今回撮像素子のお話とはちょっと離れます。ご了承ください。
でも、ここを見に来てくださってる方で、撮像素子界(?)の雄ソニーに興味が無い方はいらっしゃらないと思います。
今回、REDがソニーを訴えたそうです。
ソニーは、コンパクトデジカメや、ビデオカメラ、一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ、スマホなどに向けて自社、他社問わず撮像素子(イメージセンサ/imager)を供給して搭載されていますが、
もうひとつ自社撮像素子を搭載している製品分野があります。
それはデジタルシネマカメラです(いや、もしかしたら監視用カメラ向けとか他にもあるかもしれませんが、ちょっとそっちの分野の撮像素子に関しましてはimagerマニアの興味の範囲外です(^^;))。
そのデジタルシネマカメラ界の雄と言えば、ARRIとRED。
REDは、サングラスメーカー”オークリー”の創業者ジム・ジャナードが、趣味が高じてオークリーの株を売っぱらったお金で設立したデジタルシネマカメラ専業メーカーです。
中でも撮像素子に絡むところでARRIとの最大の違いは、高解像度を積極的に推進しているところで、「出す出す」と言ってまだ結局発売はされていませんが(^^;)、
こんなセンサも開発発表しています。
基本的には中小企業と言って差し支えないと思うREDですが、「ハリウッドでデジタルで映画を撮るのに、ソニーとREDどちらのカメラがより多く現在使用されているか?」と言えば、それはREDです・・・という、デジタルシネマ業界では影響力のある会社です。
前置きが長くなりましたが、そんなRED社がソニーを訴えたのがバレンタインデー。
ソニーにとってはとんだチョコレートな感じだと思いますが、
REDの具体的な要求は、”ソニーのCINEALTA F65、F55、F5の、販売差し止め、販売したものの回収、そしてREDへの損害賠償”と、仮に全面的にREDが勝ってしまった場合には、デジタルシネマカメラ市場からしばらく撤退しなければならないほどのものです。
ちなみにF65はソニーのシネマカメラのフラグシップ機で
こんな凄いセンサを積んでいるカメラで、
F55とF5(←p.5)は昨年11月の
interBeeで発表し、つい最近発売し始めたばかりでかつ売れごろ価格の主力販売機たちです。
更にはF55にはimagerマニアとしてはかなり興味ありの”グローバル電子シャッタ搭載センサ”が搭載されています。
で、”いったいソニーがREDの何の権利を侵害したとRED社は主張しているのか?”
これは撮像素子には直接関係は無いのですが、”REDCODE raw”と彼らが呼んでいる、rawの圧縮形式、もしくはraw圧縮すること自体 を問題視しているようです。
↑この辺のことについては全て
こちらのサイトの受け売りですので、そちらを見ていただいた方が良いです。
少し補足しますと、静止画でもある”raw”ですが、これは動画の世界にも存在し、”生”を意味しますので、
本来”rawを圧縮する”というのはナンセンスな行為なはずです。
しかし、
カメラとしてはデータの転送速度や記録容量という壁が存在し、静止画ならともかく動画においてはrawをそのまま転送して記録するのは難しいことが多いという現状があります。そのため、RED社は”rawを圧縮する”ということを思いついて、実用度を高めたということの様です。
さすがにこの件でソニーが全面敗訴するとは思いませんが、冒頭のニュースサイトや上記引用サイトにもありますように、REDは中小企業である身軽さと、何より創業者の血気盛んさっぷりにより(^^;)大変喧嘩っ早くかつ粘り強いので、先ごろもう一つのライバルのARRI社に対しても別件で勝訴している実績があります。
デジタルシネマカメラは、通常のカメラと比較するとお値段も高く、また出荷数も少なく、そして消費電力の要請も比較的高くないので、最先端の撮像素子を投入しやすい製品ジャンルだと思われます。
そんなジャンルからソニーが一時的にでも撤退させられたなら、先端撮像素子の見る機会が減ってしまいますので、この件はしばらくwatchingしようと思います。
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