくのではないかと、個人的には思います。
パナソニックらしい提案だなと感じました。
お次はシャープブース。
個人的にはディスプレイ好きなので、
8KTVや、長方形では無い淵の形の曲がった液晶ディスプレイ(フリーフォームディスプレイ)、それにMEMS-IGZOなどが気になったのですが、
もう一つ、imagerマニアとして気になったものが。
↑ それがこれ。赤外線カラー暗視カメラ
今年の
CEATECの”デジタルイメージング分野部門賞”というのを受賞した製品の様です。
そもそも”赤外線カメラ”というくらいなのだから、赤外光(Inflared=IR)を発光させ、そのIR光が対象物に当たって跳ね返ったものを撮像素子で受光して、絵にするはず。
だから、赤外線カメラは受光する光がRGBの三原色で無いため、そもそも色再現させられない。
でも、その代わり(?)人や動物が感度を持たないIR光を照射することによって、暗闇でも絵が取れる というのがメリットのはず。
”なのに何で赤外線カメラで色がつけられるの?”
↑ 実際のデモ画像
左:本赤外線暗視カメラで色をつけた映像
右:従来IRカメラによる映像
で、実際絵に色ついてました。
まあさすがに「完璧か?」と言われれば、「ちょっと彩度低くてコントラストも低いかな」と答えますが、用途を考えれば十分なものと思います。
当たり前ですが、実際デモもイカサマ無しで、写真の左端に見えてる黒いカーテンの奥の暗闇に置いてあるものを暗視カメラで撮像し、オンタイムで映像にして流しているものでした。
私「赤外カメラなのに、何で色が付けられるの?IR光照射しているんですよね?」
展示説明員「
IR光を照射しているのですが、3種類の波長域の異なるIR光を照射していて、それを無機物で作った特殊なカラーフィルタを通して選り分けて受光することによって、色づけしています」
上記、正確な展示員の回答を記憶していませんが、ニュアンス的には上記の様なものでした。
つまり、恐らく同じ赤外波長でも、波長の短いものから中くらい、そして長いものまで、シリコンが吸収可能な~1200nmくらいまでで、3種類の波長の異なるIR光を同時に対象物に照射し、そして特殊な3種のカラーフィルタでそれらの反射光を受けることにより、RGB三原色相当の色を画像処理も絡めて作り出しているということなのかな?
と、一端私は理解しました。
また、使われている撮像素子がCCDだということでしたので、以下の質問もしてみました。
私「今回撮像素子はCCDということですが、CCDというのに意味はあるのですか?CMOSセンサでは出来ないことなのですか?」
展示説明員「感度を高めた特殊なCCDを使っていますが、別にCCDでなければならないということはありません。CMOSセンサでも可能です」
上記”感度を高めた特殊なCCD”というのは、以下の様なことを行っているCCDのことを指しているようでした。
↑左上:マイクロレンズの集光を最適化
右上:赤外光の感度を上げるため、フォトダイオードを深くした(≒深いところで変換された電子もしくは正孔を集めて読み出せるようにした)
左下:出力回路構造なるものを最適化することにより、従来比ノイズ1割減
興味深いのは右上のフォトダイオードをいじる”光電変換領域拡大”の件だけですね。
この情報だけでは、部外者としては、
「左上のマイクロレンズ及び層内マイクロレンズの形状最適化はやって当たり前の話」
「左下は”出力回路構造の最適化”だけじゃ具体的に何をどうやったのかわからないからおもしろくない」
となってしまいます。
最後、とにかく上記3つの対策をすることにより、従来品よりも近赤外光感度が190%(約2倍)になったということのようです。
本当は時間があれば、もうちょっと原理のところを(教えてくれたか不明ですが)聞いてみたかったところですが、他も見たかったためこの辺で引き下がりました(^^;)。
本来このIR暗視カメラの用途としては↓の様に色々考えられるようですが、
今回はどうやら最も手っ取り早くその恩恵をアピールしやすそうで、かつお客がつきやすそうな”監視カメラ”として製品化したという流れの様です。
最近、このIR監視カメラで色づけするのがトレンドなのか、しばらく前に
ソニーからも(カラー化の原理が同じか不明ですが)同様なものと思われる発表があったので、気になってました。
もしかしたら、近い将来テレビのニュースで見る、夜間監視カメラ映像越しの事件の容疑者がみんなカラーになっているかもしれませんね。
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